2019年12月30日月曜日

GOODBYE KISS


☆☆☆     曾我部恵一    2019年

去年5月に逝去した丸山晴茂への追悼を込めて、
リキッドルームと渋谷クアトロでおこなわれた
「サニーデイ・サービスの世界」のライブ映像
で構成された作品。前者はバンド編成、後者は
ふたりだけの演奏で、私はクアトロの方を観に
行った。とてもいいライブだった。

                                            12.30(月) YouTube








今年はこれにて閉店!
しめて61本でありました。

2019年12月29日日曜日

【LIVE!】 ハンバート ハンバート


 ハンバート家の平日 2019 Final

(セットリスト、探しても無いので載せられません)


あいかわらずほのぼのしていて楽しいライブ。
良成はチェックのパンツと同系色のジャケット
を着こなし、遊穂さんは民族衣装っぽいスカー
トでオシャレな夫婦であった。

バンド編成で始まり、途中でふたりだけになっ
て、かなりの曲をふたりでやって、終盤にまた
バンド編成にもどった。どちらかというと、バ
ンドよりふたりの方がいい曲が多い。

ベストアクトは、なんだろうなー。
「虎」なんかよかったです。あとcharaの「やさ
しい気持ち」も沁みたですね。

                               12.19(木) 中野サンプラザ




2019年12月27日金曜日

おちをつけなんせ


☆☆☆★       のん      2019年

能年玲奈の初監督作品。主演もつとめる。
共演に蔵下穂波、桃井かおり、ほか。
能年は脚本・監督・主演だけにとどまらず
他にもいろいろやっているようである。
「あまちゃん」の頃とほとんど変わらない
屈託のない笑顔が見られて安心する。蔵下
穂波は「監督補佐」ともクレジットされて
いた。ふたりで和気藹々と撮影を進めたの
だろう。

岩手に暮らす女子高生を主役として、妖怪
をモチーフとしてけっこう奇天烈な物語が
展開されている。
桃井かおりとの芝居なんかを観ていると、
やっぱりこのコはうまいな、という感じが
する。

                               12.19(木) YouTube


2019年12月24日火曜日

アイリッシュマン


☆☆☆★★  マーティン・スコセッシ  2019年

スコセッシとデ=ニーロがCGまで駆使して、
ひとりの殺し屋と大物マフィアとの長大な物
語を紡ぎあげる。それはアメリカの裏の歴史
でもある。"アイリッシュマン"という題だが
展開していくのはわりに「いつもどおり」の
イタリア系マフィアのストーリーなので、主
人公がアイルランド系であることがいったい
どのような重みをもつのか、感覚としていま
いち分からないまま進んでいってしまう。ま
あでもタイトルにするほどだからよほど大事
なことなんだろうと思って「アイリッシュ」
という単語だけは逃さぬよう集中していたが、
実はデ=ニーロが演じたフランク・シーラン
のあだ名だった、という意味ぐらいしかない
のかね?

アル・パチーノが演じたジミー・ホッファと
いう人物は知らなかったが、アメリカでは組
合の大物として絶大な権力を持ち、謎の失踪
事件も含めてとても有名らしい。

NETFLIXの莫大な製作費があって、好きにし
ていいよと言われたのかどうか知らないが、
きっと普通の映画よりは自由度があって、そ
のうえでスコセッシが撮りたかったのがこの
物語だった、というのが実に興味深い。さん
ざんひとを殺した挙句、主人公は最後に告解
のようなことに向っていって、「赦し」がひ
とつテーマとして顕現してくる。

今回が209分。『沈黙』(2017年)が162分。
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(20
14年)が179分。
スコセッシのタフさには脱帽するしかない。

                          12.18(水) アップリンク渋谷


2019年12月22日日曜日

こおろぎ


☆☆☆      青山真治    2006年

『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』と『サッド・
ヴァケイション』の間に撮られたが、劇場未公開
のままになっていた謎の作品で、長年観たいと思っ
ていたのだが観ることが叶わなかった。K's Cinema
で2週間限定公開。

山崎努と鈴木京香。山崎は全盲の老人、鈴木京香
はその身の回りの世話を焼く若い妻。プロデュー
サーの畠中基博がフランスで見かけた夫婦のたた
ずまいから映画を妄想していったとのことだが
(脚本は岩松了)、その内容は謎めいたシーンが
いつまでも続き、謎めいたまま終わるといった感
じ。セリフは少なく(山崎はセリフが一切無い)、
冒頭に「昔、宣教師が伊豆に流れ着いた」という
字幕が入るほか、説明めいたものも無い。

