2018年4月22日日曜日

ちはやふる ー下の句ー


☆☆☆       小泉徳宏       2016年

「上の句」の終りに出て来た松岡茉優との対決を
主眼に置いた続編。
絶対的王者の松岡にスキルでは到底及ばない。そ
れを猛特訓で追いつくというスポ根の王道ではな
く、チームプレイを高めることで別の活路を見出
すというのが"今風"なのだろうか。まあ可もなく
不可もない続編ではあるが、技を極めた松岡が、
「札と手が糸でつながっているよう」という描写
はうまくいっていたと思う。「音になる前の音」
というのも音声表現としてなんとなく分かった。
あと福井弁が浮いてておもしろい。

                                           4.13(金) 日テレ


2018年4月7日土曜日

ジョーのあした

   ー辰吉丈一郎との20年ー


☆☆☆      阪本順治     2016年

辰吉丈一郎は予想に反して「言葉のひと」であった。

阪本順治との長い付き合いのなかで、年に1度ぐらいの
インタビューを時系列に並べたものと、その時辰吉の
置かれていた状況の簡潔な説明とで構成されている。

このインタビューがなかなかおもしろい。決して雄弁
という印象ではないが、時おり言葉を探しながらも、
誠実に、ユーモアと信条を絶妙にブレンドさせた力強
い言葉が発せられる。

辰吉は2016年時点、44歳となった現在でも「引退す
る理由がない」ということで、日々練習を続けている。

                                                    4.4(水) BS日テレ


2018年4月1日日曜日

山の音


☆☆☆      成瀬巳喜男       1954年

川端康成原作、原節子主演、成瀬巳喜男監督。
原節子が、夫(上原謙)の不貞がなかば公然とまかり
通っている家庭で、やさしい義父(山村聰)だけを心
のよりどころに、しかし耐え切れずに壊れていく過程
を丹念に描いている。
原節子の喋り方ってあんなに吐息多めだったっけ。
なんかあの喋り方のせいで苦悩がいまいち伝わってこ
なかった。

記録映像として見ても十分おもしろい。60年前の鎌倉
駅前、そして神宮外苑の銀杏並木を見ることができる。
車道が無い!

しかしいったい何が「山の音」だったのやら。それら
しき山も音も登場しない。

                                           3.25(日) BSプレミアム