2020年5月30日土曜日

ゴッドファーザー PART Ⅱ


☆☆☆★★★ F・フォード・コッポラ 1975年

個人的には3部作の中で、これまで評価が
低いのがこのPart.Ⅱだった。
あらためてじっくりと観てみると、前に観
た印象ほど、話のすじは複雑というわけで
はないと思った。ヤクザの言葉にはメッセ
ージと、時にそれよりも重要なメタ・メッ
セージが含まれていることを、「仁義なき
戦い」シリーズで笠原和夫からみっちりと
教え込まれたからだろうか。しかし、若き
ビトー・コルレオーネが実力をつけてのし
あがっていく上昇の物語が魅力的であるの
に比べて、ファミリーを守るため非情に徹
するあまり妻からも愛想をつかされされ、
ついには実の兄さえ手にかけてしまうマイ
ケルの物語は、どうにもやるせない。

                    5.14(木) BSプレミアム


2020年5月29日金曜日

【演劇】 ひめゆり


作・ハマナカトオル
音楽・山口琇也

ひめゆり学徒隊のミュージカルで、
主演ははいだしょうこ。

私には理解の及ばない世界という
か、なぜ歌だけでこの物語を描か
なければならないのか、申し訳な
いけどまったく分からないし、何
も喚起されてこないのであった。

                 5.13(水) YouTube


2020年5月27日水曜日

読書⑬


『明暗』
夏目漱石 著    新潮文庫

本の分厚さと、「未完」であるという事実から
これまで挑戦しあぐねていた、漱石最大の長篇
にもおかげさまで挑むことができて、わたしは
とても幸福でした。

津田。お延。秀子。小林。吉川夫人。そして清
子。この小説の主要な登場人物は半分以上が女
である。漱石の小説でこれほど女を「描き分け
た」ものはないだろう。しかも津田の視点で語
られていた物語が、一転して妻のお延の視点に
変わる部分すらあるのである。
それぞれ人格が重層的に書き込まれた津田、お
延、秀子が、それぞれ一対一で、また三人で一
堂に会して会話の火花を散らす。『草枕』なん
かと比べると別人が書いたかのような、装飾の
そぎ落とされた、「実用的」といいたいような
文章で、緻密な心理描写が続けられる。

しかし『斜陽』の解説も、漱石の主要な作品の
解説も、ことごとく柄谷行人とはこれいかに。
でも「小林」という人物の異質性(他者性)に
紙数を割いた解説も、けっこう読み応えあるか
ら困りますな。








『メメント』
森達也 著    実業之日本社文庫

「月刊J-novel」に連載した長めのエッセイ
をまとめた本。「メメント・モリ」だと藤原
新也とカブるので「メメント」だけにしたと。
飼っている(飼っていた)ペットの話が意外
に多い。子どもの頃から一貫して、森さんが
そんなに動物好きだったとは知らなかった。
森さんの文章は論理的なのに情緒的なのであ
る。そこが好きなんだけど。

2020年5月25日月曜日

愛と青春の旅だち


☆☆☆★  テイラー・ハックフォード 1982年

リチャード・ギアの出世作とのこと。
意外に、といってはなんだが、手を抜かず
にしっかりと作られた映画という印象で、
ただの甘ったるい恋愛映画とは一線を画す。
ストーリー展開は「いかにもハリウッド」
といった感じで、起承転結のはっきりした
飽きさせないつくりは「教科書通り」とい
うところか。

出自に複雑なものをもつギアは、パイロッ
トを目指してアメリカ海軍に志願し、フォ
ーリー軍曹という口の悪い鬼軍曹に徹底的
にしごき抜かれる。休暇に街の酒場で出会
う「軽い女たち」との恋愛などよりも、こ
の「しごき」のほうが圧倒的に面白いので
あるが、想起するのはやはり『フルメタル・
ジャケット』。あちらは1987年公開という
ことを考えると、キューブリックはもちろ
んこのあくまで爽やかな青春映画を観たう
えで、青年たちの通過儀礼としての軍隊の
訓練といったものに疑義を呈していたのだ
ろうと思う。