伊豆のロケーションはどこか独特な感じがする。
終盤に出て来る洞窟もなかなか恐ろしい。

                                      12.11(水) 新宿K's Cinema


2019年12月19日木曜日

キレイ -神様と待ち合わせした女-


 作・演出 松尾スズキ  大人計画

実は大人計画の芝居を観るのは初めて。
この芝居は3度目の再演とのことで、たぶん
最も人気のある演目のひとつなのだろう。
冒頭にみんながヘンな衣装でわらわら出てき
てテーマ曲っぽいのを合唱するのだが、へー
なんか良い曲だなーと思っているうちに芝居
になだれ込み、そこから休憩をはさんでなん
と終演まで3時間40分! 面白いのでまった
く退屈はしないが、観るのに体力が要るのは
たしか。

ヒロインの"ケガレ"を演じたのは生田絵梨花。
これがもう、可愛いわ歌うまいわで実にすば
らしい。ストーリーは短く説明するのは不可
能なのでしないが、
「♪けがれて けがれて わたしはキレイ」
という歌詞からも分かるように、ここでもま
た「穢れたもの」が、その「穢れ」のゆえに
「美しいもの」に転化するというモチーフが
顔をのぞかせる。演劇ってこういう話がほん
とに多いですね。

         12.10(火) シアターコクーン


2019年12月15日日曜日

Thailand


  タイに行って来ました。

              【‎Bangkok】








 



                        【Chiang Mai】












2019年12月12日木曜日

【LIVE!】 細野晴臣


 音楽活動50周年記念オフィシャル・プロジェクト Day 1
 細野晴臣 50周年記念特別公演

 1. 銀河鉄道の夜 エンド・テーマ
 2. Honey Moon
 3. Tutti Frutti
 4. Back Bay Shuffle
 5. The Song is Ended
 6. 薔薇と野獣
 7. 住所不定無職低収入
 8. Choo-Choo ガタゴト
 9. Angel On My Shoulder
10. I'm A Fool To Care
11. Pistol Packin' Mama(with Rei)
(12. Reiの2曲メドレー)
13. Unsung Song
14. Aayurveda
15. Ain't Nobody Here But Us Chickens Body
16. Snatchers
17. Sports Men
18. The House Of Blue Lights
<Encore>
 1. 北京ダック
 2. Pom Pom 蒸気

          11.30(土) 東京国際フォーラム ホールA


細野さんの人柄がよく表れた、力の抜けた
ライブであった。国際フォーラムとは思え
ない親密な空間。というか細野さんがリキ
むことはあるのだろうか。
"HOSONO HOUSE"の曲を多めに、カバー
曲と「カバーのようなオリジナル曲」を織
り交ぜ、とがった音ではないがクオリティ
は高く、あくまで洒脱。バンドメンバーは
30年近くほとんど変わっていないような事
を言っていた。今回初めてライブ演奏を聞
いて、やはり高田漣のスチールギターがか
なりフィーチャーされているように思う。
耳につく楽器なので、印象に残る。

2019年12月10日火曜日

i -新聞記者ドキュメント-


☆☆☆★★     森達也    2019年

東京新聞の望月衣塑子記者を被写体とした
ドキュメンタリー。精力的に取材に奔走し、
当事者の声を聞き、講演会のパネリストを
務め、官邸前のデモに顔を出し、もちろん
本業の記事も執筆し、という彼女の日々は、
言ってみれば話題の美人記者の忙しい毎日、
だ。そこにあの官房長官記者会見の映像さ
えなければ。
それは本当に異様な光景で、どう見ても、
そこにはいまの政権の異様さが凝縮された
形で顕現している。ちなみに望月さんの社
員証の写真が一瞬写るのだが、若い頃から
美人だった。

途中で、そもそも「権力を監視する」のは
メディアの本質であって、会見で権力者の
嫌がる質問をするのはジャーナリストとし
て当たり前のことなのに、どうして望月さ
んだけが注目されるのか。そしてどうして
僕(森本人のこと)は望月さんにカメラを
向けているのか、だんだん分からなくなっ
てくる、と吐露する場面があったが、要す
るにこれに尽きるのだろう。森さんの流儀
の「考える僕」が顔をのぞかせる場面でも
ある。

ラストの演出が必要なのか、わたしには疑
問だったが、骨のあるドキュメンタリーは
ほんとに観ていておもしろい。

                         11.27(水) 新宿ピカデリー


2019年11月29日金曜日

ダンス・ウィズ・ウルブズ


☆☆☆★★   ケヴィン・コスナー   1991年

ひさしぶりに長篇(181分)の映画をゆっくり
家で観たけれど、やはりこれぐらいのリズムの
映画、いいですなー。満足感がありますね。

映画は脚を負傷したケヴィン・コスナーが野戦
病院で脚を切断されそうになる場面から始まる。
医師が休憩している間に病院を抜け出し、命知
らずの勇敢な行為で戦場の英雄になる主人公。
その何年かのち「興味があるから」という理由
でフロンティアに駐在することを志願した主人
公が、派遣先で次第に先住民と交流をもち、心
を通わせていく…。
ストーリーはスローテンポかつ至って単純だが、
撮影もロケ地も芝居も一級品という感じで、観
ていてまったく飽きることがない。
「なんだろう」と思わせるタイトルもいい。

