☆☆☆★★★ 今泉力哉 2021年
公開5周年を記念して、リバイバル上映されて
いた。おそらく『冬のなんかさ、春のなんかね』
が地上波の普通の恋愛ドラマ(つまり「職業ド
ラマ」ではなく、ということ)としては異例な
ほど話題になったというのもあるだろう。
私はもちろんあのドラマを観てミッシェル・ガ
ン・エレファントを熱心に聴き直しているよう
な状態である。コインランドリーで杉咲花のイ
ヤホンからミッシェルの"blue nylon shirts"が
流れた時は、それこそ雷に打たれたような衝撃
が走った。
それはそれとして、『街の上で』という、あまり
ヒットさせようという気も無さそうなタイトル
のこの映画は、下北沢という街の「趣き」その
ものが主役のような映画である。演劇の街、古
着の街、(おもに貧乏な)若者の街、という5年
前のシモキタのイメージが画面に充溢している
し、登場人物たちからもそういう匂いがする。
こじらせ顔の若葉竜也という主役はいるものの、
その主役はいきなり女に振られ、古本屋の女に
は失言して怒らせ、映画を撮っている女にはぞ
んざいに扱われ、衣装部の女には振り回され…
と思いきやようやく気脈が通じたのか、友達に
なってくれと言われる。この衣装部役の中田青
渚がすばらしい存在感で、「いろいろあったけ
ど全部持って行った」感じになっている。
自分にこういう青春があったわけではないが、
なんだか他人事とも言い切れない、絶妙な懐
かしさと甘酸っぱさと苦さと…。きっと自分
の二十代を思い返すことになる映画である。
4.28(火) テアトル新宿
