2024年10月16日水曜日

【LIVE!】 小沢健二

 
  LIFE再現ライブ

 1. 流星ビバップ
 2. フクロウの声が聞こえる
 3. 強い気持ち・強い愛~サマージャム'95
 4. 天使たちのシーン
 5. 旅人たち
 6. 大人になれば
 7. 台所は毎日の巡礼
 8. ぶぎ・ばく・べいびー
 9, 彗星
10. 流動体について

11. いちょう並木のセレナーデ(reprise)
12. おやすみなさい、仔猫ちゃん!
13. ぼくらが旅に出る理由
14. 今夜はブギー・バック(nice vocal)
15. ドアをノックするのは誰だ?
16. いちょう並木のセレナーデ
17. 東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディ・ブロー
18. ラブリー
19, 愛し愛されて生きるのさ
20. 愛し愛されて生きるのさ

                                 8.31(土) 日本武道館


『LIFE』発売からちょうど30年の日に、1日限
りのライブ。亡くなってしまったひと以外は当
時のミュージシャンを全員集め、「今だったら
こう弾く」という自由な演奏は"なし"にして、
アルバムの通りに弾く。

終演後、1曲目からしっかりと余韻を噛み締め
たいような、ほんとうに素晴らしいライブだっ
た。アルバムの曲順と逆とはいえ、次が何の曲
かは分かっており、アレンジも散々聴いてすべ
て知っている。なのにどうしてあんなにグッと
きてしまうのか。良い曲である、という以上の
「魔法」が顕現したような夜だった。

そして忘れてならないのは、渋谷毅さんと岩見
継吾さんを迎えて『球体の奏でる音楽』の曲が
演奏されたこと。もう一生聴くことは叶わない
と思っていたので、大きな驚きであった。
「大人になれば」の入り方(click! click! click!)
などはシビれたし、ベストアクトだとその時点
では思った。が、アルバムのアレンジの通りに
演奏された「ぼくらが旅に出る理由」があまり
にも良かったので、こちらをベストアクトとさ
せてもらう。

2024年10月6日日曜日

瞳をとじて

 
☆☆☆★★  ビクトル・エリセ  2024年

31年ぶりの長篇映画というから、いったい
どうした!? という感じだが、よくそんな
に長いブランクがあっても169分の大作を
無事に完成させたものだ。

映画監督としてのキャリアを早々に諦め作
家に転身した男を主人公とし、その数少な
い映画に主演した俳優の失踪事件をモチー
フとしたミステリー風味の映画。と同時に
人間の記憶をめぐる思索の旅でもあり、親
子とは何だろうかと考えさせられもするし、
フィルム賛歌でもある。長時間でも緊張と
緩和のバランスは絶妙で、飽きることなく
観られた。

『ミツバチのささやき』のアナ・トレント
も出演。『ミツバチ』が1973年、『エル・
スール』は1983年とのこと。

                               8.15(木) 早稲田松竹




2024年9月24日火曜日

ファースト・カウ

 
☆☆☆   ケリー・ライカールト   2024年

なるほどこういう映画だって、西部開拓時代
を舞台にしているのだから「西部劇」と呼ん
だっておかしくはないわけだ。
「料理当番」として仲間内で蔑まれていた
クッキーと中国移民のキング・ルーが、当地
にただ一頭、ある富豪に飼われていた雌牛か
らミルクを盗み、ドーナツを作ってひと儲け
する…という変わった話で、フォードやホー
クスの西部劇とはまったく違っている。こち
らはケンタッキーの荒野ではなくオレゴン州
の密林の画が多く、馬にも乗らず、アパッチ
族の襲撃もない。ただ酒場のシーンはあり、
男たちの友情があり、そして秘密のレシピが
ある。

なかなかおもしろいとは思ったのだが、夜の
暗がりのシーンが非常に多く、セリフも少な
いのでついウトウトしてしまい、肝心のドー
ナツを思いつくシーンを見逃した…。なので
採点も不完全であることをお断りしておきま
す。