                                  11.20(水) BSプレミアム


2019年11月27日水曜日

【LIVE!】 THE BACK HORN


  KYO-MEIワンマンツアー
  カルペ・ディエム~今を摑め~

(初日につきセットリストは省略)


アルバム「カルペ・ディエム」のツアー初日。
渋谷のWWW Xはバックホーンとしても初め
て、わたしも来るのは初めてだった。いった
ん4階に上がってまた2階の会場まで降りてい
く。その途中が解体中の建物みたいになって
いてちょっと変わったライブハウスだった。
キャパシティは約700とのこと。音は良くない。

少しだけセットリストを書いてしまうが、3曲
目に「シンフォニア」をかまし、最初のMC明
けの4曲目に「ピンクソーダ」のギターの轟音
が響いたとき最大の幸福感に満たされた。

                        11.18(月) Shibuya WWW X


2019年11月25日月曜日

ひとよ


☆☆☆★    白石和彌    2019年

鈴木亮平、佐藤健、松岡茉優の兄弟。
次男の佐藤はひとり東京に出て雑誌記者になって
いる。残りのふたりは地元に残っている。スナッ
クで毎晩酔客の相手をしている松岡茉優のチーマ
マ感が素晴らしい。
そこに田中裕子が、虐待から子供たちを守るため
に夫を車で轢き殺した母として、出所して帰って
来る。ただでさえそれぞれに業をかかえた子ども
たちと母親、それに複雑な過去がありそうな佐々
木蔵之介も絡んできて大変なことになっているが、
ことさら大げさではなく至って淡々と描いている
ところに好感がもてる。

それにしても最近は音尾琢真の活躍がめざましい。
出演作が多いだけでなくて、印象に残る芝居をし
ている。実はヤスケンよりも、音尾さんのほうが
巧い気がしてきた。

                          11.15(金) TOHOシネマズ新宿


2019年11月20日水曜日

八つ墓村


☆☆☆★      吉田照幸     2019年

吉岡秀隆による金田一、第二弾。
吉田照幸の監督作としては通算三作目となる。
「八つ墓村」は金田一シリーズの中でもよく
知られた話で、私も豊川悦司版を観ているが、
いつものようにストーリー自体はほとんど忘
れていたので、わりと楽しめた。観ると思い
出すんだよね。当たり前か。

今回の出色はなんといっても音尾琢真による
三十人殺しシーンだろう。その無差別ぶり、
容赦のなさと狂気には引きつけられるものが
あった。真木よう子は滑舌が心配であったが
音声さんが頑張ったのか、それほどストレス
なく聞き取ることができた。

                              11.8(金) BSプレミアム


2019年11月18日月曜日

レイジング・ブル


☆☆☆★  マーティン・スコセッシ  1981年

名作の多いボクシング映画の中でも、とりわけ
有名な映画である。しかも全編ほぼモノクロと
きた。こりゃあいったいどんなキレキレの映像
と驚愕のストーリー展開が用意されているのか
と舌なめずりしていたが…。

観た方は知ってると思いますが、デ・ニーロは
やたらと疑り深い「嫉妬の塊」みたいな見てら
れない感じの男で、ちっともカッコよくない。
強すぎる猜疑心で妻も、信頼していた弟も失っ
ていく哀れな男である。まあボクシングは強い
のだが、終生のライバルであるエースとは勝っ
たり負けたり。観ているほうはずっと「宙吊り」
のような感じで、終始落ち着くことができない。
まあだいぶ予想と違う映画だった。
デ・ニーロの体重の増減でとても有名な映画で
もあり、たしかにあの体格の変わり方はすごい。

                                10.26(土) BSプレミアム


2019年11月14日木曜日

ジョーカー


☆☆☆   トッド・フィリップス   2019年

今年最大の話題作といっていいだろう。
派手なアクションや勧善懲悪の要素の無い
映画が世界的な話題になるのも久しぶりで
はないか。すでに『ダークナイト』という
重厚な名作があるのにも関わらず、あえて
今ジョーカーを再びスクリーンに召喚する
からには、よほどの必然性を制作側が感じ
てのことなのだろう。

で、感想。
分断されたアメリカの社会やその病理をよ
く描いているのかもしれないが、以前から
の私の傾向として、どこからも"愉快さ"に
つながらない映画を高く評価できないとい
うのがある。どうしてもこういう映画は、
「病理自慢」のように見えてしまって、ホ
アキン・フェニックスの演技はたしかに鬼
気迫るものがあるけれども、それは何にも
昇華していかず、ただただ鬱積していくの
みである。

