2026年6月26日金曜日

国宝

 
☆☆☆★★   李相日   2025年

故あって2度目の鑑賞。
やはり冒頭の新年会のシーンが素晴らしく、
永瀬正敏の迫力も相まって一気に物語に引
き込まれる。
中盤以降は、1度目とあまり印象は変らず、
それでいて新鮮さはなくなって最初に受け
た感銘はよみがえらず。この「血か芸か」
という日本人が大好きっぽい究極のテーマ
とはいえ、3時間の大河ドラマを最後まで
見せきる映画的な腕力は確かなものである。
三浦貴大の役割が要所で大きすぎて少し不
自然に感じたが。
歌舞伎と劇伴音楽がミックスされていくと
ころのバランスなどは本当に見事。

                             4.21(火) 角川大映試写室




2026年6月20日土曜日

ナイトフラワー

 
☆☆☆★★    内田英治   2025年

「シングルマザーがクスリの売人になる」と
要約すると荒唐無稽なようだが、内田英治の
手にかかれば自然と引き込まれるリアリティ
を有する秀作となった。闇の世界に一般人が
足を踏み入れてしまうサスペンスであり、プ
ロボクサーとしてもがく日々を送る森田望智
との「バディもの」でもある。殴られた顔を
血だらけにして絶叫する森田望智はさすがの
女優魂。「全裸監督」のコンビ再び、である。

渋川清彦の芝居が最高。好きだわ、このひと。

                                  4.21(火) 角川大映試写室




2026年6月13日土曜日

宝島

 
☆☆☆★   大友啓史   2025年

故あって2度目の鑑賞。
今回は沖縄ことばの字幕は無いバージョン。
一度予習しているので、ことばが分からない
ストレスも誰が誰なのか分からないストレス
も無く、それもあって1度目よりじっくりと
この沖縄の若者たちの戦後史を味わうことが
できた。
ラストの米軍基地でのやりとりがハイライト
ということなのだろうが、二人の議論は平行
線である。米軍基地を出たあとも物語は進む
が、「命より大事なものはない」的なまとめ
方が、190分にも及ぶ壮大な映画に対してい
くぶん安易すぎるというか、手垢がつきすぎ
ているようにも思った。
やはり瀧内公美の演技が出色。

                                         4.21(火) 角川大映試写室




2026年6月7日日曜日

石炭の値打ち

 
☆☆☆★★  ケン・ローチ  1977年

ケン・ローチの60年近くにわたるキャリア
の初期作品のリバイバル上映。傑作である
という評判を聞きつけて駆け付ける。

イギリスの典型的な炭鉱を舞台にしながら、
ドキュメンタリーとフィクションの境を分
からなくした巧みな構成は、まだ若い監督
とは思えないさすがの手際。

第1部「炭鉱の人々(Meet the People)」
イギリス皇太子の視察訪問が決まり、その
準備に右往左往、些細なことにも一喜一憂
する炭鉱のお偉いさん。それに振り回され
る労働者と子どもたち。コメディである。

第2部「現実との直面(Back to Reality)」
一転して、炭鉱の危機管理と人権意識の薄
さを告発する落盤事故を描いた悲劇。細か
いカット割があることでフィクションであ
ることを意識させられるが、本物の炭鉱で
撮影された映像は息詰まる迫真のもの。

                                    4.5(日) 早稲田松竹