2014年2月28日金曜日

ジョバンニの島


☆☆☆★         西久保瑞穂       2014年

北方四島のひとつ、色丹島で暮していた10歳の兄・純平と7歳
の弟・寛太。敗戦と同時に島はロシアに占領されるが、しばらく
は島に入って来たロシア人との平和的な「共生」が続く。もちろん
家を追い出されたり、教室を明け渡したりといった事はあるもの
の、子どもたちの視点ではわりあい楽しくやっていた、ということ
のようである。純平とターニャの淡い淡い恋がなかなか切ない。
しかし2年ほど経ったある日、突然日本人は島を出ることを強制
される。詰め込まれた船は激しい嵐のすえに樺太に着き、そこ
から兄弟の苦しい日々が始まる…。

脚本が「北の国から」シリーズの演出を手がけた杉田成道。
声優には名だたる役者がずらりと並ぶ。仲間由紀恵の声が意外
と良かった。

                                                         2.27(木) イオンシネマ釧路


2014年2月24日月曜日

厳冬の読書


しばらく家を空けていたのだが、「なぞの転校生」が2回も録れて
いなかった。大ショック…。ソチ五輪で放送時間が微妙に変わった
せいだろう。ちくしょう。五輪なんか興味ないんだ、岩井俊二の方
がずっと大事なんだ。

以上、今日のツイートでした。


『笑いと忘却の書』
ミラン・クンデラ 著   集英社文庫

帯のコメントがなんと広末涼子。
広末が読んでるのに…ということで、意地になって読む。

亡命作家はやっぱそれだけで既にドラマがあるよね。作家の人生
も「込み」で作品がある、という感じ。ナボコフもそうだが。
軽妙な文体で、なかなかおもしろかった。
しかし2年後にはどんな小説だったかまったく思い出せないと思う。










『取り替え子(チェンジリング)』
大江健三郎 著    講談社文庫

伊丹十三の自死を、かなり正面から取り上げて作品化した小説
といえるだろう。
「滑稽な木車に乗せられて『蹶起』し、無惨にも殺される父親」と
いう、大江作品に何度か出て来るイメージがここでも登場する。
「蹶起」の目的地はいずれも「大内山」であり、文脈から察するに
それは「皇居」のことのようだが、初めて聞いた言葉。

…こういうときすぐにググッてしまうのが、現代っ子の夢がない所
だが、果たして「大内山(おほうちやま)」とは皇居のことなので
あった。

大江健三郎は、東大図書館で隣のひとが開いたまま席を立った
本をちらりと覗いたときに目に入った文章に感銘を受け、しかし
本に触れて書名を確かめることはできず、それがずっと心に引っ
掛かったまま、後年、ある英詩を読んでいるときに「こ、これはあ
の時の文体!」とピンと来て読み進めるとほんとにその時の一節
があった、というひとなのである。「覗き見までしたんだから本裏返
して書名を見ろよ!」とか突っ込むのは簡単であるが、私はこうい
う話がけっこう好きである。
ちなみにその詩人とはウィリアム・ブレイク。『四つのゾア』という本
らしいです。

2014年2月6日木曜日

ウルフ・オブ・ウォールストリート


☆☆☆★★      マーティン・スコセッシ     2014年

179分の映画だが、刈り込まれてようやくこの形に収まった、という
印象。そのぐらい駆け足で、ウォール街の「狼」の栄光と転落を活
写する。

『マグノリア』ではトム・クルーズが新興宗教の教祖様みたいな役を
ノリノリでやっていたが、この映画のディカプリオは口のうまい成金
野郎の役。これがいい感じでインチキ臭くて良い。社内の訓示はま
るでアジ演説のようである。

映画の終わらせ方が気が利いてて、後味がよかったので★増量。

                                                           2.4(火) イオンシネマ釧路


2014年2月5日水曜日

風花


☆☆☆       木下惠介       1959年

これだから「因習に閉ざされた村」は厭だよ。
春子(岸恵子)が味わわされる孤立感はもう「息が詰まる」
なんていう次元じゃないよね。まさに地獄。
春子にとっては息子(川津祐介)だけが心の拠り所であり、
息子にとってはさくら(久我美子)だけが精神的支柱だった
のだろう。うーむ、苦しい映画だった。

                                                      2.3(月) BS日テレ


小さいおうち


☆☆☆         山田洋次       2014年

なんだか、いつもの冴えが無かった気がする。
黒木華と松たか子はとても良かったが、肝心の「お話」の
ほうが、新しさが無いというか、普通の話じゃね?
どっかで聞いたような話の寄せ集めにしか思えなかった。

                                             2.3(月) イオンシネマ釧路


2014年2月3日月曜日

おもひでぽろぽろ


☆☆☆         高畑勲         1991年

実はちゃんと観るのは初めてのような。

こう観てくると、高畑勲の描きたいものが、いかに一貫
しているかが分かる気がする。そして同時に不幸にも
一貫して、私にはそれらの作品があまりおもしろいと思
えない。なぜなんだろう。

                                                         1.22(水) STV