2019年11月29日金曜日

ダンス・ウィズ・ウルブズ


☆☆☆★★   ケヴィン・コスナー   1991年

ひさしぶりに長篇(181分)の映画をゆっくり
家で観たけれど、やはりこれぐらいのリズムの
映画、いいですなー。満足感がありますね。

映画は脚を負傷したケヴィン・コスナーが野戦
病院で脚を切断されそうになる場面から始まる。
医師が休憩している間に病院を抜け出し、命知
らずの勇敢な行為で戦場の英雄になる主人公。
その何年かのち「興味があるから」という理由
でフロンティアに駐在することを志願した主人
公が、派遣先で次第に先住民と交流をもち、心
を通わせていく…。
ストーリーはスローテンポかつ至って単純だが、
撮影もロケ地も芝居も一級品という感じで、観
ていてまったく飽きることがない。
「なんだろう」と思わせるタイトルもいい。

                                  11.20(水) BSプレミアム


2019年11月27日水曜日

【LIVE!】 THE BACK HORN


  KYO-MEIワンマンツアー
  カルペ・ディエム~今を摑め~

(初日につきセットリストは省略)


アルバム「カルペ・ディエム」のツアー初日。
渋谷のWWW Xはバックホーンとしても初め
て、わたしも来るのは初めてだった。いった
ん4階に上がってまた2階の会場まで降りてい
く。その途中が解体中の建物みたいになって
いてちょっと変わったライブハウスだった。
キャパシティは約700とのこと。音は良くない。

少しだけセットリストを書いてしまうが、3曲
目に「シンフォニア」をかまし、最初のMC明
けの4曲目に「ピンクソーダ」のギターの轟音
が響いたとき最大の幸福感に満たされた。

                        11.18(月) Shibuya WWW X


2019年11月25日月曜日

ひとよ


☆☆☆★    白石和彌    2019年

鈴木亮平、佐藤健、松岡茉優の兄弟。
次男の佐藤はひとり東京に出て雑誌記者になって
いる。残りのふたりは地元に残っている。スナッ
クで毎晩酔客の相手をしている松岡茉優のチーマ
マ感が素晴らしい。
そこに田中裕子が、虐待から子供たちを守るため
に夫を車で轢き殺した母として、出所して帰って
来る。ただでさえそれぞれに業をかかえた子ども
たちと母親、それに複雑な過去がありそうな佐々
木蔵之介も絡んできて大変なことになっているが、
ことさら大げさではなく至って淡々と描いている
ところに好感がもてる。

それにしても最近は音尾琢真の活躍がめざましい。
出演作が多いだけでなくて、印象に残る芝居をし
ている。実はヤスケンよりも、音尾さんのほうが
巧い気がしてきた。

                          11.15(金) TOHOシネマズ新宿


2019年11月20日水曜日

八つ墓村


☆☆☆★      吉田照幸     2019年

吉岡秀隆による金田一、第二弾。
吉田照幸の監督作としては通算三作目となる。
「八つ墓村」は金田一シリーズの中でもよく
知られた話で、私も豊川悦司版を観ているが、
いつものようにストーリー自体はほとんど忘
れていたので、わりと楽しめた。観ると思い
出すんだよね。当たり前か。

今回の出色はなんといっても音尾琢真による
三十人殺しシーンだろう。その無差別ぶり、
容赦のなさと狂気には引きつけられるものが
あった。真木よう子は滑舌が心配であったが
音声さんが頑張ったのか、それほどストレス
なく聞き取ることができた。

                              11.8(金) BSプレミアム


2019年11月18日月曜日

レイジング・ブル


☆☆☆★  マーティン・スコセッシ  1981年

名作の多いボクシング映画の中でも、とりわけ
有名な映画である。しかも全編ほぼモノクロと
きた。こりゃあいったいどんなキレキレの映像
と驚愕のストーリー展開が用意されているのか
と舌なめずりしていたが…。

観た方は知ってると思いますが、デ・ニーロは
やたらと疑り深い「嫉妬の塊」みたいな見てら
れない感じの男で、ちっともカッコよくない。
強すぎる猜疑心で妻も、信頼していた弟も失っ
ていく哀れな男である。まあボクシングは強い
のだが、終生のライバルであるエースとは勝っ
たり負けたり。観ているほうはずっと「宙吊り」
のような感じで、終始落ち着くことができない。
まあだいぶ予想と違う映画だった。
デ・ニーロの体重の増減でとても有名な映画で
もあり、たしかにあの体格の変わり方はすごい。

                                10.26(土) BSプレミアム


2019年11月14日木曜日

ジョーカー


☆☆☆   トッド・フィリップス   2019年

今年最大の話題作といっていいだろう。
派手なアクションや勧善懲悪の要素の無い
映画が世界的な話題になるのも久しぶりで
はないか。すでに『ダークナイト』という
重厚な名作があるのにも関わらず、あえて
今ジョーカーを再びスクリーンに召喚する
からには、よほどの必然性を制作側が感じ
てのことなのだろう。

で、感想。
分断されたアメリカの社会やその病理をよ
く描いているのかもしれないが、以前から
の私の傾向として、どこからも"愉快さ"に
つながらない映画を高く評価できないとい
うのがある。どうしてもこういう映画は、
「病理自慢」のように見えてしまって、ホ
アキン・フェニックスの演技はたしかに鬼
気迫るものがあるけれども、それは何にも
昇華していかず、ただただ鬱積していくの
みである。

                    10.25(金) TOHOシネマズ新宿




2019年11月2日土曜日

ドリーミング村上春樹


☆☆☆  ニテーシュ・アンジャーン  2019年

村上春樹のデンマーク語訳を手がけるメッテ・
ホルムさん。春樹のほうにあまり翻訳を出す
気がなさそうだった『風の歌を聴け』『1973
年のピンボール』にやっと許可が出たのか、
この時点ではこの初期2作の翻訳に取り組んで
いる。日本を訪れて仕事をしたり、旧式のピ
ンボールマシンで遊んでみたり、ポーランド
語の訳者との交流を重ねたりして、少しでも
小説世界の本質に迫ろうとしている。

一方で唐突に「かえるくん、東京を救う」を
モチーフにした映像と、たどたどしい朗読が
挟みこまれる。身長2メートルぐらいのかえる
くんが東京の様々な場所にいる映像はなかな
かシュール。

60分の小品で、若干の食い足りなさもあるか…。

                             10.25(金) 恵比寿ガーデンシネマ