                    10.25(金) TOHOシネマズ新宿




2019年11月2日土曜日

ドリーミング村上春樹


☆☆☆  ニテーシュ・アンジャーン  2019年

村上春樹のデンマーク語訳を手がけるメッテ・
ホルムさん。春樹のほうにあまり翻訳を出す
気がなさそうだった『風の歌を聴け』『1973
年のピンボール』にやっと許可が出たのか、
この時点ではこの初期2作の翻訳に取り組んで
いる。日本を訪れて仕事をしたり、旧式のピ
ンボールマシンで遊んでみたり、ポーランド
語の訳者との交流を重ねたりして、少しでも
小説世界の本質に迫ろうとしている。

一方で唐突に「かえるくん、東京を救う」を
モチーフにした映像と、たどたどしい朗読が
挟みこまれる。身長2メートルぐらいのかえる
くんが東京の様々な場所にいる映像はなかな
かシュール。

60分の小品で、若干の食い足りなさもあるか…。

                             10.25(金) 恵比寿ガーデンシネマ


2019年10月26日土曜日

真実


☆☆☆    是枝裕和     2019年

初日に鑑賞。意気込んでいたというよりも、し
ばらく映画を観る日が無いのが確実だったので。

是枝さんがカトリーヌ・ドヌーヴとジュリエッ
ト・ビノシュでフランス映画を撮るってことで、
もしかしたらすんごい化学反応が…という期待
もあったが、まあ、それらしくまとまってはい
たものの、必ずしもうまくいっていたとは思え
ず。『真実』という題も大仰すぎる。もっとさ
りげない映画でよかったのではないか。
しかし是枝さんほどの立場のひとがまったく新
しいチャレンジをするというのはある程度の批
判も覚悟の上だろうし、まったく無駄なことで
はないだろう。
子役をうまく活かすのはさすが。亀のヘンリー
のくだりはよかった。

                             10.11(金) TOHOシネマズ新宿


2019年10月11日金曜日

清須会議


☆☆☆★     三谷幸喜    2013年

『ステキな金縛り』まで映画館で観ていた
三谷作品だが、この作品の公開時の「マジ
メな歴史もの」「長い」という評判に尻込
みしてしまった。

今回テレビ放送で観て、まあ公開時の評判
はわりと当たっているものの、しっかり面
白い作品にはなっていて、しかも大泉洋の
"怪演"が光る。水を得た魚のよう。寧々を
演じた中谷美紀も可笑しい。

                               9.21(土) フジテレビ


2019年9月30日月曜日

コミック雑誌なんかいらない!


☆☆☆★★     滝田洋二郎     1986年

内田裕也が扮するは芸能人のプライベートを
土足で踏み荒らし、三浦和義の店にアポ無し
突撃して本人に「ロス疑惑をどう思うか」と
訊き、お茶の間の欲望を満たすためには歌舞
伎町のホテルで殺害された少女の葬儀にだっ
て押しかけ、遺族にマイクを突きつける、い
わゆるワイドショーの"下衆の極み"レポータ
ーである。「恐縮です!」が口癖なので梨元
勝かと思いきや、梨元は本人として出演する
ので「キナメリ」という名のこの男は、架空
の芸能レポーターだと思っていいのだろう。

劇中には1985年当時の本当の芸能ニュースや
スキャンダルが織り込まれていて、今となっ
てはそちらも興味深い。途中、ネタ屋がキナ
メリに情報を売る場面で、「さんまの参宮橋
のマンションに研ナオコが越してきた」とい
う情報があったのがおもしろかった。
タモリ、赤塚不二夫、おニャン子クラブ、郷
ひろみ、ジュリーも出演。ビートたけしも最
後に狂気に満ち溢れた役で出てくる。私は豊
田商事の会長刺殺事件というのをまったく知
らなかったので、あとで調べてこういう事件
があったのかと驚いた。

                                   9.15(日) 新文芸坐


2019年9月25日水曜日

水のないプール


☆☆☆★★    若松孝二    1982年

池袋の文芸坐で、内田裕也主演作の2本立て。

地下鉄のモギリをやっている冴えない中年男
(内田裕也)が、息子の昆虫標本作りを見て
クロロホルムを使った家宅侵入および強姦を
思いつき、次々と実行していくというピンク
映画である。実際の事件を元にしているらし
い。
だんだん強姦だけでは飽き足らず、裸にして
ポラロイド写真を撮ることに熱中していくの
だが、それもエスカレートして現代アートみ
たいになっていくのがおもしろかった。若い
頃の内田裕也はすこし井浦新を思わせる精悍
な顔つきで、なかなかカッコいい。

                                    9.15(日) 新文芸坐


2019年9月21日土曜日

溺れるナイフ


☆☆☆★      山戸結希    2016年

菅田将暉と小松菜奈が主演。
いわゆる女子高生が観るような映画だが、山戸結希
が撮ることで、「ただの量産胸キュン映画のひとつ
には終わらせない」という並々ならぬ気概を感じる。

