2016年2月13日土曜日

ヒッチコック


☆☆☆★           サーシャ・ガヴァシ        2013年

こうなったらヤケで、帰宅後ダメ押しの4本目。

『サイコ』製作時のヒッチコック夫妻の話。
ヒッチコック役はアンソニー・ホプキンスで、『Ray』ぐらいから盛ん
になった「目指せそっくりさん」な演技。でもけっこう似ている。妻
は、『クイーン』でエリザベス女王を演じたヘレン・ミレン。エリザベ
ス女王とレクター博士の夫婦というのが笑える。

原作が悪趣味だからとパラマウントが出資しなかったとか、最初
の試写はデキが悪くて再編集したとか、なかなか興味深い。興味
深いのだが、『サイコ』を観る際にぜひ知っておくべきかというと、
別にそうでもない。

スカーレット・ヨハンソンを久しぶりに見た。ジャネット・リーの役。
実在の女優を演じるというのは、やりにくいだろうな。

                                                           2.2(火) BSプレミアム


2016年2月12日金曜日

ジプシーのとき


☆☆☆★★      エミール・クストリッツァ     1989年

早稲田で2本立てを観たものの、気力・体力ともにまだ充実していた
ので、恵比寿に移動してクストリッツァ特集上映に参戦。
『アンダーグラウンド』よりも前の作品だが、すでに完全にクストリッ
ツァ印の映画だった。もうこのひとは『マラドーナ』とか撮ってないで、
永遠にこういうブンチャカブンチャカ騒がしい映画を撮り続けてほし
いものだ。

主人公がニノに似ている。笑った顔とか。







どうすか。怒られますかね。

劇中、少なくとも3つの結婚式が出て来る。このひとはほんとに騒が
しい宴会を撮るのが好きだよね。『ライフ・イズ・ミラクル』の壮行会
を思い出す。

                                                 2.2(火) 恵比寿ガーデンシネマ



2016年2月9日火曜日

ビッグ・シティ


☆☆☆★        サタジット・レイ      1963年

今作も、舞台はカルカッタ。
のみならずこちらでも、さっきチャルラータを演じてた女優が
主演を張っている。きっと中期サタジット・レイのミューズだっ
たのだろう。

今度はチャルラータは(チャルラータではないが)中産階級の
奥さんである。夫は銀行員なのだが、子どももおり、夫の両親
とも同居しているので、生活はラクとはいえない。

そこで家計の足しにするため、アルバイトを始める。
ところがこの元チャルラータがミシンのセールスに思わぬ才能
を発揮し、グループリーダーに抜擢されるほどになる。労働に
喜びを見出しはじめた妻に、複雑な感情を抱く夫。もともと短期
の約束だったとかいって妻の仕事を辞めさせようとするのだが…。

都市で生活すること。それ自体が主題となっているわけである。
つまり、なんとなく村上春樹的。

                                                            2.2(火) 早稲田松竹


2016年2月7日日曜日

チャルラータ


☆☆☆★            サタジット・レイ        1964年

インド映画の巨匠、サタジット・レイの特集。
といっても私にはまったく未知の監督。
インド映画といえば、歌や踊りで騒々しいイメージだが、この
映画はまったくそんなことはなく、丁寧に人の心の機微を描い
た静謐な映画である。こんなインド映画が60年代からあるん
だね…。こういう特集を組むのが早稲田松竹。啓蒙的なので
ある。

舞台は1880年、カルカッタ。チャルラータは上流階級に属す
る夫人である。マドビ・ムカージーという女優らしいが、ちょっ
と久我美子に似ている。
裕福なので、家も広く、メイドとかもいて、基本的にヒマである。
有閑マダム。刺繍をしたり(下画像)、小説を読んだりする。
夫は政府に批判的な新聞社の社長をしており、忙しい。そし
てチャルラータが読むような小説はバカにしている。
そこに夫の従弟で、これまたヒマをもてあましている大学生の
アマルが、夏休みの間、逗留することになる。文学や音楽に
素養のあるアマルはチャルラータと話が合い、チャルラータは
次第に、あくまで自然に、アマルに親愛の情を抱くようになるよ
うなのだが……。

なんか漱石みたいな話だな、という第一印象。
このアマルの方を主人公にすれば、『行人』に似ていなくもない
ような。いずれにせよ、こんな地味なインド映画もあるのである。

                                                          2.2(火) 早稲田松竹


2016年2月6日土曜日

悪魔の手鞠唄


☆☆☆★★          市川崑           1977年

ようやく、市川崑映画祭に参戦。
とりあえず昔、金田一を5本連続で観て、いちばん人間
関係が複雑で分からなかった本作を再見。

舞台は例によってとある寂しい村。
その名も鬼首(おにこべ)村。
例によって対立する二つの家。由良家と仁礼家。
そして手鞠唄になぞらえて、娘たちが次々に殺される。
死んでいるはずの老婆。掘っ立て小屋に住むあやしい老人。
お膳立ては完璧!

手鞠唄をちょっとずつしか思い出さないおばあちゃんがおも
しろい(下画像)。死体の見せ方にこそ美学があることをこの
映画から学んだのであった。
今回は犯人が分かっているので、人間関係もよく分かったよ。
しかし「犬神家」ほどの感動はなく。

                                                   1.30(土) 角川シネマ新宿


2016年2月4日木曜日

クヒオ大佐


☆☆☆★★★       吉田大八      2009年

おもろいやんけー! 吉田大八。
期待してなかったので得した気分。

結婚詐欺師が巧みに女を騙していくだけかと思っていたので、
クヒオ大佐が意外にドジで笑える。銀座のNo.1ママには逆に
貢がされそうになるし、新井浩文には脅されて金を取られる。

弁当屋を切り盛りする松雪泰子とのやりとりがメインではある
のだが、ここでも満島ひかりが良い。
最近では「江戸川乱歩短編集 1925年の明智小五郎」での
満島も最高だった。表情も絶妙で、男装も似合う。何より、あ
の身のこなしが良い。「屋根裏の散歩者」の謎解きで、柔道
の篠原に寄り掛かったり足を絡めたりする動作に魅せられる。
サッカー解説じゃないが、「フィジカルが良い」んだな、きっと。

                                                       1.31(日) BSプレミアム








<ツイート>
岩井俊二のMOVIEラボ Season2が始まるよー。
観ないっていう選択肢は存在しないよ。


2016年2月1日月曜日

彼岸花


☆☆☆★★        小津安二郎      1958年

デジタルリマスター版というのを鑑賞。

小津の初カラー作品で、監督みずからカラーフィルムを
選定したとのこと。"赤いやかん"はその成果ってことか…。
それにしても異様だった。

初めて観たはずなのだが、たびたび既視感に襲われる。
『秋日和』は観た、『彼岸花』はまだ、と思ってたけど、もし
かして逆だったか……いやそんなはずは……と、何度も
疑心暗鬼になるほど。小料理屋で佐分利信、北竜二、
中村伸郎が女将をからかうシーンなんてものすごく見覚
えがあるのだが…。

しかし自己模倣を繰り返す小説家は二流扱いされるのに、
「毎回同じ話かよ!」とツッコまれるのを待っているとしか
思えない小津が超一流というのは、これいかに。
映画においては話が同じだろうと、そんなことは関係ない
ということになる。しかし『秋刀魚の味』とかおもしろいんだ
よなぁ。

                                               1.20(水) BSプレミアム