                          5.9(土) BSプレミアム


2020年5月23日土曜日

凶悪


☆☆☆★★   白石和彌   2013年

「観ていて当然」だった映画を、Amazon
プライムで…。白石和彌の量産ぶりは頼も
しく思っているし、ピエール瀧もリリー・
フランキーも大好きだし、私の好みとする
ジャンルの凶悪な犯罪映画である。なぜ今
まで観ていなかったのかは私にもわからな
い。

死刑囚(ピエール瀧)が告白した余罪に信
憑性を感じた週刊誌記者(山田孝之)が、
独自に調査をおこない、警察も気付いてい
なかった保険金殺人事件をあぶり出すとい
う、ほんとにあった話らしい。ピエール瀧
の目的は、裏切られた"先生"(リリー・フ
ランキー)を告発して道連れにするためな
のである。いかにも粗暴・凶暴な典型的ヤ
クザ者のピエール瀧の性質が垣間見える、
接見室で山田孝之に激怒するシーンは背筋
が冷たくなるほど。一方で、"先生"の一見
「温和な人」の極悪ぶりが映画の後半だん
だんと分かってきて、これはこれでじわじ
わと恐い。

            5.8(金) Amazonプライムビデオ







<ツイート>
Amazonプライムのラインナップをスクロー
ルしていると、今まで自分がどれだけ映画を
見逃してきたかを突き付けられるみたいで、
息苦しくなるようである。

2020年5月21日木曜日

読書⑫


『遠い山なみの光』
カズオ・イシグロ 著 小野寺健 訳 ハヤカワepi文庫

デビュー作にしてこの筆力はさすが。
しかし、いまは後の『わたしを離さないで』
などをすでに知っているので言えることで
もあるが、すこし技巧に走るところがある
ようにも感じた。稲佐山のロープウェイの
場面とか、夜に家を飛び出した万里子を追
うシーンなど。作為が見える、とでもいう
か。

主人公の「悦子」のイギリスの家に、大学
生の娘の「ニキ」が泊りにくる場面から小
説は始まる。これが"記憶"の小説であるこ
とはのちのイシグロ作品とも一貫した姿勢
である。小説のほとんどは、悦子が長崎で
最初の子どもを妊娠していたときの回想に
費やされる。「書いてあること」と「書か
れていないこと」、そして「示唆されてい
ること」。この3者の比率と、「示唆され
ていること」を扱う手つきに非凡なものを
感じる。

敗戦を経た長崎で昔の教え子に再会する場
面は『浮世の画家』に似ているように思っ
た。









『出会い』
ミラン・クンデラ 著 西永良成 訳 河出書房新社

 ラブレー、ドストエフスキー、セリーヌ、
 カフカ、ガルシア=マルケス、フェリーニ…
 クンデラが愛する小説、絵画、音楽、映画
 を論じた、決定版の評論集!

と帯にある。
「出会い」をキーワードに「偏愛」を語って
いるわけなのだが、まあ晦渋な文章というの
か、流し読みしただけではさっぱり頭に入っ
て来ないので、自然同じ箇所を二度、三度と
読むことになる。セリーヌを非常に高く評価
しているようだ。いちど読んでみるか…。
ヤナーチェクへの惜しみない賛辞も捧げられ
ており、この作曲家がかなり遅咲きの、特異
な経歴をたどったことを初めて知った。





2020年5月20日水曜日

きょうのできごと a day in the home


☆☆★★   行定勲   2020年

いろいろ見比べてみようと思い、こち
らも続けて。行定勲がいち早く短篇を
作ったというのは意外だった。

途中で有村架純が出て来て、ひと波乱
あるというストーリーなのだが、まあ
おもしろいかというと、微妙ですね…。

                           5.6(水) YouTube


2020年5月19日火曜日

カメラを止めるな! リモート大作戦!