「セブンルール」においても、役者の髪の毛1本の
垂れ方にも修正を加えるこだわりぶりと、「よーい、
スタート」の声の並外れた小ささに圧倒されたが、
たしかに絵づくりのおもしろさは感じられた。移動
ショットなどもおもしろいし、効果的。ストーリー
は失笑するしかないご都合展開だが、まあそれはは
じめから期待していない。
ただ音響方面は残念としか言いようがない。まあ水
に入ったりバイクに乗ったり火を振り回したり、ア
フレコが多いのは仕方ないが、あまり馴染んでいな
い。音楽は、明らかに不必要な大森靖子のボーカル
入りの曲が芝居を邪魔しており、分かり易さにもつ
ながっていない。他にも曲想が合っておらず、In点
やOut点がイマイチな曲も多く、総じてMAはもっと
がんばれたと思う。

そんななか、ジャニーズの重岡大毅の演技に好感を
もった。「ごめんね青春!」にも出てたらしい。

                                         9.11(水) BSプレミアム



2019年9月18日水曜日

凪待ち


☆☆☆★      白石和彌    2019年

映画にテレビに、一時期の園子温のような量産
ぶりを誇る白石和彌。とてもじゃないけれど、
全部を観きれない。

香取慎吾がどうしようもないダメ男を演じた本
作は、震災後の石巻を舞台に、犯罪と暴力の饐
えた匂いが立ちこめる佳作である。
ギャンブル依存症にはなりたくないですな。何
度、再起を誓っても競輪に行ってしまうダメダ
メぶりがなかなかよかった。共演のおじいちゃ
ん、吉澤健の演技がすばらしい。リリーさんも
当然のように良い演技をしている。
何年か前は、香川照之の「出ていない」映画を
探すほうが困難な状況があったが、いまは本気
でリリー・フランキーの出ていない映画を探す
のが難しい。それぐらいの出演ぶり。あくまで
「私の好んで観るような映画」では、だが。

                                9.10(火) アップリンク渋谷


2019年9月16日月曜日

天空の城ラピュタ


☆☆☆★★★     宮崎駿     1986年

3年ぶりぐらいか。テレビ放送。
もういい加減、次に何が起こるか分かり切った上で
観ているわけだが、それでも飽きないなー。

今回はとりわけ、地下に安置されていたラピュタの
兵士が眠りから醒め、よろけたりしながらもシータ
を助けに行く場面にいたく心を打たれた。あとパズ
ーとシータは実はドーラ一味の船でごく短時間しか
働いていないのではないかというのが気にかかった。

                                                   9.5(木) 日テレ


2019年9月12日木曜日

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド


☆☆☆★★★  クエンティン・タランティーノ  2019年

快作である。いやー、おもしろかった。
上映時間は161分だが、体感時間は110分といっ
たところ。

近作の『ジャンゴ』と『ヘイトフル・エイト』
は「緊張と弛緩」に重点が置かれていて、そ
れはそれで見事なのだが、もうちょっと遊び
があってもいいのかな、という個人的な感想。
今回はいつもの「くだらなさ」が戻って来た
感じがある。

レオ様は翳りが見えて来た西部劇の俳優、ブ
ラピがそのスタントマン。これはブラピの方
がいわゆる「おいしい役」で、暇だからレオ
様の自宅のテレビアンテナを修理したりして
いるのは、正直かなりカッコいい。
1969年のハリウッドの人間模様を(かなり
忠実に)描きながら、その型にタランティー
ノらしい物語を注入している。
まあとにかく最高、必見である。

                               9.1(日) 新宿ピカデリー


2019年9月9日月曜日

テス


☆☆☆★   ロマン・ポランスキー   1980年

没落していく女の一代記と聞いていたので、
『バリー・リンドン』みたいな感じを想像し
ていたら、まあ当たらずとも遠からずか。
冒頭には「シャロンに捧ぐ」と。シャロン・
テート惨殺事件は1969年である。タランティ
ーノの新作にも、シャロン・テートが『テス』
の初版本をポランスキーへのプレゼントとし
て古本屋で買い求める場面があった。

テスを演じるのはナスターシャ・キンスキー。
それにしても男どもの行動が理解不能。テスの
罪の告白を聞いたモジャモジャが「君が別人の
ように見える」ってそりゃないぜ。ヒゲの伯爵
はなぜあんなにまでして拒絶しつづけるテスを
自分の妻にしたがるのか。いくら美人だからっ
て、面倒な家族も付いてくるし、産ませた子ど
もは死んだし、妻にまでする理由が見当たらな
い。
上映時間は170分を超える。体感時間は、まあ、
170分ぐらいかな。

