2010年12月31日金曜日

泥棒成金

☆☆☆★    アルフレッド・ヒッチコック    1954年

なんとか年間100本のノルマは達成。
こんなにギリギリになるとは。ふう。

ヒッチコックとしてはまあまあの作品。しかしながら、
グレース・ケリーが最高。ほんとにキレイなひとだなぁ、
と思いながら鑑賞。映画は女優である(しつこい)。

                                                    12.31(金)  BS-2

知りすぎていた男

☆☆☆★★    アルフレッド・ヒッチコック    1956年

秀作。サスペンスのおいしいとこが詰まっている。
これで99本。

                                                                   12.30(木)  BS-2

タカダワタル的

☆☆☆★★    タナダユキ     2004年

急いでおります。本数を稼いでおります。
こういう時はドキュメンタリー。なぜなら、短い。

しかし本作は素通りしてしまうのは惜しい、気持の
良いドキュメンタリーであった。高田渡、ステキだ。
酔っ払いっぱなしだけど。
素面の場面はひとつでもあったんだろうか。
おもしろかった。

                                 12.30(木)  DVD

玄牝 -げんぴん-

☆☆☆     河瀬直美     2010年

                              12.29(水) ユーロスペース

チャップリンの独裁者

☆☆☆★★★   チャールズ・チャップリン    1940年

恥ずかしながら初めて観たが、噂どおりの傑作。
ちょっとくどい部分もありつつ、ただ圧倒的。

                                                       12.26(日) BS-2

夫婦善哉

☆☆☆★       豊田四郎      1955年

淡島千景が色っぽく可愛い感じで、非常にタイプである。
映画は女優だ!

                                                  12.23(木) BS-hi

サイコ

☆☆☆★★  アルフレッド・ヒッチコック   1960年

再見。殺人者のあの素早さがすばらしい。

                                                       12.13(月) BS-2

ノルウェイの森

☆☆☆    トラン・アン・ユン    2010年

初日に観ることになるとは思わなかった。
決して悪くはなかったと思う。各所で言われていることだが、
緑を演じた水原希子が良い。映画は女優である。
詳しい感想は、いずれ。

                                                12.11(土) 新宿ピカデリー

2010年12月26日日曜日

南の島のティオ

池澤夏樹 著       文春文庫

子ども向けに書いた短篇小説とのこと。どおりで最初の
二篇ぐらいは結構かったるかったが、だんだん楽しくなっ
てきて、一日一篇寝る前に読んでいたのだけれど、最後
のほうは寝るのが楽しみなぐらいだった。やりおるわ。

太平洋のどっかにあるらしい架空の島で、親の観光ホテ
ルの仕事を手伝いながらも、まだまだ遊び盛りの十代前
半の少年「ティオ」が主人公。
あいかわらず「南の島での生活」と「手仕事」への著者の
偏愛が溢れている連作である。カヌーを大木からくりぬい
て作ったり、小屋を立てて屋根を葺いたりするのだが、
工程が実に具体的で、その通りにすればカヌーも小屋も
作れそうだ。傾向として、海外に長く住んだりする人は、
その手の「工程」が好きな人が多い気がする。海外では
面倒なことも多いだろうが、そういうのも含めて「工程」そ
のものが好きなんだろう。またそれを細かく描写するの
も面倒だと思わないのだろう。読者に「面倒」と思わせな
いためにはまた別の高度な技術が要るだろうけど。

2010年12月18日土曜日

めまい

☆☆☆     アルフレッド・ヒッチコック    1958年

ヒッチコックの最高傑作に推すひとも多い作品だが、えーと、
あんまりおもしろくなかった。
高所恐怖症の元警察官が、夫の依頼で、先祖の霊がとり
憑いて不審な行動をしているらしい人妻を尾行する、という
前半は申し分ない。ということはやはり、元警察官と人妻
が恋に落ちるというラブロマンスの要素が入ってきてから
途端に輝きが鈍ったみたいである。別にそういう作品があっ
てもいいが、最高傑作には推せない。もっと面白い作品に
は事欠かない気がする。

余談だが本作は「ダーティ・ハリー」以上の「サンフランシス
コが盛りだくさん映画」である。街を車で徘徊する人妻を尾
行するもんだから、もうサンフランシスコのあらゆる坂が出
て来たんじゃないかというぐらいの紹介っぷりだった。人妻
はゴールデンゲートブリッジのたもとで溺れそうになるし。

                                                12.9(木)   BS-2

2010年12月17日金曜日

絶対の愛

☆☆☆★      キム・ギドク      2007年

最高におもしろかったのなら、あらすじの説明もする
甲斐があるというものだが、本作ははっきり言ってま
あまあの出来で、そのわりにストーリーが盛りだくさん
で説明するのに手間がかかる。気分もあまりのらない
ので、「整形する女の映画」という説明にとどめておく。