☆☆★★   上田慎一郎   2020年

いち早くリモート制作で短篇映画を作る
というフットワークの軽さは買うが、そ
れでおもしろいかというと、まあ微妙で
ある。

                             5.6(水) YouTube









<ツイート>
いろんなバンドがライブ映像を配信してく
れているようだが、触手がのびるのは結局
ミスチル、レディオヘッド、レッチリ。
中学・高校からの好みはそう簡単には変わ
らない……。

<6/8 追記>
レッチリはオフィシャルなものではありま
せんでした。訂正します。


2020年5月17日日曜日

【演劇】 タージマハルの衛兵


作:ラジヴ・ジョゼフ 訳:小田島創志 
演出:小川絵梨子
出演:成河、亀田佳明

タージマハル建設中の見張り兵として配置
された二人の若者。世界で最も美しい建築
として今まさに完成しつつあるタージマハ
ルを、しかし二人はのぞき見ることを許さ
れない。

他愛ない若者の会話として始まった物語は、
王のある異常な命令が発端となり、凄惨き
わまりない「仕事」を、二人に強いること
になる…。

二人だけという登場人物に、簡便なセット。
二人の双肩にはどれほどのプレッシャーが
かかっただろう。三人芝居と二人芝居では
役者にのしかかる負担がまったく違うと言
われる(もちろん二人芝居の方が一瞬たり
とも気を抜くことができず負担が大きい)。
すばらしい芝居だった。

                           5.5(火) BSプレミアム


2020年5月16日土曜日

SCOOP!


☆☆☆★     大根仁    2016年

「娯楽作」と割り切れば、福山雅治が一生懸命
無頼ぶっているのも、いくら芸能スクープ撮っ
たからって週刊誌の部数が急上昇するとは思え
なくても、ホテル密会中の政治家の注意を窓外
に惹くための数発の打ち上げ花火がいつの間に
か花火大会なみになっていても、さほど気にな
らずに楽しめる。1カット目から車内セックス
に耽る福山を登場させて偶像を破壊しておいて、
カメラはそのまま東京の上空に舞い上がってい
く。いいファースト・カットですね。

福山とバディを組まされる新人記者に二階堂ふ
み。滝藤賢一も良い味出してる。

                 5.2(土) Amazonプライムビデオ







<ツイート>
ついにAmazonプライムが射程内に入って来て
しまった…。そんな迷惑そうにいうと怒られて
しまうが。それにしても恐ろしい本数の映画が
陳列されていて、どこまでスクロールしていっ
ても無限。どういうことなんだ。

2020年5月15日金曜日

ゴッドファーザー


☆☆☆☆  F. フォード・コッポラ  1972年

自分でつけているメモによると、2009年に観
て以来、11年ぶりになるようだ。4度目の鑑賞。

この時期に3部作を放送するのは、もともと狙っ
ていたのかたまたまなのか。人生で心の底のそ
のまた底から「おもしろい!」と思った映画を
挙げるとしたら必ず入る『ゴッドファーザー』
1作目。ほかに確実なのは『パルプ・フィクショ
ン』と『犬神家の一族』と『仁義なき戦い』あ
たりか……ただし宮崎駿を除く、と。しかし、
ひとがたくさん死ぬ映画ばっかりですな。

何度観ても、「ルイス」でマイケルが堅気から
マフィアへと決定的な一歩を踏み出すシーンは
やっぱり手に汗にぎった。あの瞬間に変わって
しまったマイケルは、Part.Ⅲで最愛の家族を喪
うまで、血も涙もない「嫌われ者」であり続け
ることになる。
わたしは血の気の多いソニーがけっこう好きな
ので、蜂の巣にされるシーンはやっぱり悲しい。

                              5.1(金) BSプレミアム


2020年5月13日水曜日

読書⑪


『FAKEな平成史』
森達也 著     角川書店

平成の30年間を6つの章に分けて、それぞ
れの時期の森達也の映像作品を振り返って
いく。各回にひとりゲストを迎えて、対話
しながら、もちろん「僕は考える」式の文
章も健在。

