2024年11月6日水曜日
2024年10月27日日曜日
関心領域
☆☆☆★★★ ジョナサン・グレイザー 2024年
傑作だと思う。
アウシュヴィッツ強制収容所の隣で「幸福
な家庭」を築き、「充実した仕事」をした
収容所所長の暮らしを定点カメラを擬した
手法で撮影している。所長もたいがいだが、
その妻の狂気がまたすさまじい。演じたザ
ンドラ・ヒュラーは『落下の解剖学』にも
主演している。
音響の映画とも言えるだろう。不穏な低音
がずっと鳴っており、時に銃声や叫び声が
壁の向こうから響く。子どもたちが遊びま
わっているシーンや家族が安眠をむさぼる
カットでも、音響だけでまったく違った意
味を持ったシーンになってくる。
遊びに来た義母は黙っていなくなり、所長
も最後は嘔吐する。そりゃそうだよね、ま
ともな人間性が少しでも残っていれば…。
8.25(日) TOHOシネマズ日比谷シャンテ
2024年10月16日水曜日
【LIVE!】 小沢健二
LIFE再現ライブ
1. 流星ビバップ
2. フクロウの声が聞こえる
3. 強い気持ち・強い愛~サマージャム'95
4. 天使たちのシーン
5. 旅人たち
6. 大人になれば
7. 台所は毎日の巡礼
8. ぶぎ・ばく・べいびー
9, 彗星
10. 流動体について
11. いちょう並木のセレナーデ(reprise)
12. おやすみなさい、仔猫ちゃん!
13. ぼくらが旅に出る理由
14. 今夜はブギー・バック(nice vocal)
15. ドアをノックするのは誰だ?
16. いちょう並木のセレナーデ
17. 東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディ・ブロー
18. ラブリー
19, 愛し愛されて生きるのさ
20. 愛し愛されて生きるのさ
8.31(土) 日本武道館
『LIFE』発売からちょうど30年の日に、1日限
りのライブ。亡くなってしまったひと以外は当
時のミュージシャンを全員集め、「今だったら
こう弾く」という自由な演奏は"なし"にして、
アルバムの通りに弾く。
終演後、1曲目からしっかりと余韻を噛み締め
たいような、ほんとうに素晴らしいライブだっ
た。アルバムの曲順と逆とはいえ、次が何の曲
かは分かっており、アレンジも散々聴いてすべ
て知っている。なのにどうしてあんなにグッと
きてしまうのか。良い曲である、という以上の
「魔法」が顕現したような夜だった。
そして忘れてならないのは、渋谷毅さんと岩見
継吾さんを迎えて『球体の奏でる音楽』の曲が
演奏されたこと。もう一生聴くことは叶わない
と思っていたので、大きな驚きであった。
「大人になれば」の入り方(click! click! click!)
などはシビれたし、ベストアクトだとその時点
では思った。が、アルバムのアレンジの通りに
演奏された「ぼくらが旅に出る理由」があまり
にも良かったので、こちらをベストアクトとさ
せてもらう。
2024年10月6日日曜日
瞳をとじて
☆☆☆★★ ビクトル・エリセ 2024年
31年ぶりの長篇映画というから、いったい
どうした!? という感じだが、よくそんな
に長いブランクがあっても169分の大作を
無事に完成させたものだ。
映画監督としてのキャリアを早々に諦め作
家に転身した男を主人公とし、その数少な
い映画に主演した俳優の失踪事件をモチー
フとしたミステリー風味の映画。と同時に
人間の記憶をめぐる思索の旅でもあり、親
子とは何だろうかと考えさせられもするし、
フィルム賛歌でもある。長時間でも緊張と
緩和のバランスは絶妙で、飽きることなく
観られた。
『ミツバチのささやき』のアナ・トレント
も出演。『ミツバチ』が1973年、『エル・
スール』は1983年とのこと。
8.15(木) 早稲田松竹
2024年9月24日火曜日
ファースト・カウ
☆☆☆ ケリー・ライカールト 2024年
なるほどこういう映画だって、西部開拓時代
を舞台にしているのだから「西部劇」と呼ん
