この線路を降りたら
映画について私が知っている二、三の事柄
2025年7月8日火曜日
2025年5月6日火曜日
ゆきてかへらぬ
☆☆☆★ 根岸吉太郎 2025年
長谷川泰子という人物はどういうひとだったの
か、以前から興味はあった。なにせ中原中也を
捨てて小林秀雄のもとに走ったのだから、この
事実ひとつだけをとっても相当なものだ。
根岸吉太郎がとりつかれた田中陽造の脚本が、
この人物を魅力的に描いていたかというと、神
経症の描写も含めて、私には苦手な描き方だっ
たというしかない。
広瀬すずが演じることで、中盤までのもつれた
恋愛関係に関してはプラスだったと思う。ただ、
今の時代では考えられないほど身勝手な男たち
の振る舞いに神経が参っていく段階になると、
「耐え忍ぶ」ような描写がどうも似合わないの
は否めない。神経症になる前に、さっさと男を
捨てそうな感じがするというか・・・。
木戸大聖の芝居は、最初に見たときは「下手か
も・・・」と嫌な予感がしたが、だんだんしっ
くりなじんできたというか、なかなか良かった
と思う。終盤、赤ん坊の乗っていない乳母車を
押す中原の姿は痛々しくて胸が詰まった。
岡田将生はいつも通りの奥ゆきの無い感じだっ
たが、まあエキセントリックで攻撃的な中原に
比べると、小林秀雄のパーソナリティを感じさ
せるエピソードが非常に少ない脚本だったので
仕方ないかもしれない。「らしい」描写は、論
文の懸賞で「一等は俺に決まってる」と言い放
つ場面ぐらいしか無かったように思う。
3.3(月) TOHOシネマズ池袋
2025年4月22日火曜日
【LIVE!】 スガシカオ
Shikao & The Family Sugar TOUR 〜Acoustic Soul〜
<セルフオープニングアクト>
1. 仰げば尊し
2. アシメントリー
3. そろそろいかなくちゃ
4. 3月9日(Cover)
5. ヒットチャートをかけぬけろ
6. 愛について
<本編>
1. 8月のセレナーデ
2. 見る前に跳べ.com
3. 黄金の月
4. ゼロジュウ
5. 日曜日の午後
6. 発芽
7. AFFAIR
8. あなたへの手紙
9. Soul Music
10. ぬれた靴
11. 310
12. サービス・クーポン
13. Loveless
14. ヤグルトさんの唄
15. 6月9日
16. Let's get it on
17. ストーリー
18. 午後のパレード
19. SWEET BABY
<Encore>
1. Progress
2. 君が好きです
3. 情熱と人生の間〜このところちょっと
2.26(水) LINE CUBE SHIBUYA
(オープニングアクトあり)と書いてあった
ので、知らない若いバンドでも30分ぐらい
聞かされるのかと思ったら、スガシカオ本人
が出て来てギター1本で6曲も弾き語り。
発声練習代わりだったが(まだガラガラだっ
た)、こういうのは良いですね。しかも「愛
について」が早くも聞けてしまった・・・。
かつてスガシカオのバックバンドだった
“The Family Sugar”が15年ぶりに復活! と
いうことで、選曲も含めて再結成ツアーの感
じが濃厚。もちろん昔のバンドがとても好き
だったのでうれしい。特に沼澤尚のドラムが
好きで、この日も堪能した。バスドラは重い
のに、スネアとタムは軽快で、アッサリ系。
その音色がなんとも絶妙である。
どうしても身体が反応するのは、大学生の頃
に聞いていた曲ということになる。もう反射
なのでしょうがない。「日曜日の午後」のギ
ターイントロ、「AFFAIR」のシンセのフレー
ズ、なかなかたまらんものがある。
ベストアクトは「ぬれた靴」。
2025年4月6日日曜日
どうすればよかったか
☆☆☆★ 藤野知明 2025年
「どうすればよかったか」という問いは、藤野
自身への問いであり、観ている私たちにも突き
付けられる問いでもある。
「親である私がいちばん娘のことを分かってい
る」「いちばん娘のためになることをやってい
る」という思い込みが、時に目を曇らせ、判断
を誤らせる。しかしそう思いたい気持ちも分か
る。
衝撃的な映像が撮れているのだが、冒頭のすさ
まじい音声に勝るものがなく、別に衝撃度を競
うわけではないことは分かっているけれど、ど
うも構成ミスという感じが否めない。
ひとつまったく本質的ではないところだが、お
姉さんのまくしたてる時の喋り方が、大泉洋が
マネをする「いとこのみっちゃん」に心なしか
似ていた・・・。北海道弁というのもある。
2.22(土) シネマ・ロサ
2025年3月27日木曜日
2025年3月21日金曜日
逆噴射家族
☆☆☆★★ 石井聰亙 1984年
郊外に念願のマイホームを手に入れた男(小林
克也)。ローン返済のためモーレツ社員として
働きまくる決意を新たにするが、転がり込んで
きた父親(植木等)の行動をきっかけに、徐々
に歯車が狂い始める。家にシロアリがいると思
い込んだり、父親の部屋を地下に造ろうとした
り…。ついに男は夜中に家族を集め、宣言する
のであった。「おまえたちはみんな病気だ」。
歯切れのいい編集とはちゃめちゃな脚本で、ブ
ラックユーモアに満ちた爽快作、といった仕上
がりになっている。植木等が出演していること
が、映画の格をひとつ上げた。ただのゲテモノ
映画ではない。長男役の有薗芳記もなかなか良
い。長女役は当時13歳の工藤夕貴。
そしてカメラはたむらまさき。第二撮影のクレ
ジットで篠田昇も参加しているようだ。
2.6(木) 新・文芸坐
2025年3月1日土曜日
惑星ソラリス
☆☆☆ アンドレイ・タルコフスキー 1977年
スタニスワフ・レム『ソラリス』はモロッコ
に行く飛行機で読んだのだったか。その時か
ら映画版も観たいと思っていたが、ようやく
名画座で捕獲。
「ソラリス」という惑星に滞在している宇宙
船の中に3人の研究者がいて、1人が自殺した
という報を受けて主人公が新たに赴任するも、
意思をもった惑星であるソラリスに幻覚を見
せられたりして、次第に狂っていくというス
トーリー。
嫌いなタルコフスキーの映画なので別に期待
はしてはいなかったが、「苦痛ではない」ぐ
らいの3時間弱だった。タルコフスキーにし
てはワンカットも短めだし、人物のクローズ
アップや切り返しなんかもあり、一見普通の
映画である。
映画を観た翌週に行った坂本龍一展で、教授
のタルコフスキーへの偏愛には驚かされた。
『async』は架空のタルコフスキー映画のサ
ウンドトラックというコンセプトであったし。
1.12(日) 新・文芸坐
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