2020年4月23日木曜日
何がジェーンに起ったか?
☆☆☆ ロバート・アルドリッチ 1962年
小さい頃、人気子役だった妹。しかし大人に
なると人気が翳り、反対に姉(ジョーン・ク
ロフォード)のほうが演技力を評価されて人
気は逆転。だが、不慮の事故で姉は車椅子生
活となり、いまは妹(ベティ・デイビス)が
面倒をみている。妹はもう一度スターに返り
咲く夢を捨てておらず、姉に嫉妬してきつく
当たり…。
サスペンス、ホラーの要素もあるのだが、演
出になじめず。なぜそこで大声で助けを呼ば
ない! なぜそこで引き返す! なぜもっと
早く電話しない!
もっと早く助かる手段はいくらでもあったの
に、なぜ、なぜずくめでちっとものれなかっ
た。
でもベティ・デイビスの怪演に★ひとつ進呈。
4.11(土) BSプレミアム
2020年4月21日火曜日
【演劇】ドクター・ホフマンのサナトリウム ~カフカ第4の長編~
作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
カフカの長編小説は、『城』『審判』『アメ
リカ』のいずれも未完の3作しか残されてい
ないが、もしも第4の長編小説が発見された
ら、――という仮定のもと、「小説の草稿が
発見された現代」「カフカがその小説を書い
た時代」「小説の中の世界」を自在に行き来
しながら、次第に3つの世界の境界が溶け合っ
ていく、というややこしい設定。だが、巧み
な脚本でこんがらがることはなく、それぞれ
の世界に一瞬で連れて行かれる。
主演は多部未華子と瀬戸康史。
芝居で観る多部ちゃんは、幼い感じもありつ
つコケティッシュで、非常にいい。瀬戸康史
もテレビで観るよりいいと思った。
トランペットとヴァイオリンの入った生演奏
が実にカッコいい!
4.10(金) BSプレミアム
2020年4月19日日曜日
バンド・ワゴン
☆☆☆★ ヴィンセント・ミネリ 1953年
近年、小林信彦は文春のコラムでMGMミュージ
カルへの惜しみない愛を語るが、わたしはその
コラムを愛読していながらミュージカルに疎く、
"MGM"が何なのかもよく知らなかった。ミュー
ジカル映画の全盛期を支えた映画スタジオで、
MetroとGoldwynとMeyerが合併してできたの
がMGMなんですね。
とりわけこの『バンド・ワゴン』のすばらしさ
を語った文章を読んだのはもはや1度や2度では
なく、御大よっぽどお好きらしい。
落ち目のミュージカル俳優をフレッド・アステ
アが演じる。前衛的な演出家と組んで、はじめ
は大失敗するものの、みんなのミュージカル愛
でいちから再出発して成功を収めるという王道
のストーリー。それを華やかで楽しい楽曲が彩
る。
4.9(木) BSプレミアム
2020年4月17日金曜日
読書⑧
『斜陽』
太宰治 著 新潮文庫
初読です。おはずかしいことに。
私が子どもの頃は、日本で10番目に売れた
本だったと思う。いまはどういう順位になっ
ているのか知らんが。
「恋と革命」に生きることを決意した没落
貴族の娘の話、と要約できなくもないが、
これは実に異様な話である。蛇のエピソー
ドの執拗さをわざわざ挙げるまでもなく、
小説ぜんたいに不気味な、まがまがしいも
のが込められている気配がして、読んでい
て寒気がするようであった(発熱はない。
あしからず)。
読後、「葉桜と魔笛」がむしょうに読みた
くなり本棚を探すも、どうやら実家に置い
てきたようで見当たらない。なむなむ。

