2012年10月12日金曜日

夏の読書(少ないです)③

『昭和のエートス』

内田樹 著     文春文庫

毎回書いているような気がするが、ウチダ先生の論旨はとにかく
分かり易い。なのに論理の穴があまり見付からない。すばらしい
ことですね。ただ、今でも「分かり易さ」への警鐘が耳の奥の方で
微かに鳴るのを聞きながら読んでいる。

本書の中では、カミュについて書いた「アルジェリアの影」が白眉
だろう。すばらしい文章で、はっきり言って私は感動してしまった。

以上、夏の読書でした。ほんとに少ないなぁ…。


2012年10月3日水曜日

夏の読書(少ないです)②


『キャンセルされた街の案内』

吉田修一 著     新潮文庫

うーん。
吉田修一、短篇ではもう「インパクト」にはあまり重きを置かなく
なったのか、全体的にライトになってきている印象。巧いけどね。

一発目の「日々の春」がすごく巧かったので、勢い込んで残りも
読んだ。が、あとはあまり目新しいものはなく。そんな中、女の子
のアパートに隣の男子学生(高村くん)が夜中に忍び込んできて
結局ひよる話がおもしろかった。ぐらいかな。










『サラダ好きのライオン 村上ラジオ3

村上春樹 著     マガジンハウス

ずっと前に読み終わってはいたんですが。
まあ、春樹はあいかわらずですね。


2012年10月2日火曜日

夏の読書(少ないです)


『リトル・シスター』

レイモンド・チャンドラー 著  村上春樹 訳    早川書房

フィリップ・マーロウものはやっぱりおもしろいなー。
春樹による翻訳も3冊目。
でも今回、読んでいていちばん楽しかった気がする。訳者あとがき
にもあるが、オーファメイ・クエストという小娘が秀逸で、読みながら
もマーロウとオーファメイが会話する場面が待ち遠しい。
人物どうしの会話、という面で春樹はやっぱそうとうチャンドラーの
影響を受けてますね。それを隠そうともしてないけど。

この本、だいぶ長いこと本棚で寝かせてしまったので、文庫になる
前に読まねばと思い、出張にわざわざ重いハードカバーを持参して
読んでいた。すると札幌で立ち寄った本屋で、ハヤカワ文庫の新刊
コーナーに本作の文庫が出ているのを発見してしまい、遅きに失し
たことを認識した次第。











『にっちもさっちも 人生は五十一から⑤

小林信彦 著    文春文庫

文春の「クロニクル・エッセイ」、本書は小泉内閣のころ。このころ
から小林さんの政治への嘆き、怒りが多くなる。だけど、獅子文六
をもっと読みましょうだとか、小林旭の歌声が最高だとか、大塚寧々
のフェロモンがどうだとかいう話もあいかわらずある。

最近の文春の連載では『ひみつのアッコちゃん』の綾瀬はるかを
「平成無責任娘」と命名する冴えっぷりを見せ、ますます孤高の存
在となりつつある。いつまでもお元気でいてほしい。


2012年9月21日金曜日

天地明察


☆☆☆★       滝田洋二郎      2012年

『おくりびと』はスルーしてしまったので、滝田監督の作品は初
めて観る。原作小説もよく売れたらしい。渋川春海、関孝和、
貞享暦と、そういえば日本史で習ったなぁ、ぐらいの人物たち
に着目して、見事にエンタメに昇華させた点は、発想として秀
逸ですね。そりゃあ文化庁の補助金も取れるわ。

序盤、あまり時間が無いので、岡田くんと宮﨑あおいの”馴れ
初め”に時間を割けない。ほとんど一目で惚れる必要があるの
だが、そこで採用されたシーンが忘れがたい印象を残す。さっす
がはピンク出身の監督という感じ。ご覧になれば分かると思う。
村瀬塾を訪れたときの、あれです。あのシーンだけ浮いてるもの。

                                          9.17(月) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2012年9月19日水曜日

酔いがさめたら、うちに帰ろう。


☆☆☆       東陽一      2010年

まずタイトルが良いよね。

 酔いがさめたら、うちに帰ろう。

『今夜、すべてのバーで』(中島らも)というのもあった。
これも良いタイトルだと思うけど、どちらもアル中の話だ。
「酔っ払い文学」(そんなものがあるとすれば、だが)に
認定されるには、まず何はともあれカッコいいタイトルを
考えなくてはならないらしい。

                                                       9.10(月) HBC


2012年9月17日月曜日

コクリコ坂から


☆☆☆☆       宮崎吾朗      2011年

どうしてこんなに良いんだろう。
あらためて、気合を入れて見直してみたが、私はこの映画の
隅から隅までほとんど全部が好きである事を確認した。リアリ
ズムのジブリ作品では最高傑作だと思っている。

朝ごはんを作る海ちゃんと、「白い花の咲く頃」で集会をごまか
すシーンでどうしても目頭が熱くなってしまう。主題歌の「さよな
らの夏」も良い歌だが、最後のほう、理事長の前で歌う校歌(?)
もなかなか良い歌だと思う。水沼と海の妹は結局付き合うんだ
ろうかこの後。

特典映像では初号試写のときの宮崎親子の挨拶などが見られ
る。喋っているうちに急に激昂してスタッフを怒鳴りつけ始める
「白いひげのおじさん」に驚愕。ひとしきり怒鳴ったらまた普通の
挨拶に戻っていた。

                                                           9.10(月) Blu-ray Disc


2012年9月14日金曜日

インビクタス/負けざる者たち


☆☆☆★★     クリント・イーストウッド    2009年

これはこれで、うまくいき過ぎなお話?
きっと降旗康男が撮ったら何のおもしろみもない映画になるだろうが、
イーストウッドはそんなことはしない。ワンカットごとに企みがひそんで
いる気がして油断も隙も無い。

                                                          9.9(日) BSプレミアム