だっておかしくはないわけだ。
「料理当番」として仲間内で蔑まれていた
クッキーと中国移民のキング・ルーが、当地
にただ一頭、ある富豪に飼われていた雌牛か
らミルクを盗み、ドーナツを作ってひと儲け
する…という変わった話で、フォードやホー
クスの西部劇とはまったく違っている。こち
らはケンタッキーの荒野ではなくオレゴン州
の密林の画が多く、馬にも乗らず、アパッチ
族の襲撃もない。ただ酒場のシーンはあり、
男たちの友情があり、そして秘密のレシピが
ある。
なかなかおもしろいとは思ったのだが、夜の
暗がりのシーンが非常に多く、セリフも少な
いのでついウトウトしてしまい、肝心のドー
ナツを思いつくシーンを見逃した…。なので
採点も不完全であることをお断りしておきま
す。
8.15(木) 早稲田松竹
2024年9月16日月曜日
1999年の夏休み
☆☆☆★★ 金子修介 1988年
会社の先輩が最も好きな映画と言っていた
ので、名画座でかかるのを待っていた。
萩尾望都『トーマの心臓』を翻案したという
不思議な味わいのダーク・ファンタジーとで
もいうのか。出演は水原里絵(深津絵里)、
中野みゆき、大寶智子、宮島依里の4人のみ。
夏休み、寄宿舎に残された子どもだけの世界。
良くいえば瑞々しい、悪くいえば素人同然の
芝居、そしてほとんどのセリフがアフレコで
吹き替えられているという点からも、私はな
んとなく大林の『HOUSE』を思い出した。
若さゆえの屈折、純粋さ、そして残酷さ…。
少年がそのままやるとシラけてしまいそうな
青い物語を、少女たちに置き換えたことで、
新鮮さが今になっても感じられる。
照明・撮影も見事で、燭台を持って歩く廊下、
暗い森など印象的に撮られている。舞台の洋
館は大倉山にあるというから驚く。森や湖と
違和感なくつながっていたので、私はてっき
り森の中に佇んでいるのだと思った。
8.8(木) 早稲田松竹
2024年9月1日日曜日
【LIVE!】 THE BACK HORN
第五回夕焼け目撃者
01. 甦る陽
02. 光の結晶
03. 希望を鳴らせ
04. 8月の秘密
05. 深海魚
06. 生命線
07. コワレモノ
08. ジャンクワーカー
09. がんじがらめ
10. 修羅場
11. 墓石フィーバー
12. 夢の花
13. 夢路
14. 夏草の揺れる丘
15. ブラックホールバースデイ
16. 真夜中のライオン
17. シンフォニア
18. 太陽の花
19. JOY
<Encore>
01. ヘッドフォンチルドレン
02. コバルトブルー
03. 刃
7.28(日) 日比谷野外音楽堂
一昨年の同名ライブは台風が来ている最中で、
雨具を持って行かなかったために、1時間以上
にわたってひたすら豪雨に打たれ続けるとい
う稀有な経験をした。今年はポンチョと大き
なビニール袋(リュックやスマホを放り込む)
を持って準備万端いつでもゲリラ豪雨かかっ
て来いや、と鼻息荒くしていたら、まったく
降らなかった。まあそういうものである。
第五回にしてはじめて、うっすらと夕焼けま
で見られ、めでたくみんな「夕焼け目撃者」
となったわけである。
野音という会場には独特な空気があり、野外
というのはもちろん大きな要素だが、石のベ
ンチの反射もあるのだろうか、いつもと違う
音がする。ライブは素晴らしかった。山田将
司の喉はもうほとんど心配ないほどまで回復
していて、いつ声が出なくなるかとハラハラ
しながらライブを見なくてもいい幸福を噛み
締めた。
新曲もなかなかよかった。「ジャンクワーカ
ー」のサビが「うるせー!」という叫びから
始まるところに、ライブにおける再生音源は
初期に比べてずいぶん多くなったりしたけれ
ども、このバンドの「変えないもの」を感じ
てすこし感動した。まだまだ若い。
ベストアクトは「生命線」。「甦る陽」もよ
かったなー。
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