放送するには至らなかった「天皇ドキュメ
ンタリー」をテーマにした松元ヒロとの対
話がおもしろかった。ちょっとネタ見せみ
たいにはなってるけど。









『オカルト』
森達也 著    角川文庫

副題に「現れるモノ、隠れるモノ、見たい
モノ」とある。
いわゆるオカルト現象というものは、見た
いと思って追いかけると消えてしまう。ふ
と目の端にうつるが、まともに目を凝らす
と見えなくなる。実験で観測しようとする
と現象が現れない。
『職業欄はエスパー』の「続編」の意味も
ある本書のテーマは定番のスプーン曲げに
始まり、UFO、心霊現象、イタコ、占い、
果てはみずから「超能力ではない」と明言
しているメンタリストまで、興味のおもむ
くままに森さんが自身の目で見に行く、質
問する、足を使い取材する。読みながら読
者はその調査行につきあうわけなのだが、
これが非常におもしろい。



2020年5月11日月曜日

ロシュフォールの恋人たち


☆☆☆★  ジャック・ドゥミ  1966年

キャッチーな歌、キュートで色あざやかな
衣装でのダンス、カトリーヌ・ドヌーヴと
フランソワーズ・ドルレアックの豪華な姉
妹共演と、みどころには事欠かない。
構造としては男女のすれ違いが同時多発的
に起こり、ひと目会いさえすれば両想いの
はずのふたりがなかなか出会えない。それ
がラストで一気に解消されて終わる。
ダンスも歌も、うまいひともいるにはいる
が、「そうでもない」ひとが大半であり、
それもご愛敬といったところか。

フランソワーズ・ドルレアックはこの映画
の撮影からほどなくして事故死してしまう。
最後に楽しい映画で妹と共演できたのは、
ある意味で救いかもしれない。

                          4.28(火) BSプレミアム


2020年5月10日日曜日

タバコ・ロード


☆☆☆★  ジョン・フォード  1941年

もともとは舞台劇とのこと。
かつてタバコ栽培で繁栄を極めた地域も、い
まや見る影もない。貧しいひとたちの強欲を
コメディタッチで描く異色作である。車で爆
走するシーンがけっこう多いのだが、舞台で
はどうしていたのか。

サザンオールスターズに「タバコ・ロードに
セクシーばあちゃん」という歌があり、映画
に詳しい桑田佳祐のことだから、きっとこの
映画に関係があるのだろうと思っていた。し
かし、ある映画サイトの解説によるとこの映
画、ジョン・フォードの映画としては珍しく
長い間輸入されず、日本で初公開されたのは
1988年とのこと。サザンの『タイニイ・バブ
ルス』(名盤!)は1980年なので、桑田がこ
の映画を観ていたとは考えにくい。

                                4.24(土) BSプレミアム



2020年5月8日金曜日

チャップリンの殺人狂時代


☆☆☆★ チャールズ・チャップリン  1947年

サイレント時代に比べると、時間の使い方
もたっぷりだし、セリフ劇だし、必然的に
ストーリーもぐっと複雑になった。でもな
んだかそのぶん「普通の映画」になったと
いえばなったようにも思えるが。

チャップリンは金のために女を次々と殺し
てゆく冷酷な男を演じる。最後には捕まり、
処刑を前にして超ド級に有名なセリフ
 「1人殺せば殺人者だが、
  100万人殺せば英雄だ」
を意外にあっさり吐く。処刑場に連行され
る後ろ姿にエンドマークがかぶるのが凄い。

                         4.22(水) BSプレミアム


2020年5月6日水曜日

ねらわれた学園


☆☆☆   大林宣彦   1981年

大林宣彦の追悼で放送された。
どういうわけだか薬師丸ひろ子の高校が
宇宙人に「ねらわれ」て、結局何が目的
だったのかよく分からないのだが、生徒
たちを怪しい塾に通わせて、意のままに
操ったりしている。