                                8.31(土) BSプレミアム


2019年9月4日水曜日

マイマイ新子と千年の魔法


☆☆☆★     片渕須直    2009年

奇妙な題名だが、「マイマイ」とは頭の「つむじ」
のことで、前頭部に2つめのつむじがある新子は、
いつも前髪がそこだけピョンとはねている。お話
の上手いおじいちゃんからいつも、千年前ここは
都だったという話をわくわくしながら聞いて、空
想好きの少女となった「マイマイ新子」の現在と
千年前の都市の暮らしを交錯させながら、ひと夏
の成長が描かれる。イッキュウさんが言う「アニ
メーションにしかできない表現」というのはこう
いうことだろう。
登場する子どもたちの方言から、おそらく舞台は
広島か、山陽地方の田舎と思われる。

                                               8.25(日) 日テレ


2019年8月29日木曜日

バベル


☆☆☆★★   A. G. イニャリトゥ  2007年

モロッコ、メキシコ、日本、それぞれの場所で
進行しつつある悲劇、それもタイトルになぞら
えて「言葉が通じない」がゆえに何倍にも増幅
された悲劇を交互に行き来しながら紡がれてい
く物語。本当に絶望的なフィルムというか、救
いはことごとく拒絶され、希望は光を失い、だ
れもが孤独の中に取り残される。あるいは不運
にも命を落とす。それもこれも人類がバベルの
塔なんか作ろうとした報い、ということか。
『21グラム』『バードマン』『レヴェナント』
とこの人のフィルムを観ているが、安易な物語
を徹底的に拒絶する姿勢は一貫している。

菊地凛子の好演が光っている。JKという鎧を意
気揚々と身に付けた姿と、弱さと不安に押しつ
ぶされそうな少女を体現してすばらしい芝居を
していると思う。

                                  8.9(金) BSプレミアム


2019年8月25日日曜日

新聞記者


☆☆☆★    藤井道人    2019年

この内容の映画でユーロスペースがいっぱいに
なっていると聞いて、少なからず勇気づけられ
もしたのは7月のはじめ。その後も1カ月ロング
ランを続け、私が観に行った8月初旬の平日は
さすがに客席はまばらだったが、続いているこ
とが驚きである。まあそれだけあの傲慢さと、
ひとを舐めくさった態度に我慢ならない人たち
も多いということだ。

東京新聞の望月衣塑子の著作を原案として、フィ
クションの皮をかぶった告発映画のようにも読
み取れるようになっている。観ながらふと『ねじ
まき鳥クロニクル』に出て来た「下品な島の猿の
話」を思い出した。早くこの下品さの自己増殖の
サイクルを断ち切らなければと思っているひとは
多いはずだが…。

                                 8.7(水) ユーロスペース


2019年8月22日木曜日

【LIVE!】 THE BACK HORN


マニアックヘブン Vol.12

 1. 野生の太陽
 2. セレナーデ
 3. 楽園
 4. 8月の秘密
 5. 幸福な亡骸
 6. 海岸線
 7. 夏草の揺れる丘
 8. 虹の彼方へ
 9. 自由
10. 甦る陽
11. 何もない世界
12. 水芭蕉
13. 太陽の仕業
14. 真夜中のライオン
15. 導火線
16. 蛍
17. 夏の残像

(Encore)
 1. 天気予報
 2. 心臓が止まるまでは(新曲)
 3. さらば、あの日

                     8.12(月) 新木場STUDIO COAST


初の夏開催ということで、ライブが進行していくうち
に薄々わかってはいたが、"夏"縛りの選曲であること
が途中で明かされた。うーむ、なるほど。おもしろい。
それでこれだけの曲が集められるのだから、これはや
はりたいしたものだろう。熱い夜だった。

しかし「海岸線」とか「虹の彼方へ」のような難しい
曲を軽々と演奏するのを見ていると、演奏がほんとに
うまくなったと思う。これは謙遜でも卑下でも何でも
なくて、昔のバックホーンはベース以外全員下手だっ
た。「魂」で演奏していたからそれでもいいのだ。
山田の喉の調子はあいかわらず。ちゃんと出たのは
「セレナーデ」まで。いつか本調子に戻るのだろうか。

ベストアクトは「甦る陽」~「何もない世界」の流れ。
秀逸だった。「真夜中のライオン」~「導火線」も捨
てがたいが、マニアックさに欠けるといえなくもない。

2019年8月18日日曜日

お米とおっぱい。


☆☆☆★   上田慎一郎   2011年

『カメ止め』監督の自主制作による長篇1本目。
テレビで深夜にやっていたのを捕獲。

あるテーマについて、その場にいる全員の意見
が一致するまで議論を尽くし合う密室劇である。
当然ながら『12人の怒れる男たち』や、それを
三谷幸喜が翻案した『12人の優しい日本人』と
比べられるのは覚悟の上だろう。真っ向勝負と
いうところか。

