2025年11月29日土曜日

至福のレストラン 三ツ星 トロワグロ

 
☆☆☆★★★ フレデリック・ワイズマン  2024年

豊かな240分であった。
親子3代でミシュランの三つ星を55年も獲得
し続けるレストランの厨房、客席にとどまら
ず、食材の買いつけやメニュー考案の瞬間に
至るまで、徹底的にカメラを向ける。
ナレーションも、音楽も、インタビューすら
も無いドキュメンタリーだが、その分いろい
ろな登場人物の人柄そのものが写し出される
ようだ。

                                       8.13(水) 早稲田松竹




2025年11月23日日曜日

パウ・パトロール パウ・パーティー in シアター 2025

 
まあいちおうお金を払って映画館で観たので、
ここに記しておく。

                           7.30(水) シネリーヴル池袋



2025年11月8日土曜日

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN

 
☆☆☆★★★  ジェームズ・マンゴールド  2025年

ボブ・ディランの伝記映画。
ギター1本抱えて田舎から出てきてデビューを果
たし、エレクトリック化してフォーク界と訣別
するまでを描いている。
ティモシー・シャラメは相当ディランを研究し
たと見えて、見事ななりきりっぷり。パーティ
ーで嫌々ながらサラッと歌ってみせるところな
ど、非常にうまい。
ディランに多大な影響を与えた伝説的フォーク
歌手ピート・シーガーを演じるのはエドワード・
ノートン。あの「ファイト・クラブ」のエドワ
ード・ノートンがまるで時代遅れのフォークじ
いさんのような役を演じているのが、「そりゃ
俺も年をとるはずだよ」という感じだが、これ
が名演。自らが招き入れた才能によって、伝統
的なフォーク・フェスティバルが破壊されてい
るという彼の葛藤は充分に伝わってくる。
ティモシー・シャラメによるディランの歌を聴
くだけでも一見の価値がある映画である。

                                         7.20(日) 早稲田松竹



2025年10月23日木曜日

ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた


☆☆☆   ビル・ポーラッド   2022年

兄弟バンドが牧場の片隅に建てたスタジオで
録った1枚きりのアルバムが、30年後に突如
"再評価"され、ヒットする。天才肌の弟と、
人はいいが音楽的な才能はない兄。リバイバ
ル・ヒットの勢いでアメリカ・ツアーをしよ
うという話が持ち上がり…あとはだいたい、
ご想像の通り。
兄弟の確執と和解がいくぶんわざとらしく、
妻役のズーイー・デシャネルもいまひとつ
輝いてこない。
実話をもとにしているので、ほんとにリバ
イバル・ヒットした曲が演奏されているら
しいのだが、それはたしかに良い曲だった。

                                 7.20(日) 早稲田松竹



2025年10月16日木曜日

はじまりのうた


☆☆☆★  ジョン・カーニー  2015年

落ち目の音楽プロデューサーが才能のある
女の子を見出し、売り出していくという話
で、ありきたりではあるのだが、「街なか
で録音する」という行為は確かに良い効果
を生むアイディアかもしれないと思った。
あんな簡単な機材では無理だと思うが…。

                                        7.17(木) シネクイント



2025年9月30日火曜日

今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は

 
☆☆☆★★★   大九明子   2025年

『国宝』が秀作で気分が高揚していたからか、
いちど帰宅して晩ごはんも食べた後に再び自転
車をこいで新宿に向かい、本作を鑑賞。
これまたすばらしい映画だったため、実に至福
の一日となった。

祖母を亡くして気分が落ち込んでいた男子大学
生が、変わり者の友人と波長の合う女の子(河
合優実)によって再生していくという話。

飛ぶ鳥を落とす勢いの河合優実は、たしかによ
かった。よかったが、この映画に関しては伊東
蒼のすごさが炸裂するワンシーンにほとんどす
べてが持って行かれてしまうほどの破壊力があ
り、すっかり泣かされてしまった。
「初恋クレイジー」、良い曲ですよね。

                                            6.29(日) テアトル新宿




2025年9月10日水曜日

国宝

 
☆☆☆★★★   李相日   2025年

原作小説の長さからすれば映画が3時間になる
のは当然だろう。小説でも印象的だった開巻
のヤクザ一家の新年会の描写がすばらしく、
思わず見入ってしまう。
喜久雄の才能が見いだされる瞬間、生まれた
家、背負った業、父を目の前で惨殺されると
いうトラウマ…。多くのものをここで観客に
提示しなければならない。永瀬正敏は往年の
東映の任侠映画のような迫力があり、短い出
番ながらも鮮烈だった。

 3時間、だれることのない充実した内容で、
至福の「映画的時間」を過ごすことができた。
俳優部の努力はすさまじいものがあっただろ
う。月並みな表現だが吉沢亮と横浜流星はま
さに「役を生きて」いたように思う。

渡辺謙が自分の息子も喜久雄も分け隔てなく
呼ぶ「あんた」と、万菊さんがこちらを見ず
に発する「あなた!」の声色にシビれる。

映像と音声も一流の仕事だったが、ここぞと
いうときにクローズアップが多用されるのが
気になった。バリエーションが少ない。

小説としては悪人、怒り、国宝の順だと思っ
ているが、映画は逆に国宝、怒り、悪人の順
のようだ。

                                         6.29(日) 新宿バルト9