☆☆☆★★ 濱口竜介 2026年
傑作を連打している濱口竜介。
プレッシャーは当然感じているのだろうが、
本作でも大胆に観客の想像を超えてくる。
3時間16分の長さにはいまさら驚かないも
のの、まずはパリが舞台のまったくのフラ
ンス映画であることに驚かされる。セリフ
はフランス語と日本語が8:2ぐらいで飛び交
い、混じりあい、溶け合っていくようでも
ある。資本主義に関する長々とした議論が
延々と(フランス人らしく!)続いたかと
思えば、劇中劇の独り芝居がおごそかに始
まったりもする。
ヴィルジニー・エフィラと岡本多緒、役名
"マリ"のふたりが主演。独り芝居を演じる
長塚京三と自閉症の青年を演じた黒崎煌代、
物語の要ともなる厳格な看護師ソフィがす
ばらしかった。
介護施設の施設長を務めるヴィルジニーが
職場に取り入れようとしている"ユマニチュ
ード"。私は初めて知ったが、人間の尊厳を
守りながら介護をしようという概念だとい
う。もともとは往復書簡という形式の原作
を映画にするにあたって、このユマニチュ
ードが重要なファクターとなって映画が動
き出したという。
演出によって役者同士の間に独自のマジッ
クを生む手法は『ドライブ・マイ・カー』
のなかの『ワーニャ伯父さん』の稽古の場
面でも垣間見られたが、本作でも幾度かマ
ジックは生まれていたように思う。少なく
ともソフィをヴィルジニーがインタビュー
する場面にはそれを感じた。
7.2(木) Bunkamuraル・シネマ

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