2023年5月13日土曜日

読書④

 
実は二冊とも年明けぐらいに読み終わってい
たのだが、記事を書くのを後回しにしていた
のであった…。もう5月だ。後回しにし過ぎ。


蝶々と戦車 何を見ても何かを思いだす
 ヘミングウェイ全短編3
ヘミングウェイ 著  高見浩 訳  新潮文庫

全短編のシリーズもこれで完結。
ヘミングウェイの作家人生をおおざっぱに
「パリ時代」「キー・ウェスト時代」「キュ
ーバ時代」とくくった時の、「キューバ時
代」に書かれた短編と、書かれた時期は不
明の生前未発表のものを網羅する。
はじめの方は、スペイン内戦を取材したこ
とをもとにした短編が多く収録されており、
スペイン内戦に無知な私にはいまいち事情
が分からない。もちろん会話や文章の端々
にひりひりした空気は伝わってくるが。
その他のものはあいかわらず切れ味するど
い短篇が並んでいる。「ある渡航」や「ポ
ーター」という作品などは、その瑞々しさ
に驚かされる。「アフリカ物語」もいいで
すねー。

『街とその不確かな壁』を読んでいたら、
「ヘミングウェイの短篇の出だしみたいだ」
というセリフがあり、偶然にも去年からこ
のシリーズを読んでいた私は思わずニヤリ
としたことですよ。

















『古くて素敵なクラシック・レコードたち』
村上春樹 著  文藝春秋

いちおう発売してすぐ買ったんですけどね…。
この本で村上春樹が嬉々として自前のアナロ
グ盤のジャケットとともに紹介しているクラ
シックが、全然知らない曲ばかりなので、
YouTubeなどで探して聴きながらちびちびと
少しづつ読んでいるうちに、2年ほど経って
しまった。しかも読み終わらないうちに続編
まで出てしまった。
しかしこれを読みながら「ふむふむ、あの曲
ね」と頷きながら楽しめるひとは、相当な知
識を有するひとだけだろう。私は正直、どう
読んでいいものか、困惑する本だった。ルー
ビンシュタインの弾くシューベルトのピアノ
ソナタ21番にはとても興味をそそられたので、
買おうと思ってタワーレコードに行ったのだ
が、どうやらCDでは出ていないらしい。実用
的な本、というわけでもないのである。