「うつせみ」ではストレートな表現を慎み深く抑制して
いる印象だったキム・ギドクだが、本作はいろんな
シーンのはしばしが、結構あざとかった。
そんなに嫌な感じでもないのだけれど。

                                        12.06(月)    早稲田松竹

2010年12月12日日曜日

うつせみ

☆☆☆★       キム・ギドク       2004年

前にも書いたが、韓国映画はけっこう好きで、ちょくちょく観る。
表現のストレートさと、猥雑な感じの画面が魅力だ、と思ってい
る。少なくともこれまで観てきた韓国映画は例外なく、その二点
を備えていた。しかし何にでも例外はつきものであって、今回観
たキム・ギドクには当てはまりそうもない。
本作は抑制の効いた表現と、キレイな画面が大きな特徴で、こ
れは日本映画と変わらんな、というのが最初の感想。
主人公は、留守と見定めた家にあがり込んで生活している、ど
こか飄々とした男。一晩だけ泊まって、散らかっている衣服を集
めて洗濯して、干して、取り込んでから家を出る、なかなか変わっ
たキャラクターである。
この男が、留守と見込んでいつもどおり鍵をピッキングで外して
入った豪邸に、明らかに家庭内暴力を受けているとみられる、
顔にあざのある女が軟禁されたような状態でいたことから、物語
が奇妙にゆがんでいき、「そっち!?」と言いたくなるような方向に
どんどん進んでいき、なんだかすごいところに着地して終わる。

この主人公と女が、一切会話を交わさないというのがミソで、二
人の微妙な感情の綾をセリフなしで表現するという、韓国映画ら
しからぬ(失礼)繊細さを発揮している。監督としての手腕はそう
とう確かなものとお見受けする。

                                                             12.06(月)    早稲田松竹

2010年12月10日金曜日

【LIVE!】 宇多田ヒカル "WILD LIFE"

M1 Goodbye Happiness
M2 traveling
M3 テイク5
M4 Prisoner Of Love
M5 COLORS
M6 Letters
M7 Hymne a l'amour
M8 SAKURAドロップス
Eclipes
M9 Passion
M10 BLUE
M11 Show Me Love (Not A Dream)
M12 Stay Gold
M13 ぼくはくま
M14 Automatic
M15 First Love
M16 Flavor Of Life -Ballad version-
M17 Beautiful World
M18 光
M19 虹色バス

(アンコール)
M20 Across The Universe
M21 Can't Wait 'Til Christmas
M22 time will tell

                                                 横浜アリーナ     12/8


終わってしまうのかぁ、という思いがいちばん強かったライブ
終盤。ライブ自体が終わってしまうというのもあるが、もちろん
それ以外にもう一つ、宇多田ヒカルという、眩しいような才能
のきらめきを、もう当分の間見ることができないんだ、という
ことをしみじみと実感して、あまりライブを見ていて襲われた
ことの無い種類の感情に襲われた。

セットリストを眺めてみてもわかるが、ほとんどの曲が、その
へんのソングライターが一生に一曲書けるかどうか、という
ぐらいの名曲で、それをけっこう無造作にぽんぽん並べてい
る観がある。実際に会場で聴いたわけだが、これ全部あなた
が作ったんすか、マジすか、という感じだった。分け入っても
分け入っても凄い曲、というやつである。かといってシングル
ばかりというわけでもなく、大好きな「虹色バス」や「BLUE」を
やってくれたし、個人的にイマイチだと思っている「誰かの願
いが叶うころ」「Be My Last」ははずしていて、なんだか気が
合った。ラストが「time will tell」というのは意表を突かれたけれ
ど、いま思うとぴったりで、さすがの選曲。ベストアクトは、私
の一存で、Passion ~ BLUEの一連に認定する。

ひとつのライブとしても、充分すばらしかった上に、いろんな
文脈も重なって、「特別な一夜」という感じが強くするライブ
だった。ヒッキーはやっぱり可愛くて、そしてカッコよかった。

2010年12月1日水曜日

ノルウェイの森

村上春樹 著       講談社文庫

インタビュー集『夢を見るために 毎朝僕は目覚めるの
です』はまだ読んでいる途中だが、急にむらむらと『ノル
ウェイの森』が読みたくてたまらなくなり、結局また全部
読んだ。もう通算で6回目か7回目か、そのぐらいだと思
う。もちろん、こんなに読み返している小説はこれだけ
である。僭越ながら自分の「帰るべき場所」という感じが
してきている。ここから訣別する日は来るのか。

何度読んでも、というか、読むたびにその度合いは増し
ている気がするが、のちの直子の運命を知っているから
こそ、冒頭の草原の場面で、直子がワタナベ君に「私の
ことをいつまでも覚えていて」とお願いするシーンは胸が
詰まる。こんなに哀しい場面を私は他の小説に知らない。