しかし本作を観ていると、「エール」に
おける薬師丸ひろ子のコメディエンヌぶ
りとまったく結びつかない。

                               4.21(火) BS朝日


2020年5月4日月曜日

読書⑩


『感情教育』
フローベール 著 太田浩一 訳 光文社古典新訳文庫

こういう仏文に行ったひとしか読んでないよ
うな本(失礼!)を読む日がくるとは思わな
かった。
本を開くと、訳者の気合いがすごい。まずは
小説の時代背景となっているフランス革命以
後から1880年ぐらいまでのフランスの、激動
の、そしてそのぶん入り組んだ政治をざっと
レクチャーしてくれた上に、上巻は少しかっ
たるく感じるかもしれないけど、下巻はめく
るめく展開が待ってるから、あきらめないで
読んでくださいね! というような趣旨のこと
まで書いてある。「とにかく読んでほしい」
という想いに打たれる。ここまで言われたら
意地でも読むぜ。さいわい時間なら、死ぬほ
ど…。
読み始めると、ものすごい数の註釈がある。
政治家、芸術家の人名はもちろん序の口で、
パリの通りの名前、当時のレストランや劇場、
果ては家具調度や服飾の詳細に至るまで、よ
くぞここまで調べたな、という感じ。まあフ
ローベールはこういう当時の風俗のディテイ
ルを克明に描いたのが魅力ということなんで、
手を抜くわけにいかなかったのだろう。

しかしどーも私は…。申し訳ないけど、フラ
ンス文学に登場する青年の行動と考え方に、
どーもなじめない。この小説の主人公、フレ
デリック・モローも例外でない。いちいち絶
望するのが早すぎるし、希望をもつ時も安易
すぎる。一喜一憂しすぎなんじゃないかと思
うのだが、どうだろう。この小説の肝はもち
ろん、フレデリックのアルヌー夫人へのプラ
トニックな愛なのだが、なんだかつまんない
ことに拘っていたかと思うと急に恋の炎に急
き立てられてとんでもないことをしだすし、
なんだか「えー」と思うことが多いのである。
実は似たようなことは『赤と黒』のジュリヤ
ン・ソレルにも思ったし、『狭き門』のジェ
ロームにも思った。









『ゴンちゃん、またね』
ビートたけし 著   文藝春秋

ライターとして働く主人公と、ゴンちゃんと
いう柴犬をめぐる短くも、せつない小説。
余韻がいい。

2020年5月3日日曜日

ボン・ボヤージュ ~家族旅行は大暴走~


☆☆☆    ニコラ・ブナム   2017年

一家そろっての家族旅行の途上で、愛車の
運転サポートのプログラムが誤作動を起こ
し、高速道路上で160kmから速度が下がら
なくなるという、まるっきり『スピード』
(もしくは『スピード』の元となった『新
幹線大爆破』)の「いただき」で出来たと
思しきB級映画。ギャグは子どもむけのも
のも多いが、まあつまらないことはない。

とにかくずっと高速道路を爆走しながら怒
鳴り合ったり反省したり浮気を追求したり
脱出の試みをしたりで、内容の軽さにくら
べて撮影はめちゃめちゃ大変だったとその
苦労がしのばれる。

                                    4.19(日) 日テレ


2020年5月1日金曜日

【演劇】 日の浦姫物語


作・井上ひさし  演出・蜷川幸雄

主演は大竹しのぶと藤原竜也。
ちょっとカロリー高めの芝居が予想されるが、
まあおよそ想像通りの暑苦しさ。いや別に、
嫌いじゃないし、けなしてるわけではない。

日の浦姫という数奇な運命をたどった貴族の
娘の物語。『源氏物語』を都のトレンドとし
て熱心に読むシーンから始まるので、平安時
代後期か。

はじめ大竹と藤原は仲のいいきょうだい。し
かしいささか仲がよすぎて…。そうとは知ら
ず近親相姦が連鎖する悲劇がモチーフになっ
ており、兄妹の子どもなので、子どもにとっ
て親は伯父でもある、という感じの、親戚関
係の呼称の複雑さを言い立てるナンセンスな
長ゼリフがおもしろい。

                              4.18(土) BSプレミアム