2013年1月28日月曜日

社長三代記


☆☆☆        松林宗恵        1958年

ふーむ。シリーズ随一の出来といわれる作品にして、
このぐらいか。まああとは観なくていいや、という感じ。

                                               1.11(金) BSプレミアム


2013年1月27日日曜日

年始の読書


『雪』
オルハン・パムク 著  宮下遼 訳  ハヤカワepi文庫

私は「新訳」という言葉に弱く、キレイな装丁で新訳版が出ている
と、つい買ってしまう。なぜなら「新訳」というのは少なくとも二つの
ことを物語っているように私には思えるからだ。一つは、その本は
「新たに訳しなおされる」に値するほどおもしろい。もう一つは、訳
しなおされたことで、「旧訳版よりも良い訳になった」。

ネットの評判を見る限りだと、本書が「旧訳版よりも良い訳になっ
た」のは確からしい。旧訳版のひどさを嘆く声が多い。この新訳は
(私が読む限り)まっとうな日本語に置き換えられていた。

オルハン・パムク。トルコの作家で、ノーベル文学賞受賞者である
ことしか知らないで読んだ。まあおもしろくないこともないのだが、
私としては主人公の性格がいまいち好きになれず、好きになれな
いまま読み終わってしまった、という感じ。警官に殴られながらも、
「ここで口を割らなければあとでイペキ(彼女)に褒めてもらえるか
も」とか考えてる主人公である。全体的に姑息で、うじうじしている
主人公というのも変わってる。

訳者の宮下遼は、フランス文学者の宮下志朗の息子とのこと。










『本と中国と日本人と』
高島俊男 著  ちくま文庫

中国に関する本の書評集。
実は高島さんは書評がうまい。高島さんが紹介した本は無性に読み
たくなってくるのである。これが良い書評でなくてなんであろう。











『北の人名録』
倉本聰 著   新潮文庫

「北の国から」のあの名シーンはここから生まれたのか、というエピソー
ドが満載。文章もさすがに巧い。改行が多くてサクサク読める。




2013年1月24日木曜日

キック・アス


☆☆☆★★      マシュー・ヴォーン     2010年

いいですねー。
痛快なB級アクションということで、公開当時話題だったが、既に釧路
に赴任していたため観に行けず…。13歳の美少女がスゴ腕の殺し屋、
という設定でもう勝ちである。そこにヘナチョコヒーローと復讐に燃える
ニコラス・ケイジとキレキレのCGを絡めて秀作の誕生。

続編あるらしいね。釧路でやらないか。

                                                                1.10(木) Blu-ray Disc


2013年1月22日火曜日

駅 STATION


☆☆☆★★         降旗康男         1981年

脚本は倉本聰。舞台は増毛、銭函、ほか。

意外と難解な脚本で、「1976年 すず子」といった具合に、年代と女の
名が出て章が区切られていくのだが、それぞれブツ切りの印象。どう
つながっていくのか、中盤になってもよくわからない。これは…どうなっ
て行くんだ、話は勝手に進むし、倍賞千恵子は出てこねーし、とぶつ
ぶつ言っていたら、ようやく倍賞演じる「桐子」の章が始まる。
そして初めて「桐子」の店に入る長いワンカットの、すさまじいまでの完
成度に打ちのめされることになる。このワンカットには興奮した(独りで)。

しかし観終わってからも、「桐子」の章以外は何だったんだろうという感
が否めないのだが、それでもなにか心にぐっと来る「腹持ちのいい映画」
であった。八代亜紀の「舟唄」が重要なモチーフとなっているのだが、阿
久悠の描く情念の世界と倉本脚本が、意外な親和性を示している。

終盤、もう少しスッキリ終わっていれば★もうひとつ進呈だったのだが。
惜しい。だが名作。健さんと倍賞千恵子が素晴らしい。

                                                                        1.10(木) BSプレミアム


2013年1月21日月曜日

抱かれた花嫁


☆☆☆        番匠義彰        1957年

口当たりの良い喜劇だったのだが、はやくも内容を忘れかけ
ている。山田洋次は「脚本の直し」をしたとのこと。それがどの
程度の「直し」なのかはわからない。

女優は有馬稲子。ちゃきちゃきした江戸っ子で可愛い。この
頃はもう既に市川こ…まあ、やめとこう。

                                                          1.8(火) BSプレミアム


2013年1月20日日曜日

昭和残侠伝 唐獅子牡丹


☆☆☆★        佐伯清         1966年

いわゆる「任侠もの」である。高倉健。
「昭和残侠伝」と「日本侠客伝」だけでおびただしい数のシ
リーズがあるようだ。この1作観ただけで確かではないが、
たぶん全部同じ話だろうと推察される。展開は読めまくるし、
ツッコミどころも満載だが、それも含めて楽しめる映画であ
る。

女優は三田佳子。なんて色っぽいんだろうね。さらに「未亡
人」という設定で色っぽさは軽く2割増。今の三田佳子しか
知らないひとはビックリする。

                                                           1.7(月) BSプレミアム


2013年1月16日水曜日

希望の国


☆☆☆★★       園子温       2012年

今年の映画1発目は『希望の国』。
いきなり去年の映画だが、見逃していたので…。

本作にはいつものような詩のリフレインは無い(無かったと思う)。
詩を繰り返すことによる高揚感には頼らない代わりに繰り返され
たのは、大谷直子による「ねぇもう帰ろうよ」というセリフ。

園子温の良いところは、すっかり巨匠に祭り上げられたいまでも、
インディーズの新人監督と見まがうような過剰/過激な表現をする
ところだと思う。"円熟"を拒絶している。

