☆☆☆★ エリック・ロメール 1968年
<六つの教訓話>シリーズの3話目。
地方都市クレルモン=フェランに赴任した
“私”は教会で若いブロンド髪の女性フラン
ソワーズに心奪われる。幕開けは秀逸。モ
ノクロの画面は美しく、謎めいた出だしに
期待が持てる。のだが、再会した旧友と女
医のモードさんを訪ね、宗教やら哲学の話
をしだしてから、どうも私にはその会話劇
のおもしろみがわからず。
<六つの教訓話>は2人の女性の間で苦し
むことになる男を描いた連作とのことで、
今回は『男と女』で有名なジャン=ルイ・
トランティニャンが、女医のフランソワー
ズ・ファビアンと敬虔なブロンド美女のマ
リー=クリスティーヌ・バローとの間で揺
れ動く。
10.9(土) 早稲田松竹
☆☆☆★★ エリック・ロメール 1970年
<六つの教訓話>シリーズの5話目にあたる。
"N・アルメンドロスの艶めくカラー撮影に
息を呑む"とパンフレットにあるが、たしか
に冒頭のクルーザーの場面から色の美しさ
にハッとさせられる。うまく説明はできな
いが、全体を通して好きな色調だった。
話はけっこうしょうもなくて、結婚を控え
たジェローム(ジャン=クロード・ブリア
リ)は避暑地アヌシーを訪れ、女ともだち
のオーロラと再会、その知人の娘ローラ
(ベアトリス・ロマン)に興味を抱く。た
だちょっと子どもすぎるなぁと思いながら
も付き合って遊んでいると、その美しい姉
クレール(ローラン・ド・モナガン)が現
れ、ジェロームはクレールのミニスカート
から伸びる膝に一瞬で心奪われる。
ね、しょうもないですね。
ベアトリス・ロマンはこの後もロメール作
品のミューズとして活躍した一方、ローラ
ン・ド・モナガンはこの1作以外にはめぼ
しい作品は無いようだ。
10.9(土) 早稲田松竹
☆☆☆ タナダユキ 2021年
福島中央テレビ開局50周年記念作品という
字幕があったので、テレビドラマを劇場公開
してるのかと思いきや、全然違うストーリー
のようだ。
テレビドラマ版は竹原ピストルが朝日座とい
う映画館を訪ねるところから始まるようだが、
この映画はそこで終わっている。つまり映画
がテレビドラマの前日譚というわけである。
柳家喬太郎の朝日座館主がもう映画館をたた
もうとしてフィルムを焼いているところに高
畑充希が現れるところから映画は始まる。朝
日座を立て直すために東京から来たと言って、
館主を思いとどまらせ、再建に奔走するが…。
高畑の恩師役で大久保佳代子が出ており、主
要キャストである。柳家喬太郎といい大久保
佳代子といい、別に演技が下手というわけで
はないが、それほどうまくもない。なぜこの
2人? という感じがずっとしていた。
タナダユキの新作に期待していたのだが、ま
あまあという感じだった。
9.28(火) ヒューマントラストシネマ渋谷
これで97本。あと3本!
☆☆☆★★ 吉野竜平 2021年
これは秀作だった。
佐久間由衣ちゃんと奈緒ちゃんの姿が眺めら
れればいいかと観に行っただけだったのだが、
どんどん映画に引き込まれることになった。
原作小説は津村喜久子のデビュー作。
役所の児童福祉課に就職が決まった処女の大
学生が佐久間由衣。隠れビッチをやったり処
女をやったり、時子もなかなか大変だ。飲み
会でちょっと良いなと思った男の子がのちに
自殺したことをきっかけに、このまま漫然と
子どもの命にも関わる職に就いていいものか
と悩み始める。
ストーリーの骨格がしっかりしているからか、
俳優が遺憾なくおのおのの芝居をできている
というか、みんななかなか魅力的だ。小日向
星一、笠松将といった若手が好演。就職が決
まらずに焦っている者がいれば、はやばやと
内定をもらってあとはほどほどに卒論をがん
ばれば大学生活も終わりという、半分気の抜
けたような者もいる。4年生ってこういう感
じだったよな、という雰囲気がよく出ていた。
そこに一学年下の奈緒が絡んでくるわけだが、
彼女は過去に圧倒的に理不尽な暴力によって
受けた傷を負っている。独特な空気をまとっ
た彼女を演じる奈緒がけっこう絶品である。
9.26(日) テアトル新宿
☆☆☆★ ピラール・パロメロ 2021年
バルセロナオリンピック開催に湧く1992年の
スペイン。サラゴサという地方都市の修道院
に通うセリアは、バルセロナからやってきた
転校生のブリサの影響で、悪い仲間とつるむ
ようになる。といっても化粧をするとか煙草
をまわし吸いするとかその程度のことだが、
やがてセリアはシングルマザーの母親が自分
と向き合おうとしないことに苛立ち、反抗を
強めていく。
修道院といっても、何も知らない私から見れ
ばちょっとカトリック精神が重んじられてい
る普通の高校で、実際私はこの映画の説明を
観るまで、セリアが通っているのが修道院だ
とは気付かなかった。セリア役はアンドレア
・ファンドス。たしかにこのコがいちばんよ
かった。
9.26(日) シネマカリテ
☆☆☆★ ディック・パウエル 1958年
第二次大戦下の南大西洋を舞台に、アメリカ
駆逐艦とドイツ潜水艦の知力を尽くした息詰
まる戦いを描く。アメリカ側の艦長ロバート・
ミッチャムは、民間船から徴用された雇われ
軍人ながら、海と船に関する知識は抜群。対
するドイツ側の艦長クルト・ユルゲンスは老
練の軍人。近年のヒトラーへの盲従に疑問を
持っている描写にはハッとさせられた。副長
もふくめてよく考えられた人物配置で、いつ
の間にか話に引き込まれる。
性能で勝る潜水艦だが、任務遂行のため針路
が限定され、動きを読まれてしまうため、防
戦一方に追い込まれる。最後はもちろんアメ
リカが勝つが、アメリカ人の好きそうなフェ
アプレー精神に溢れたエンディングは、後味
もいい。
9.23(木) BSプレミアム
THIS IS FOLK
「FOLK 3」のレコ発ツアー
セットリストは例によって見付からない
ので省略。
オーチャードホールなんだけど、最初か
ら最後までふたりだし、ゲストぐらい呼
んでないのかな、とかいう期待も、特に
しない。ただただ、ふたりの歌と演奏と
トークを聴いて、アンコールを聴いて、
写真を撮って帰る。クラブクアトロの時
とやってることがまったく一緒なのがす
ごい。だってオーチャードだよ!
それにしても良成のギター・カッティン
グの正確無比にはあらためて驚嘆する。
ブギー・バックでも遺憾なく発揮されて
いた。
9.22(水) オーチャードホール