2013年6月29日土曜日

招かれざる客


☆☆☆★★       スタンリー・クレイマー      1968年

脚本が秀逸。
リベラリストとして知られた大新聞の社長の娘が、結婚相手として
黒人青年を連れてくることから物語は始まる。結末はだいたい見え
てるのに、けっこうハラハラするのである。
68年にこの映画が封切られた時のインパクトを思う。

                                                           6.19(水) BSプレミアム


2013年6月27日木曜日

世界にひとつのプレイブック


☆☆☆★★★       デヴィッド・O・ラッセル      2013年

何か月遅れ?
まあ、やってくれるだけあり(以下略)。

小林信彦御大、去年はキャリー・マリガンに狂っていた(ほんとにそう
書いていた)らしいが、今年はジェニファー・ローレンスに夢中とのこと。
なるほど。たしかに良い女優ですわ。

原題は"SILVER LININGS PLAYBOOK"、英語の慣用句を踏まえた
表現になっているので、邦題をつけるのが難しいのは分かるが、それ
にしてもこれでは、なんのことやら分からん。興味のある方は、ググると
町山智浩さんが解説しているページとか出て来るので、そちらを参照く
ださい。

感想ですが、僕は大好きですね、こういう映画。出てくる人出てくる人
みんなイカれてて、でもだんだん愛おしくなってくる。ストーリーがどうっ
てことないので、あとはキャラで勝負である。主演のふたり、ブラッドリー・
クーパーとジェニファー・ローレンスは非常に「旬な」役者らしいです。
そこに絡んでくるロバート・デ・ニーロ。最後の「忠告」には泣かされる。
「デ・ニーロ、あんたのいうとおりだよ!」

                                              6.17(月) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2013年6月25日火曜日

エクステ


☆☆☆          園子温        2007年

園子温がホラーを撮るとこうなるわけか。
ゾッとしたり笑ったりで、観ているほうも忙しい。大杉漣はやっぱ
善良なお父さんの役よりもこういう完全にイッちゃってる殺人鬼の
役とかのほうが本来の姿、という感じがある。すばらしい。
栗山千明は画面に映える女優さんですね。なぜかあまりヒット作
には恵まれてないですが。まだまだこれから、かな。

それはそうと、今日地元のTSUTAYAで「17歳の肖像」を借りるべ
くレンタルDVDの棚を物色していたらば、「良品発掘コーナー」み
たいな所に、レオス・カラックスの初期3部作「ボーイ・ミーツ・ガー
ル」「汚れた血」「ポンヌフの恋人」がサラッと置いてあるじゃないで
すか。ジーザス! いつから置いてあった。
きっと「ホーリー・モーターズ」の公開に合わせて「発掘」されたんだ
ろう。釧路では「ホーリー・モーターズ」は観られないのに…。この時
ほど、そんなことお構いなしの全国一律なTSUTAYAの商品陳列シ
ステムに感謝したことはない。近々、借りてきて観てみます。取り敢
えず今日は初志貫徹、所期の目的である「17歳の肖像」を借りまし
た、とさ。

                                                                    6.16(日) HBC


2013年6月19日水曜日

華麗なるギャツビー


☆☆☆             バズ・ラーマン           2013年

正面きった「文藝大作」って久しぶりな気がする。
観終わってから知ったが「ムーラン・ルージュ」の監督なんだって。
前半の乱痴気パーティーの狂騒が見せ場だったのかもしれないが、
正直そこは全然おもしろくなくて、むしろギャツビーとデイジーの「お
茶会」以降、やっと映画になった、という感じ。
だってギャツビーの大邸宅で明らかに今世紀のものと思われる大
音量のクラブミュージックが掛かってて、クライマックスは花火がど
んどこ打ちあがって音楽はガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」
かい。ちょっとベタじゃないか。

後半だいぶ挽回した。そう、グレートギャツビーって哀しい話なんだ
よね。

デイジーはキャリー・マリガン。この女優目当てで観たわけだが、な
かなか良かったんじゃないでしょうか。

                                            6.14(金)  ワーナーマイカルシネマズ釧路


2013年6月16日日曜日

マーニー


☆☆★★★       アルフレッド・ヒッチコック       1964年

盗癖のある女と、それを承知で結婚した富豪の男との、かなり「奇妙な」
物語といっていいだろう。

盗癖も、雷を怖がるのも、赤色を恐怖するのも男に触れられるのを拒否
するのも、幼時のトラウマがすべての元凶ということなので、それをなん
とか治療しようと考えた富豪のショーン・コネリーは、とりあえずティッピ・
ヘドレンのトラウマが形成された場所に彼女を無理やり連れていき、し
ぶる当事者を怒鳴りつけ、ティッピ・ヘドレンの記憶をゆさぶって、自身
が記憶に厳重に蓋をしていた恐るべきその体験を、自らの口から涙な
がらに語らせるのである。荒療治にも程があるだろ!

