2017年12月11日月曜日

いとこ同志


☆☆☆★★★  クロード・シャブロル  1959年

お人好しの田舎青年のシャルル(ジェラール・
ブラン)が、パリのいとこポール(ジャン=ク
ロード・ブリアリ)のもとで同居を始める。
まじめに禁欲的に試験勉強に励むシャルルに対
して、いつも女と遊び呆けているポール。声が
大きく、態度も不遜である。同年代に加えて、
うさんくさいおっさんともよくつるんでいる。
しかしいざ試験結果が出てみると…。
ヌーヴェル・ヴァーグの先駆けともいわれる映
画なのだが、『勝手にしやがれ』とか『大人は
判ってくれない』とかとは、あまり似た雰囲気
もないような。

少なくとも受験生には見せるべきではない映画
だね。

画像はジュリエット・メニエル。きれいなひと
であった。しかし出演作の一覧を見ると、あま
り多くない。

                                 11.26(日) BSプレミアム


2017年12月8日金曜日

恐怖のメロディ


☆☆☆★★   クリント・イーストウッド  1971年

イーストウッドの初監督作品。音楽のモチーフの使い方
や、起承転結がはっきりしている所など、イーストウッ
ドの「好み」は今でも変わっていないのだな、と思う。

みずから演じる色男のラジオDJのもとに毎夜かならず、

「ミスティ」をかけて(Play Misty For Me)

というリクエスト電話がかかってくる。熱心な彼のファ
ンなのだ。やがて相手と一夜限りの関係をもったイース
トウッドは、愛し合っていると勘違いした女の強烈なス
トーキングに悩まされる。ぐずぐずと中途半端な対応を
しているうちに行為はどんどんエスカレートし、お手伝
いさんはメッタ刺しにされ、恋人にも危険が迫る…。

ひとを刺すとき、いつも「あ゛ぁぁぁぁっ!!」と絶叫し
てから刺すのが最初はヘンに思ったが、じわじわ怖い。
日本でリメイクするなら、この狂女を演じられるのはや
はり松居一代しかいない!
イーストウッドはもちろん船越英一郎。

                                              11.25(土) BSプレミアム


2017年12月5日火曜日

普通の人々


☆☆☆★   ロバート・レッドフォード  1980年

ロバート・レッドフォード初監督作にして、高い評価を
受けた名作、と聞いていますよ。アカデミー作品賞をふ
くむ4部門を受賞。スタートとしては破格ですねぇ。

平穏な暮らしを営んでいた4人家族が、長男の事故死を
きっかけとして、少しづつ歯車が狂い始める。カウンセ
ラーが重要な役割を果たすので、「グッド・ウィル・ハ
ンティング」を思い出すひとも多かろう。
過度にセンセーションを起こさない淡々とした演出は、
いくら名優といえどもそれだけで出来るものではあるま
い。独特の嗅覚を備えていたということだろう。しかし
それほど慎重に、大切に演出するのが「家族が崩壊して
いく様をリアルに描く映画」というのが、以前からだけ
ど私には引っ掛かるのである。どうも観ていて良い気が
しない。それがリアルで克明であればあるほど…。
失恋とか挫折とかだったら別になんとも思わないのだが、
なんでだろう。あるいは私の深層心理に関わるのかもし
れない。

                                          11.24(金) BSプレミアム



2017年12月2日土曜日

ミニー&モスコウィッツ


☆☆☆★   ジョン・カサヴェテス   1971年

黒沢清が偏愛するカサヴェテス。前に早稲田松竹で
2本観てどうもピンと来ず、これでおもしろくなかっ
たらもう観ないと心に決めて観た。

モスコウィッツというヘンな男を軸に、話は進む。
長髪に髭のヒッピー風の外見、声は大きく態度はと
ことん厚かましく、まったく関係ないパーティーに
もぐりこんでは手当たり次第女に話しかけたり酒を
飲んだりして黒服に蹴り出されたりしている。出て
くる他の人間も変人ばかりで、いわば変人の見本市
の様相である。ヒロインのミニーは、中でも極めつ
けの変人のひとりにからまれているところをモスコ
ウィッツに助けられ、その変人ぶりに当惑しつつも
惹かれていく…。
それにしてもミニーはなんでこんなにも入れ代わり
立ち代わり怒鳴られなくてはならないのか。理不尽
である。

まあこの映画で見捨てるのはやめた。でもカサヴェ
テスの何がそんなに良いのかは分からないままだ。

                                     11.23(木) BSプレミアム


2017年11月29日水曜日

予兆 散歩する侵略者 劇場版


☆☆☆★★     黒沢清     2017年

「ホラー」に特化した別のストーリーという触れ込み
だったので、どれほどの恐怖が待ち構えているのかと
おそるおそる観に行ったが……ちっとも怖くない!

