2013年5月27日月曜日

ファンシイダンス


☆☆☆★          周防正行        1989年

♪ 君の~ゆく道はぁ~ 果てしぃなく遠い~

『若者たち』のあの歌に、ここで再会するとは思ってもみなかった。
熱唱する本木雅弘にグッときた。すばらしいオープニング。

やはり商業映画デビューで「お寺の修行」にスポットを当てた周防
正行は非凡だろう。関係者が見たら不愉快な描写もあろうけれど、
部外者が観るぶんには楽しい映画。これから坊さんになろうという
ひとは観ないほうがいい!?

                                                            5.15(水) BSプレミアム


2013年5月26日日曜日

めがね


☆☆☆              荻上直子              2007年

『かもめ食堂』は秀逸だった。詳しい中身は忘れたが。
『トイレット』は、綿密に計算されたユーモアが炸裂していて
驚嘆した。
こういう映画が撮れるひとなら、その中間に位置する『めが
ね』も当然観なければならないだろう。
と、いうことで、観ました。
ただこれはね、うん、けっこう不発だったわ。
ただ、あの娘はいいね、市川実日子。

                                                     5.13(月) BSプレミアム


2013年5月25日土曜日

GW前後の読書②

『大いなる眠り』
レイモンド・チャンドラー 著   村上春樹 訳   ハヤカワ書房

私立探偵フィリップ・マーロウの華々しい"デビュー"である。
村上さんも訳者あとがきに書いているが、デビュー作だからといっ
て「習作」的な要素はほとんど無い。いつものクールでタフで優しい、
あのマーロウである。

村上さんのマーロウ翻訳シリーズも4作目。村上さんが訳さなけれ
ば、私はチャンドラーを読むこともなかっただろう。
チャンドラーにとって、この「推理もの」「探偵もの」という小説形式
も、研ぎ澄ましていった文章で存分に遊ぶための"容れ物"に過ぎ
ないのでは、といった趣旨のことも「あとがき」に書いているが、今
では大いにうなづくことができる意見である。まさしくその通りだろう。











『色即ぜねれいしょん』

みうらじゅん 著    光文社文庫

映画版を先に観ていたわけだが、意外とあまり邪魔にならなかった。
文化系男子の青春小説として非常に秀逸。その「イタさ」も含めて、
愛おしい作品である。

2013年5月23日木曜日

苦役列車


☆☆☆★        山下敦弘        2012年

森山未來の演技が光りまくる。近年、三十前後の俳優の中でも
彼の存在は際立っているように思う。
脇を固めるは、高良健吾と前田敦子。個人的には、あっちゃん
の演技は自然で気取りがなく、映画に溶け込んでいたように見
えた。「アイドルが映画に出ている」感じではなく、この鬱屈した
泥臭い青春映画にうまく馴染んでいた。

地べたを這い回るような青春映画だが、これこそ山下監督の本
領といったところだろう。ただ時折、露悪的な描写がいくぶん鼻
につかないではない。あるいは、いつもの向井康介ではなく、い
まおかしんじと脚本で組んだのも影響したのか。

いまどき一人称「僕」はクサくなりそうなものだが、そこは森山も
巧かったし、演出も巧かったおかげで、良い「ひっかかり」になっ
ていた。

                                                                    4.30(火) DVD


2013年5月21日火曜日

リンカーン


☆☆☆★★★       スティーヴン・スピルバーグ      2013年

これはよかったねぇ。重厚! 壮大! 役者の名演!
それに加えて脚本はいいわ、音楽はいいわ、ライティングはいいわで、
文句のつけようがなくて困る。ほんとに150分があっという間だった。

                                              4.30(火) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2013年5月20日月曜日

GW前後の読書

『共喰い』
田中慎弥 著    集英社文庫

芥川賞受賞作を読むのは久しぶりである。
「全作読破マラソン」をしていたのは大学の学部の頃なので、
もう5~6年は前ということになる。その間の受賞作は、読んだ
り読まなかったり。あまり食指が動かなくなったのは事実である。

この著者の名前は、私が文藝誌でアルバイトをしていたそれこ
そ5~6年前に、「近頃めざましい活躍をしている若い書き手」と
して知った。当時の作品の「神様のいない日本シリーズ」という
不思議なタイトルをいまだに覚えている。

その後、何回かの落選のあと芥川賞に選ばれ、「都知事閣下に
免じて、もらっといてやる」発言で一気に有名になったのは説明
不要だろう。

前置きが長くなったが、ここからは短い。
一読して、土着的な感じといい、方言の持ち込み方といい、いか
にも「日本文学ど真ん中」な感じで、既視感を覚えた。正統的な
のかもしれないが、新鮮味は無い。暴力と性と土着と血縁って、
つまりまあ、「あのひと」っぽいんですよ。和歌山のね。

青山真治で映画化される。今秋の公開とのこと。
楽しみにしちゃってる自分がいるんだよね。別に青山真治なんて
全然好きじゃないけどね!










『あの空の下で』
吉田修一 著    集英社文庫

JALの機内広報誌に連載していた短篇小説とエッセイが収められ
ている。こういう掌編を書くのは好きなんだろうか。こんなことして
ないで、もっと濃い小説を思いっきり書いてくれよ、と言いたくなる
のだが。



2013年5月14日火曜日

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

村上春樹 著     文藝春秋

さて。
読了して一か月が過ぎてしまいました。

しかしいまだ、この小説について何を言ったらいいのか、
適切な言葉が見つかりません。

まだ読んでいないひとには、ただただ「読んでください」と
いうのみである。

読んだひとには…、まあまた、日を改めて何か書きましょう。

しかし、今回もまた思ったことであるが、
「私の人生において、村上春樹の長篇小説よりも大事なもの
ってあまり無い」ということは強く確信した。


2013年5月12日日曜日

Ho Chi Minh City








今年はどこにも行かないつもりだったのですが、
結局ホーチミンに行ってきました。
向こうでは、たくさん汗をかき、
ほどほどにビールを飲み、
たくさんベトナム料理を食べ、
行き帰りにはたくさん本を読みました。


2013年5月1日水曜日

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア


☆☆☆★        ニール・ジョーダン       1994年

トム・クルーズとブラッド・ピットの共演は珍しいのでは。
特にトムは嬉々として吸血鬼を演じていた。

こういう映画はやっぱ「途中でアホらしくならない」というのは大事だね。
なんせ「ヴァンパイアにインタビュー」ですから。どういう意味なんだろう
と思って映画を観たら、ほんとにその通りの意味でした。ヴァンパイア
にインタビューしてたわ。

怪奇ものにしては、良いところにバシッと球が決まる気持ちよさがあり、
丁寧なつくりには感心した。エンドロールの「悪魔を憐れむ歌」にはいち
ばん大きな快感を覚えた。しかもガンズ! あんなバージョンがあるんだ。

                                                                     4.29(月) BSプレミアム