2020年8月15日土曜日

タリウム少女の毒殺日記


☆☆☆★    土屋豊   2013年

2005年に起きた殺人未遂事件、タリウムを
盛って母親を毒殺しようとした女子高生を
モチーフにしたフィクション。冒頭いきなり
カエルを解剖してまだ動いている心臓をうっ
とりと見つめる倉持由香から始まるため、苦
手なひとには閲覧注意ではある。

科学に強い興味を持つ“タリウム少女”の日記
風に映画は進んでいく。彼女は興味の延長線
上にあるものとして、自分の母親に毒薬タリ
ウムを少しずつ投与し、その経過を冷徹に観
察していく。一方で高校では陰湿ないじめに
も遭っており、自分の受けているいじめをも
冷静に観察しているようで、まことに気味が
悪い。

しかし編集がなかなかキレがよく、嫌悪感よ
りも快感がまさる感じがした。佳作。

                  7.30(木) サンクス・シアター

2020年8月13日木曜日

【LIVE!】 山下達郎


私はてっきり生ライブの配信かと思っていた
のだが、京都「拾得」でのライブと氣志團万
博の映像を配信するものだった。

●セットリスト
・京都「拾得」 2018年3月
01. ターナーの汽罐車
02. あまく危険な香り
03. 砂の女
04. 希望という名の光
05. SINCE I FELL FOR YOU
06. WHAT'S GOING ON

・「氣志團万博2017」2017年9月
07. ハイティーン・ブギ
08. SPARKLE
09. BOMBER
10. 硝子の少年
11. アトムの子
12. 恋のブギ・ウギ・トレイン
13. さよなら夏の日

・「PERFORMANCE 1986」
14. SO MUCH IN LOVE (@郡山市民文化センター 1986年10月9日)
15. プラスティック・ラブ (@中野サンプラザホール 1986年7月31日)

               7.30(木) MUSIC SLASH

「セキュリティと音質で選んだ」と山下
達郎がいうだけあって、MUSIC SLASH
の初の配信だったわけだが、たしかに良
い音だった。ぜひバンド編成のライブも
配信してほしいところ。

2020年8月11日火曜日

豆大福ものがたり


☆☆★★★   沖田修一  2013年

「おやつ総選挙」を前にして、候補者たち
が選挙活動を繰り広げている。マカロン、
ショートケーキ、すあま、そして、豆大福…。
伸び悩む豆大福候補の秘書を演じるのが菊
池亜希子。
とてもくだらないが、嫌いじゃない。

                7.29(水) サンクス・シアター


2020年8月9日日曜日

仮面の男


☆☆☆   ランドール・ウォレス  1998年

デュマ『鉄仮面』をディカプリオ主演で映画
化。暴君ルイ14世と地下牢に幽閉されている
鉄仮面の男、集結した三銃士…。ということ
で、知っているひとにはおなじみの話が展開
されるが、パリの民衆だのルイ14世の暴政だ
のの話が英語で繰り広げられるのは、やはり
違和感がある。
民衆レベルの恋の悲劇から王宮の中の国家的
な秘密まで、どぎつめの話がこれでもかと盛
り込まれていて、まあテンポはいいのだが、
すべてがほいほいと腹にたまることなく流れ
ていく。しかしジョン・マルコヴィッチって
良いよね…。

私は監督もしくは女優で観る映画を選んでいる
つもりだが、この機にレオ様の出演作をざっと
見てみると、相当数を観ていることがわかった。
というか2010年以降の出演作すべて観ている!