『ナイン・ストーリーズ』
J.D.サリンジャー 著 柴田元幸 訳 ヴィレッジブックス
言わずと知れたサリンジャーの短篇集。
野崎孝でとおい昔に読んだと思うのだけど、
例によって覚えていない。柴田訳はとても
読みやすくて、言葉のチョイスなども私は
好きだった。
何にでもランキングをつけたがるのは「男
の子の常」かもれないが、たとえそのよう
な誹りを受けようとも、ひとつベスト5を
決めることにする。
1. バナナフィッシュ日和
2. ディンギーで
3. エスキモーとの戦争前夜
4. エズメに―愛と悲惨をこめて
5. コネティカットのアンクル・ウィギー
こんなにも執拗に「子どもとおとなの会話」
を書いていたかとあらためて驚く。うまい
なぁ、と舌を巻くこともあれば、ちょっと
「やり過ぎ」かなと感じるものもある。
春樹が最近書いた「ウィズ・ザ・ビートルズ」
は「エスキモーとの戦争前夜」に似てるね。

<ツイート>
「タイムマシーンに乗って」とか「ボレロ」
のMVって有るんだ! 24年ファンやってる
けど知らなかったよ…。
2020年4月15日水曜日
チャップリンの黄金狂時代
☆☆☆★★ チャールズ・チャップリン 1925年
ナレーションはあとから付け足したんですね。
いま観ると、わりと無理やり詰め込んでいる
ようなところもある。たしかにサイレントで
は分かりにくい部分もあり、ナレーションに
よる説明はあったほうがいいと思う。ちょっ
と多いかもしれないが。
傾いた小屋の中での攻防、パンとフォークに
よる洒脱なダンス、飢えのあまり靴を食べる
シーンなど、有名な場面がもりだくさん。実
にたのしい。
4.8(水) BSプレミアム
2020年4月13日月曜日
読書⑦
『本当の翻訳の話をしよう』
村上春樹 柴田元幸 共著 スイッチパブリッシング
「復刊してほしい翻訳小説」にはじまり、
「ジョン・チーヴァー」や「短篇小説の書
き方」についてなど、村上×柴田でおこなっ
た対談を多数収録。チャンドラーやカポー
ティの文章を村上訳と柴田訳を並べて比較
しているものがあり、興味深い。
春樹はいちど逐語的に訳したあと、いった
ん元の英文を忘れて、文章として自然にな
るよう直すらしい。結果、両者の訳を比べ
ると明らかに春樹の訳文は長い。少なくと
も今回の箇所についていうと、柴田訳の方
がスッキリしていて好みではある。
柴田さんによる、明治から翻訳史をたどっ
た入魂の、わりと長めの講演も収められて
いる。

『東京湾景』
吉田修一 著 新潮文庫
出先で時間ができたので、読み落としてい
た吉田修一の中では比較的有名な1冊を。
最近いわゆる「湾岸地区」でのまとまった
仕事があったので、何度も通ったこともあ
り、あのだだっ広い埋め立て地の雰囲気が
勝手に浮かんできた。――のはいいとして、
小説としては、私の「あまり興味ない方の
吉田修一」というか、まあ表紙の平凡な首
都高の写真からしてそんな感じはあったが、
どうも薄味で噛みごたえの無い話である。
物語を駆動する役目を果たす「青山ほたる」
という小説家と、物語の核となる亮介が昔
つきあった「高校の英語の先生」。どうも
この二人が血肉がともなっていないという
か、薄っぺらい感じがした。

2020年4月11日土曜日
デューン/砂の惑星
☆☆☆ デヴィッド・リンチ 1984年
カルト的な人気を誇るSF大作である。
未来の宇宙を舞台にしているが、国家間の権謀
術数だったり、神話的なモチーフだったり、親
子間の葛藤だったり、『スターウォーズ』を引
き合いに出すまでもなく、わりと既視感…。
ホドロフスキーも映像化を断念した原作を、ま
だ『イレイザーヘッド』と『エレファント・マ
ン』しか撮っていない駆け出しに任せたわけで
ある。しかし初めてのビッグ・バジェットとは
思えないリンチの落ち着きというか、堂々とし
た演出ぶりには感心する。いろいろ気持ち悪い
ひとやら生物やらが出て来て、楽しそうである。
のちにリンチ作品の常連となるカイル・マクラ
クレンの映画初出演作! スティングも肉体美
を披露している。
4.6(日) BSプレミアム
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