今作が巧妙なのは、その肝心となる議題を、
「お米とおっぱい、どちらかがこの世からなく
なるとしたら、どちらを選ぶか」
という心底ばかばかしいものにしたことである。
全員が一致した結論を出せれば10万円の報酬が
あるという、いわゆる「うまい話」である。そ
れに釣られて集まってきた人たちのほとんどが、
「おっぱい」でさっさと意見を一致させて10万
手にして帰ろうとするが…、という話で、もち
ろん議論しているだけでは退屈してしまうので、
いろいろと工夫が凝らされている。まあ『カメ
止め』とは似ても似つかない映画であることは
たしかである。

                                      8.6(火) 日テレ


2019年8月14日水曜日

イメージの本


☆☆☆  ジャン=リュック・ゴダール  2019年

公開時は怠慢からつい見逃してしまったので、
アップリンクで捕獲。当時、「キネマ旬報」で
はゴダール特集をしていて、巻頭対談は佐々木
敦と菊地成孔だった。開口一番、菊地が「今回
はよかったですよ、よく寝られて」と言ってい
たのはなかなかおもしろかった。

私ももちろん途中で寝た。1章、2章は確かに起
きていたのは覚えていて、3章からはあやしい。
5章が始まったときに覚醒したので、4章を観た
記憶がまったくないのはまことに遺憾である。

映像でつづるエッセイという表現も「キネ旬」の
中にはあったが、もはやエッセイとすら呼べない
のではないか。コラージュ、断片、思考の流れ…。
これはいったい何なんでしょうね。

                             7.28(日) アップリンク渋谷


2019年8月9日金曜日

ドゥ・ザ・ライト・シング


☆☆☆★★★    スパイク・リー   1990年

「正しきことを成せ」
ゴキゲンなラジオDJの語りにのせて、ニューヨーク
のとあるストリートの1日を描いたスパイク・リー
の出世作。HIPHOPに代表される「ナウな」ストリ
ートカルチャーを活写した無邪気な映画かと思いき
や、ある行き違いが元で黒人たちの怒りが爆発し、
暴動にまで発展してしまう。イタリア系移民の経営
するピザ屋が主な舞台となっており、最終的にはこ
こで悲劇が起こる。

才気煥発という言葉がピッタリくる、がちゃがちゃ
しているがパワーに満ち満ちているフィルムである。
観ていて楽しい。デカい黒人のあんちゃんがデカい
ラジカセを担いでいるだけで画になる。

                                          7.22(月) 早稲田松竹


2019年8月6日火曜日

ブラック・クランズマン


☆☆☆★    スパイク・リー   2019年

早稲田松竹でスパイク・リーの2本立て。

スパイク・リーは初鑑賞と思っていたら、ずーっと
前に2本立ての1本で『セレブの種』を観ていた。そ
れも早稲田松竹で。もうほとんど覚えていないけれ
ども…。

本作は、黒人警官がKKKに潜入捜査するという、あ
りえないような実話を基にしている。らしい。

潜入がバレるバレないのハラハラもあるにはあるが、
そこまでサスペンスフルではなく、どちらかといえ
ば軽口や人種差別ジョークに笑いながら、最後は差
別主義者たちが死んだりボコられたりして痛快、と
いう感じ。しかし一方にはもちろんシリアスな流れ
も確固としてあり、主張の強い映画でもある。画像
はラストカットに据えられる、さかさまの星条旗。
しかしKKKに電話する人間と潜入する人間をどうし
ても分けなくてはならない理由が弱い気がして、そ
こがずっと引っ掛かっていた。

                                          7.22(月) 早稲田松竹



2019年8月3日土曜日

【LIVE!】 山下達郎


  PERFORMANCE 2019


去年に続き、抽選に応募しまくりなんとか1枚
だけ当たった。東京に住んでいて嫌なことは
ほとんど無いが、達郎のコンサートに行くの
が困難なことだけは嫌だ。

運よく仕事も早めに終わり、開演の3分前に席
に滑り込んだ。3階の最後方ではあったが、音
響はさすがに良い感じで、心置きなくすばら
しき"パフォーマンス"を堪能した。

セットリストにおなじみの曲が多いのはいつ
ものこと。めずらしいところだと"土曜日の恋
人" "サウスバウンドNo.9" "PAPER DOLL"あ
たりか。
そして大瀧さんが亡くなってしまって6年が経
ち、ようやく歌える気持ちになってきたと言っ
てカバーしたのはなんと"君は天然色"。完成度
の高さについ感涙してしまった。その日いちば
んの拍手がいつまでも続いたところを見ると、
みんな感激したんだと思う。

                                     7.18(木) NHKホール


2019年7月30日火曜日

読書⑦


『夏物語』
川上未映子 著   文藝春秋

発売を知ったときからむしょうに読みたくて、
発売日に買い求め、まっすぐ家に帰ってソファ
でひたすら読み進めるなんていうことを、ずい
ぶん久しぶりにやった。まずタイトルがいいね。
短くて、喚起力がある。
読み終えても、ずっしりとした物語の重層的な
手ごたえが私のなかにしっかりと残っている。

