☆☆☆ アルフレッド・ヒッチコック 1946年
イングリッド・バーグマンとケーリー・グラ
ントという二大スターの共演。潜入スパイも
のと言えばいいのか、とあるパーティーで出
会い、愛し合うようになった二人だが、組織
の命令でブラジルに派遣される。そこで課さ
れた任務は、クロード・レインズに近づき、
誘惑して秘密を探れというものだった…。
最近読んだ『「グレート・ギャツビー」を追
え』に若干話が似ているのだが、まあそれは
いいか。ヒッチコック映画を語るときについ
言及したくなる"マクガフィン"も、とても分
かりやすい形で出てくる。
まあおもしろいかというと、微妙かな…。
1.13(水) BSプレミアム
☆☆☆★ デヴィッド・フィンチャー 2020年
『市民ケーン』の脚本を、実際は単独で書い
た(クレジットは共同脚本となった)ハーマ
ン・J・マンキーウィッツという人物に焦点
を当てたこの映画の脚本は、なんとデヴィッ
ド・フィンチャーのお父さんが書いたものだ
という。
こだわりのモノクロ映像はたしかにシブくて
魅力的ではあったが、なにせ当時の業界ネタ
が多いジョークが、知識の無い私にはさっぱ
り分からないのがちょっと難点…。市民ケー
ンのモデルになった新聞王ハーストまでなら
なんとか映画の内容から推測できるものの、
1940年前後のハリウッドのプロデューサー
やら映画会社の重役やらが出て来ても、こち
とら説明されないとすぐに忘れてしまう。
「えーと、こいつ誰だっけ」と思いながら
モノクロ画面を見続けていると睡魔が…。
1.12(火) ユーロスペース
☆☆☆★ オーソン・ウェルズ 1941年
次の日『Mank/マンク』を観ることが決
まっていたので、急いで予習。
新聞王として名を馳せ、宮殿のような家
に住んだケーンは、"Rose Bud"という謎
めいた言葉を残して死んだ…。
映画史上に名高い、もはや説明不要な名
画ですが、…と言いつつ私も初めて観た
わけで。
まあおもしろかったことはおもしろかっ
たんですが、なんせ世界一の映画に何度
も選ばれてると思うと、どうしても身構
えちゃって「ふーん、これがねえ…」と
いう感じになりますよ。何だってなりま
すよ。結局「バラのつぼみ」とは何なの
か。1度観ても分からない。このことに
ついては『Mank』の中でも少し言及が
あった。
1.11(月) Amazonプライムビデオ
☆☆☆★ ジョナ・ヒル 2020年
2本目は、昨年わりと話題になっていた本作。
スケボーの巧い不良に憧れてどんどん朱に交
わっていく少年の、一種の青春映画。これは
まあとりあえずスケボーのカットがしっかり
撮れていれば成功といえるだろう。
監督は俳優のジョナ・ヒル。
『マネーボール』や『ウルフ・オブ・ウォー
ルストリート』でふとっちょの役をやってい
たひとである。
度胸だめしで屋根と屋根の間を飛び越えよう
とするのだが、案の定、少年は失敗して墜落。
その代わり向こう見ずな勇気を認められて、
どんどん不良化が加速していくのだが、その
辺の流れも自然というか、ドライブ感があっ
てよかった。まあなにより、短い(85分)の
がいいね。
1.9(土) 早稲田松竹
☆☆☆★ ラリー・クラーク 1995年
蓮實重彥がこないだの著書(『見るレッスン』)
の中で「映画90分説」を唱えていて、それには
私も賛成である。曰く、何を見せ、何を見せな
いかを心得ている監督は90分で過不足なく優れ
た映画を撮ることができる。
それを読んで間もない時期に早稲田松竹が90分
以内の映画を2本立てにしていたもんだから、
また観に行ってしまった。
1本目は『KIDS』。
写真家のラリー・クラークが無軌道な若者たち
の生態を描いた問題作。たった1度のセックス
でHIVポジティブと診断された少女が、その相
手を探して街を歩き回る。美化されていない剝
き出しの"性"が観る者にショックを与える映画
であった。
1.9(土) 早稲田松竹
☆☆☆ 小津安二郎 1941年
2本目は戦中のトーキー。
といっても音声はぼこぼこノイズだらけで、
半分ぐらいしか聞き取れない。そこは前後
の文脈と画面から推測して補うしかないの
だが、そうなるとサイレントとあまり変わ
らないような気もしてくる。
戸田家は裕福な上流家庭だが、当主の死に
より没落が始まっている。手始めに家を売
ることになり、老いた母は長男の家で暮ら
すことになるが、嫁と折り合いが悪く、長
女の家にうつる。しかしそこでも邪魔にさ
れ、とうとう鵠沼の放置してあった古い別
荘に…。「老いた親をたらい回しにする」
というのはのちの『東京物語』を思わせる。
結局、仕事で「天津」に行っていた次男の
佐分利信が戻ってきて、不実なきょうだい
たちを諫めて母親と妹を天津に連れていく
というのがクライマックスの痛快なシーン
となっているが、現代の感覚からすると、
佐分利信もだいぶ強引なことを言っている
ような気もする。
1.7(木) 早稲田松竹
☆☆☆ 小津安二郎 1931年
蓮實重彥がしきりに小津のサイレント時代の
すばらしさを語るもんだから、ちょうどやっ
ていた早稲田松竹にて、小津の2本立て。
1本目は戦前のサイレント。サイレントといっ
ても音楽が付けてあるものしか観たことがな
かったが、これはほんとうに何も音がない無
音。劇場が100分もずっと静まりかえってい
るのが不思議な感じだった。蓮實氏のよくい
う「スクリーンと向き合う」とはこういうこ
とか。
上司にたてついて会社をクビになった男が、
職を求めて奔走するも恐慌のおり、望むよう
な職にはありつけない。最後は再起をかけて
昔の恩師が始めたカレー屋「カロリー軒」を
手伝うことになるという話で、愉快な話でな
いわりには、全体的な調子は明るい。それは
多分に芝居、そして演出のなせる技であろう。
まだ小さい長女を演じているのは当時6歳の
高峰秀子(画像いちばん左)。前歯がなくて
かわいい。
1.7(木) 早稲田松竹