                                                                        6.8(土) BSプレミアム


2013年6月13日木曜日

ゼロ・ダーク・サーティ


☆☆☆★★        キャスリン・ビグロー       2013年

何か月遅れ?
まあ遅かろうが公開が短かろうが、やってくれるだけありがたいんだが。

前作『ハート・ロッカー』は好きな感じだったのだけど、いかんせん画面
の揺れに酔ってしまい、時々目をつぶって休憩しながらの不完全鑑賞
であった。そこで今回は、先に後輩を焚き付けて観に行かせ、画面が
さほど揺れないことを確認してから、満を持しての鑑賞と相成った。

ビン・ラディンの捜索に身命を賭すCIA職員にジェシカ・チャステイン。
見た目は素敵なキャリアウーマンだが、実生活であんなひと近くにい
たら、あまり関わりあいたくないよね。上司でも怖いし、部下だったら
なおさらいやだ。

160分、徹頭徹尾シリアスで、クスリと笑うことすら許してくれないキャス
リン女史。しかしラストの突入シーンはよくできてたな。

                                                6.6(木) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2013年6月10日月曜日

死ぬまでにしたい10のこと


☆☆☆        イザベル・コイシェ       2003年

邦題はヘンだが、元の題は"MY LIFE WITHOUT ME"
製作総指揮がアルモドバルだから観たのであるが、みんなが
大好きなあのアルモドバルの変態性は薄まっており、普通の
良い話であった。

                                                            6.3(月) BSプレミアム


2013年6月9日日曜日

リアル~完全なる首長竜の日~


☆☆☆★           黒沢清          2013年

前半95点、後半40点という感じ。

シネコン展開のおかげで、釧路にいながらにして黒沢清の新
作を映画館で観ることができる。それだけでもう僥倖と呼びた
い衝動に駆られるが、肝心なのはむろん映画そのものである。

前半の展開と精神世界の描写("フィロソフィカル・ゾンビ"!)、
そして佐藤健の生活に精神世界の住人が浸食してくる("セン
シング"の副作用)緊張感がほんとうに素晴らしく、映画館でひ
とり感動に打ち震えていた。ちなみに観客は私を除いて3人と
いう、日曜夜にしては小規模編成。タランティーノにはけっこう
集まっていたのに、黒沢清はどうでもいいのか。ふーん。

で、前半のこの完成度のまま最後まで行けたら今年のベスト
ワンだ、ヤバすぎる、とひとりハァハァしていたのだが、後半に
はまったくノれず。途中で明らかになる「あの事実」とか、やっ
ぱり出て来るんかいな首長竜とか、別になくてもいいような気が
した。いやぁ、かえすがえずも残念。

黒沢清の映画って、たいていそうだが、役者は別に誰でもいい
感じがいつもある。極端にいえば、構図とカメラワークと音響が
いちばん大事で、画面中で動いてセリフを言う人間はわりあい
誰がやってもいいのだ。そして、なぜか観ているうちにそのこと
自体がだんだん気持ちよくなってくるのが不思議である。

中谷美紀はもっとエロい役かと思ったんだが。思わせぶりなだけ
だったな。あるいは文化庁の支援を受けていなければもっと暴走
させられたんだろうか。そっちの方がおもしろいと思う。

                                      6.2(日) ワーナーマイカルシネマズ釧路


2013年6月8日土曜日

JAWS / ジョーズ


☆☆☆★★        スティーブン・スピルバーグ        1975年

たぶん小学生のとき以来の再見。

良いですよねー、ジョーズ。人間側が仕掛けるあの手この手をすべて
なぎ倒し、ぶち壊す巨大サメは痛快そのものである。最高!

                                                                5.27(月) スターチャンネル


2013年6月5日水曜日

ホーリー・モーターズ


☆☆☆★★      レオス・カラックス         2013年

観たい観たいと思いながら叶っていなかったカラックス。
13年ぶりだという最新作で、初めてお手並み拝見である。

うーむ。すごい。ワケがわからんし、どういうことなのか考えるのも
途中でやめてしまったが、まったく飽きが来ない。そして映像はあく
までも美しい。スタイリッシュな狂気。こういうのって、やりたいひと
は多いだろうけど、たぶんほとんど全部が失敗に終わってるはず。
狂気じゃない部分に説得力とリアリティがないといけないから、きっ
とすごく難しいんだと思う。

あの主演はドニ・ラヴァンというひとなのか。1人11役。驚異的だね。

                                                           5.26(日) ユーロスペース


2013年6月4日火曜日

中学生円山

☆☆☆         宮藤官九郎          2013年

毎朝の「あまちゃん」が生きがいといってもいいほど楽しんで
観ているのだが、本作はどうも、あんま良いとこ無かったなー。

中学生の妄想を中心に映画が進む、というので、どんだけバカ
バカしいネタで笑わせてくるんだろうと期待し過ぎたのか、いま
いち笑えなかった。

ま、「あまちゃん」おもしろいから許す。

                                      5.15(水)  ワーナーマイカルシネマズ釧路