重層的というのはほかでもない、登場人物たち
のヴォイス、そしてヴォイスの書き分けのこと
だ。それは関西弁と標準語の書き分けというだ
けでなく、それぞれ固有の人物の発する言葉に、
物語を推進していく力とキャラクターの個性が
みっちりと入っているということでもある。
人物の書き分けが格段にうまくなっており、複
数のヴォイスが重層的に響き合うさまはドスト
エフスキーを思わせる、というと言い過ぎか。









「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ヤクルト・スワローズ詩集」
村上春樹 著   文學界2019年8月号

奇しくも文學界の川上未映子特集号に村上春樹
の新作短篇が2つ載っている。
「ウィズ・ザ・ビートルズ」はその名の通り、
ビートルズのLPを大事に胸に抱えた美しい少女
と高校の廊下ですれ違うエピソードから派生す
る、奇妙な私小説風の短篇。肝になるのは当時
付き合っていた女の子の兄で、なぜか作者は彼
女の兄に芥川の『歯車』を朗読して聞かせるこ
とになる。ここで芥川が出て来るのが、春樹が
変わってきた証とも言えそうだ。

もうひとつは、昔からあるあると言われていた
(というか春樹がそう言っていた)「ヤクルト・
スワローズ詩集」がついにその全貌を現した。
この脱力感はひさびさな気がする。


2019年7月27日土曜日

蜘蛛の瞳


☆☆☆★    黒沢清    1998年

『蛇の道』と同時期に撮られた連作といえる。
脚本に高橋洋が関わっていないのが大きいのか、
こちらはサスペンスよりもオフビートな感じが
強い。ダンカン演じる準主役も、摑みどころが
なく不気味である。まあこういう人物、のちの
黒沢作品にはいっぱい出てきますよね。

しかしいくらなんでも妻とふたり暮らしの家が
暗すぎる。雰囲気も暗いが、照明的にも暗い。
しまいには殺された娘が見えるというホラー描
写まであり、かなり「らしい」演出が見られる。

                                               7.9(火) DVD


2019年7月24日水曜日

蛇の道


☆☆☆★★    黒沢清    1998年

『勝手にしやがれ!!』シリーズの流れをくんだ、
哀川翔を主役に据えた低予算Vシネマ。しかしな
がらこのフィルムが写し出している廃墟、暴力、
けだるさ、そして狂気に、黒沢清のエッセンスが
凝縮されているようで非常に興味深い。
当時はスキあらばアンゲロプロス的な長回しをし
ようと試みていたと『黒沢清の映画術』でも語っ
ているが、同時に後輩である青山真治や篠崎誠の
海外での成功に刺激を受けていたとのこと。あん
まりそういうの気にしなそうなのに、意外…。

                                                 7.9(火) DVD


2019年7月20日土曜日

アラモ


☆☆☆★     ジョン・ウェイン     1960年

タランティーノが『イングロリアス・バスターズ』
に本作のテーマ音楽を使ったということで、タイト
ルだけは知っていた。

数え切れないほど西部劇の主演をつとめたジョン・
ウェインがずっと温めていた企画らしく、自ら監督
し主演した160分を超える大作西部劇である。
「アラモ砦の13日間」といえばアメリカ人のDNA
には深く刻まれている出来事らしい。まあ要するに
ナショナリズムの拠り所のひとつ、という意味で…。
まあ私にはあまりそのへんの意気ごみというものが
いまひとつ分からないのでアレだが、退屈すること
なく観ることはできた。こんなヌルい感想ではトラ
ンプからは不興を買うかもしれないが。そもそも観
てないか。

                                        7.9(火) BSプレミアム


2019年7月16日火曜日

海獣の子供


☆☆☆★      渡辺歩     2019年

夏休みこども映画のフリをしたおそろしく難解な
映画という評判を聞きつけて、さっそく観に行っ
てみた。まあ制作側には別に「フリをした」つも
りも無いかもしれないけどね。
冒頭、ハンドボールのプレーをめぐる喧嘩で「謝
る気がないならもう来なくていいぞ」と部活の顧
問に言われるヒロイン。放心状態でやって来た新
江ノ島水族館(父親が働いている)で、ジュゴン
に育てられたという不思議な少年「海(うみ)」
に出会う…。

この時点で、さまざまな出会いや経験を通じて、
ヒロインは少し成長し、最後はケガをさせた相手
に謝って部活に戻るのだろう、という予測は付く。
しかしながら、この「さまざまな出会いや経験」
の部分がかなりぶっ飛んでいて、子供向けの説明
なんかもちろん無く、というかこうして15年ほど
わりに熱心に映画を観ているいい大人のわたくし
でも付いて行けないほどの情報量と大胆な省略と
イメージの奔流に押し流されて漂流する。ここま
で振り切れると、逆に子供向け映画に食傷してい
るマセガキには良いかもしれないね。

                   7.7(日) ヒューマントラストシネマ渋谷