                              8.15(木) 早稲田松竹



2024年9月16日月曜日

1999年の夏休み


☆☆☆★★   金子修介   1988年

会社の先輩が最も好きな映画と言っていた
ので、名画座でかかるのを待っていた。

萩尾望都『トーマの心臓』を翻案したという
不思議な味わいのダーク・ファンタジーとで
もいうのか。出演は水原里絵(深津絵里)、
中野みゆき、大寶智子、宮島依里の4人のみ。
夏休み、寄宿舎に残された子どもだけの世界。
良くいえば瑞々しい、悪くいえば素人同然の
芝居、そしてほとんどのセリフがアフレコで
吹き替えられているという点からも、私はな
んとなく大林の『HOUSE』を思い出した。
若さゆえの屈折、純粋さ、そして残酷さ…。
少年がそのままやるとシラけてしまいそうな
青い物語を、少女たちに置き換えたことで、
新鮮さが今になっても感じられる。

照明・撮影も見事で、燭台を持って歩く廊下、
暗い森など印象的に撮られている。舞台の洋
館は大倉山にあるというから驚く。森や湖と
違和感なくつながっていたので、私はてっき
り森の中に佇んでいるのだと思った。

                                8.8(木) 早稲田松竹



2024年9月1日日曜日

【LIVE!】 THE BACK HORN


 第五回夕焼け目撃者

 01. 甦る陽
 02. 光の結晶
 03. 希望を鳴らせ
 04. 8月の秘密
 05. 深海魚
 06. 生命線
 07. コワレモノ
 08. ジャンクワーカー
 09. がんじがらめ
 10. 修羅場
 11. 墓石フィーバー
 12. 夢の花
 13. 夢路
 14. 夏草の揺れる丘
 15. ブラックホールバースデイ
 16. 真夜中のライオン
 17. シンフォニア
 18. 太陽の花
 19. JOY
 
 <Encore>
 01. ヘッドフォンチルドレン
 02. コバルトブルー
 03. 刃

         7.28(日) 日比谷野外音楽堂

一昨年の同名ライブは台風が来ている最中で、
雨具を持って行かなかったために、1時間以上
にわたってひたすら豪雨に打たれ続けるとい
う稀有な経験をした。今年はポンチョと大き
なビニール袋(リュックやスマホを放り込む)
を持って準備万端いつでもゲリラ豪雨かかっ
て来いや、と鼻息荒くしていたら、まったく
降らなかった。まあそういうものである。
第五回にしてはじめて、うっすらと夕焼けま
で見られ、めでたくみんな「夕焼け目撃者」
となったわけである。

野音という会場には独特な空気があり、野外
というのはもちろん大きな要素だが、石のベ
ンチの反射もあるのだろうか、いつもと違う
音がする。ライブは素晴らしかった。山田将
司の喉はもうほとんど心配ないほどまで回復
していて、いつ声が出なくなるかとハラハラ
しながらライブを見なくてもいい幸福を噛み
締めた。
新曲もなかなかよかった。「ジャンクワーカ
ー」のサビが「うるせー!」という叫びから
始まるところに、ライブにおける再生音源は
初期に比べてずいぶん多くなったりしたけれ
ども、このバンドの「変えないもの」を感じ
てすこし感動した。まだまだ若い。

ベストアクトは「生命線」。「甦る陽」もよ
かったなー。




2024年8月18日日曜日

【Live!】 Cornelius

 
       Cornelius 30th Anniversary Set

 01. MIC CHECK
 02. 火花
 03. Point Of View Point
 04. Audio Architecture
 05. サウナ好きすぎ、より深く
 06. TOO PURE
 07. Another View Point
 08. Count Five or Six
 09. Helix / Spiral
 10. MIND TRAIN
 11. 霧中夢 - Dream In The Mist
 12. 蜃気楼
 13. 外は戦場だよ
 14. Wataridori
 15. Brand New Season
 16. いつか / どこか
 17. Turn Turn
 18. 環境と心理
 19. STAR FRUITS SURF RIDER
 20. THANK YOU FOR THE MUSIC