菊地凛子の夫(染谷)と爆笑ヨーグルト姫(夏帆)の
夫婦はこれまで穏やかに暮らしていたのだが、杏の夫
(東出)が同じ病院に勤めだした頃から、染谷くんの
様子がおかしくなり始める。

冒頭は何の変哲もないマンションの階段で、これだけ
でワクワク。黒沢清の映画を観る楽しみのひとつは、
黒沢が提示してくる人物の居ない画の「何の変哲もな
さ」に愉悦を覚えることである。もうひとつは「移動
ショットの愉楽」というものもある。とりあえずこれ
だけあれば俳優もストーリーもひとまずどうでもよく
て、それらが良ければもう儲けものというのが、一義
的に黒沢ファンの鑑賞法であると私は勝手に考えてい
る。

その意味では今回は、ホラーというには恐怖成分が少
なく、東出くんは顔は不気味だけどそんなに強そうで
はなく、染谷くんもそれほど精彩を欠くように見えた。
ヨーグルト姫は若干芝居が単調かな。役柄から言って
しょうがないかもしれないが。

                                        11.23(木) 新宿ピカデリー


2017年11月26日日曜日

ブラッド・ダイヤモンド


☆☆☆★   エドワード・ズウィック   2007年

シエラレオネのダイヤモンド採掘をめぐる血塗られた抗争
と搾取と悲劇をレオ様主演で描く。政府とRUFという人民
解放軍みたいなのとの内戦状態で、何万人という難民が発
生しており、RUFは子どもを拉致して洗脳し、兵士にして
いる。人権団体やジャーナリストも押し寄せているが、レ
オ様は南アフリカ生まれの元傭兵という設定。これまでも
紛争地帯で際どい取引を成功させて闇社会で生きて来た、
筋金入りのタフガイである。

いろいろあって子どもを拉致されたソロモンを相棒にして
幻のピンク・ダイヤモンドで儲けようと企み、戦場を駆け
抜ける。この戦場が、なぜかちっともハラハラしない。レ
オ様が死ぬわけないからというのも一因かもしれないが、
どうも漂白された戦場という気がした。死臭がしない。
ソロモンが難民キャンプで家族と再会するところなど、少
しわざとらしいところもあり、だいぶ興を削がれる。題材
がリアルでいくらでもおもしろくなりそうなだけに、惜し
い。

                                                11.18(土) BSプレミアム


2017年11月24日金曜日

ヘッドライト


☆☆☆★   アンリ・ヴェルヌイユ   1955年

先週号の週刊文春で小林信彦が久しぶりに連載を
再開した。慶賀すべきことだ。再開されたコラム
には「約一週間、生きるか死ぬかというところに
いたらしい」とある。脳梗塞の症状が出て緊急搬
送され、生死の境をさまよった由。

さて、本作は小林信彦も評価していた(と思う)
フランス映画。どう評価していたかは覚えていな
いが、少なくともフランソワーズ・アルヌールは
好きだと言っていたはず。

妻子もちのトラック野郎ジャン・ギャバンと、あ
まり理由は分からないが彼に惚れて駆け落ちのよ
うにトラックに飛び乗る女給のフランソワーズ・
アルヌール。いまでいうゲス不倫だが、映画の文
法に従えばこれは「許されぬ恋」そして「メロド
ラマ」ということになる。
ジャン・ギャバンはたしかに渋いが、美人女給が
くらくらするほどかなぁ。

原題は"Des Gens Sans Importance"で、「とる
にたりない人々」といった意味らしい。「ヘッド
ライト」という邦題は、まあ悪くない。

                                      11.15(水) BSプレミアム