☆☆☆★ 黒沢清 2013年
前半95点、後半40点という感じ。
シネコン展開のおかげで、釧路にいながらにして黒沢清の新
作を映画館で観ることができる。それだけでもう僥倖と呼びた
い衝動に駆られるが、肝心なのはむろん映画そのものである。
前半の展開と精神世界の描写("フィロソフィカル・ゾンビ"!)、
そして佐藤健の生活に精神世界の住人が浸食してくる("セン
シング"の副作用)緊張感がほんとうに素晴らしく、映画館でひ
とり感動に打ち震えていた。ちなみに観客は私を除いて3人と
いう、日曜夜にしては小規模編成。タランティーノにはけっこう
集まっていたのに、黒沢清はどうでもいいのか。ふーん。
で、前半のこの完成度のまま最後まで行けたら今年のベスト
ワンだ、ヤバすぎる、とひとりハァハァしていたのだが、後半に
はまったくノれず。途中で明らかになる「あの事実」とか、やっ
ぱり出て来るんかいな首長竜とか、別になくてもいいような気が
した。いやぁ、かえすがえずも残念。
黒沢清の映画って、たいていそうだが、役者は別に誰でもいい
感じがいつもある。極端にいえば、構図とカメラワークと音響が
いちばん大事で、画面中で動いてセリフを言う人間はわりあい
誰がやってもいいのだ。そして、なぜか観ているうちにそのこと
自体がだんだん気持ちよくなってくるのが不思議である。
中谷美紀はもっとエロい役かと思ったんだが。思わせぶりなだけ
だったな。あるいは文化庁の支援を受けていなければもっと暴走
させられたんだろうか。そっちの方がおもしろいと思う。
6.2(日) ワーナーマイカルシネマズ釧路
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