<Encore>
 01. E
 02. THE LOVE PARADE
 03. あなたがいるなら

                      7.7(日) 東京ガーデンシアター

30周年記念ライブは、隙のないハイレベルな
演奏と、それに完璧に同期した映像とによる、
息詰まるようなアートでありショーであった。
普通に拍を取れる曲の方が少ないリズム隊泣
かせのCorneliusの曲の中で、文字通り演奏を
牽引しなければならないドラマーのあらきゆ
うこは他のメンバーの3倍のギャラを貰っても
足りないぐらいの活躍だ。すさまじいほどの
正確さとキレの良さ。「マイクチェック、あー、
あー、聞こえますか」という再生音源を、ズ
ガガガという感じの生楽器の轟音で打ち破っ
たライブ幕開けの快感はひとしおであった。
そこからMC無しの20曲。MCは無いが遊び心
は演奏の随所に感じられ、選曲もすべてのア
ルバムを網羅していて、ちゃんと30周年やっ
ていた。

私は「外は戦場だよ」がすごく好きな曲なの
で、やってくれたのはたいへん嬉しかったが、
やはり青葉市子の方に軍配。
ベストアクトは「Wataridori」にするか。め
ちゃくちゃ好きな曲というわけでもないが、
意外にライブ映えするなと思った。ギターが
カッコいい。




2024年8月3日土曜日

【Live!】村上JAM vol.3

 
 熱く優しい、フュージョンナイト

前半
 1. Jean Pierre
 2. Tipatina's
 3. Ana Maria
 4. Spain

後半
 5. Direction
 6. Cantaloupe Island
 7. Wing and a prayer
 8. Chromazone

アンコール
 1. Some Skunk Funk

           6.29(土) すみだトリフォニーホール

大西順子(Piano・音楽監督)
黒田卓也(Trumpet)
Eric Harland(Drums)
John Patitucci(Bass)
Kirk Whalum(Sax)
Mike Stern(Guitar)


ついに「動く村上春樹」を目撃してしまった。
とはいえ、高校時代なら「文学の神を見た」
とさぞ舞い上がっただろうが、今となっては
近頃やたらと下界に降りてくるおじいちゃん
作家を観たからといって、別に有頂天になっ
たりはしない。でも生きているうちに実物を
見られてよかったとは思う。なんせ村上春樹
だ。

ライブの前に少し坂本美雨とのトークがあっ
た。そこで当然「村上さん、フュージョンと
はどんな音楽なんでしょう?」という質問が
春樹になされる。それに「詳しく説明しだす
と2時間かかっちゃうんだけど」とか言いな
がらさらっと解説をしたのだが、それが簡潔
で要を得ていながら文章としてもよくできて
いて、やはりさすがだなと思った。

だいたいこんなことを言っていた。

  60年代終わり頃のジャズには2つの流れ
 があって、1つはモード・ジャズ。もう1
 つがフリー・ジャズ。その2つが突きつめ
 られて行くところまで行っちゃって、コル
 トレーンの死によって行き詰まっちゃった
 んです。そこに突如出現したのがフュージ
 ョンで、それはまるでこもった空気の部屋
 の窓を開け放ったような感覚がありました。
  フュージョンという音楽を定義づけるの
 は難しいんだけど、条件としては
 ①電子楽器を使っていること。特にエレキ
  ベースとエレピ。
 ②明確なリズムがあること
 ということは言えるんじゃないかな。

やっぱり「コルトレーンの死によって」という
部分が肝ですよね。色んなことを想像させる
フレーズで、これが有ると無いとでは大違い、
という気がする。

ながなが書いてしまったが、本編のライブは
どこまでも熱く、華麗なインプロビゼーショ
ンの世界でしたよ。即席バンドということが
信じられないほど、ソリッドで豊穣なアンサ
ンブルが繰り広げられた。Mike Sternが演奏
を引っ張っていたが、「ギターは顔で弾く」
を地で行くようなひとで、表情豊かで見てい
ておもしろい。ドラムのEric Harlandは若き
才能とのことで、めちゃくちゃにうまかった。

すみだトリフォニーホールは初めて行ったが、
良い響きのホールで、規模もちょうどいい。
満足感に包まれ、慣れない錦糸町のまちを歩
いた。