 インセプション(2010)
 J・エドガー(2011)
 ジャンゴ 繋がれざる者(2012)
 華麗なるギャツビー(2012)
 ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013)
 レヴェナント:蘇えりし者(2015)
 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・
 ハリウッド(2019)

うーん、すごい履歴だ。いかに世界最高の監督
たちからラブコールを受けて出演しているかが
よく分かる。私は肝心の「タイタニック」をま
だ観ていないのですが…。

                         7.28(火) BSプレミアム



2020年8月7日金曜日

歓待


☆☆☆★   深田晃司   2010年

『ほとりの朔子』『淵に立つ』どちらもとて
も好きな作品だったのに、なかなか新作を追
いかけるまで至っていないのが申し訳ない深
田晃司。サンクス・シアターに過去作があっ
たので鑑賞。杉野希妃も出てるし。そういえ
ば杉野希妃、しばらく見ないと思っていたら、
オランダで大型タクシーに轢かれて大変だっ
たようだ。ちっとも知らなかった…お見舞い
申し上げます。

映画は下町で印刷工場を営む山内健司と杉野
希妃の、だいぶ年の差のある新婚の夫婦、こ
れだけでも不穏な空気が画面に立ち込めるの
だが、そこになぜか古舘寛治がずうずうしく
住み着くようになる。ひとの「うしろメタフ
ァー」(©みうらじゅん)につけ込むのがう
まい古館は、夫婦それぞれの弱味をにぎって
操り、妻だという外国人の若い女も連れてき
て、我がもの顔で工場を切り回しはじめる…。

『淵に立つ』の原型といっていいのかもしれ
ない。話の構造は同じである。不穏なのに笑
える、シリアスなのにどこまで真面目に観て
いいのか分からない、不思議な手触りの映画
だ。

                      7.24(金) サンクス・シアター



2020年8月5日水曜日

パーフェクト・ワールド


☆☆☆  クリント・イーストウッド  1993年

SFのようなタイトルからしてあまりピッ
タリきているとは思えないし、珍しくう
まくいっていない作品に思えた。「完璧
な世界」というセリフは中盤でさらっと
触れられるだけだし、あまり印象にも残
らない。

脱獄犯と人質にとられた子どもとの心の
交流、というような内容で、脱獄囚(ケ
ビン・コスナー)が非常に知能指数の高
い男という設定がちょっと変わっている。
子どもを人質にしながら、車を盗んだり
服を盗んだりして最終的にはアラスカを
目指す。しかし出発地がテキサスなので、
広大なアメリカ、テキサス州を抜けるだ
けでも困難である。今回は警察の幹部の
イーストウッドが追って来るし。

終盤に一宿一飯の世話になった黒人家庭
の父親が子どもを殴るシーンで記憶がフ
ラッシュバックする重要な場面があるの
だが、ここの演出がなんだか間延びして
いて緊張感がない。結局、ケビン・コス
ナーが何をしたいのかよく分からなかっ
た。

                      7.23(木) BSプレミアム



2020年8月3日月曜日

劇場


☆☆☆★★   行定勲   2020年

山﨑賢人と松岡茉優と下北沢。
これだけで映画の要素の95%を占めている。
ふたりの部屋と、下北沢をほっつき歩く山﨑
賢人が繰り返し繰り返し描写される。

演劇で食べていくために友人と上京し、劇団
を旗揚げした山﨑。その劇団も行き詰まりを
迎えていた時、松岡と出会う。彼女の独特の
感情表現に興味を惹かれ、アテ書きで芝居を
書き、その芝居だけが小さく成功するが、そ
れ以降は劇団内の不和が顕在化。興行として
も不振が続く…。
まともに山﨑賢人の芝居を見たのは『キング
ダム』と本作ぐらいだが、こちらの方がわり
といい芝居を引き出されいてる感じがした。
松岡茉優は『万引き家族』も『勝手にふるえ
てろ』も良かったけど、それらと張るぐらい
の素晴らしい芝居だった。
売れないクリエイターを経験したひとには
「刺さる」場面が満載らしい。ただ同時にこ
れは地方から上京して東京と対峙し、踏みと
どまった者と敗れ去った者の物語でもある。
行き詰まって、どうにもならない所まで行き
詰まり「尽くした」果ての、ラストシーンの
松岡茉優がなんだか幻のようで切なかった。

                         7.21(火) ユーロスペース