次回作は『地獄でなぜ悪い』。オリジナル脚本のB級アクションとの
こと。楽しみに待とう。

                                                                 1.5(土) シネマート新宿


2013年1月15日火曜日

【LIVE!】 THE BACK HORN


  KYO-MEIツアー ~リヴスコール~

01. トロイメライ
02. シリウス
03. 声

04. 墓石フィーバー
05. 超常現象
06. グレイゾーン
07. 閉ざされた世界

08. いつものドアを
09. 風の詩
10. 美しい名前
11. 自由
12. 星降る夜のビート
13. コバルトブルー
14. 戦う君よ
15. シンフォニア
16. 世界中に花束を

---encore---
01. ミュージック
02. ラピスラズリ
03. 刃
04. サイレン

                                     1/6 日本武道館

THE BACK HORNとしては2度目の武道館。
私は武道館で見るのは今回が初めてである。

釧路でのライブと違う曲は
「墓石フィーバー」「風の詩」「美しい名前」
「星降る夜のビート」「サイレン」
の5曲。セットリストとしては、"やや不満"といったところ。
ただ、セットリストが良いから良いライブということにはな
らないし、逆もまた然り。同行した友人が言っていたが、
武道館という巨大なハコでこの愛すべきバンドを観ること
は同時に、巨大なハコを埋めるほど多くのファンにこのバ
ンドが愛されていることをあらためて認識する場でもある
のである。
バンドは愛されていた。
物販の列はものすごい長さで、リハーサルが聞こえてしま
うのにも関わらず、その苦しみに苛まれながらも、武道館
限定グッズを求めてファンは長蛇の列を成していたので
あった。
ベストアクトは「墓石フィーバー」。


2013年1月13日日曜日

年末の読書


『荒野のおおかみ』
ヘルマン・ヘッセ 著   高橋健二 訳   新潮文庫

前半の読みにくさといったら無いぜ!

後半、謎の美少女が出て来てだいぶ読みやすくなった。
と思ったら終盤、あれはいったい…。
「アウトサイダー」の姿を描いた名著、とのことだが、正直つい
て行けない感じで、読み終えるのがやっとだった。

『車輪の下』の牧歌的な文章がなつかしい。もちろんギーベン
ラートくんの心中は穏やかではなかったわけだが。










『日本辺境論』
内田樹 著        新潮新書

日本人の骨の髄にまで染み込んでいる「民族的奇習」について、
ウチダ先生の明快な論理が展開される。「奇習」だから矯正しよ
うというのではなく、奇習は「奇習だね」と確認・自覚しながら生き
ていきましょうよということであった。

2013年1月5日土曜日

テレビドラマ


ちなみに去年は「北の国から」のスペシャルドラマも観ている。

'83 冬
'84 夏
'87 初恋
'89 帰郷
'92 巣立ち
'95 秘密
'98 時代

ここまで観た。残すは「2002 遺言」のみとなった。

このドラマも、いつかまとめて記事にしたいという思い入れと
熱意とを持って観続けている。倉本聰…天才や。
ひとつ言えるのは、こんなドラマは他に無い、ということだ。

そしてそして、去年は実に5年ぶりぐらいに、連続ドラマを最初
から最終回まで観たのであった。
是枝監督の「ゴーイング マイ ホーム」。
監督・脚本・編集が是枝さんという、異常に力の入ったドラマで
あった。視聴率的には惨敗だったようだが、そしてこんなことを
私が言うべきではないかもしれないけど、このドラマが視聴率を
取れないならそれは視聴者の程度が低いからだ。
素晴らしいドラマだった。


2013年1月2日水曜日

2012ベストテン<旧作>


続けて旧作ベストテン。

1. ツィゴイネルワイゼン   1980年  ☆☆☆★★★
2. フレンチ・コネクション   1972年  ☆☆☆★★★
3. 姉妹               1955年   ☆☆☆★★★
4. 秋刀魚の味          1962年   ☆☆☆★★★
5. 素晴らしき哉、人生!   1946年  ☆☆☆★★★

6. 独立愚連隊         1959年    ☆☆☆★★★
7. バットマン ビギンズ    2005年   ☆☆☆★★★
8. 人生万歳!        2010年    ☆☆☆★★
9. ロッキー           1976年   ☆☆☆★★
10. 楢山節考         1958年   ☆☆☆★★

次点. エンディングノート   2011年  ☆☆☆★★

<講評>
邦画6:洋画5 という結果。邦画好きで、鑑賞数も邦画が多いので、
この比率は自分としては意外であった。劇場のスクリーンで観たも
のは『ツィゴイネルワイゼン』と『エンディングノート』のみ。あとは、
自宅でしこしこ観たものだ。
うち山田洋次セレクションは4本。今年も良い映画を見せてもらった。
感謝せねば。
1940年代から2010年代まで、まんべんなく選ばれているようだが、
90年代だけが無い。伊丹十三、北野武、黒沢清の90年代。あらかた
観ちゃったからかな。

2013年1月1日火曜日

2012ベストテン<新作>


迎春。

明けましておめでとうございます。
今年も細々とやっていきますので、よろしくお願いします。

恒例の私的ベストテンを発表したいと思います。
まずは昨年の新作映画から。

1. アウトレイジ ビヨンド    ☆☆☆★★★
2. 鍵泥棒のメソッド     ☆☆☆★★★
3. 桐島、部活やめるってよ  ☆☆☆★★★
4. アーティスト         ☆☆☆★★★
5. おおかみこどもの雨と雪  ☆☆☆★★★

6. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q  ☆☆☆★★
7. 終の信託           ☆☆☆★★
8. 戦火の馬           ☆☆☆★★
9. J.エドガー          ☆☆☆★★
10. ふがいない僕は空を見た  ☆☆☆★★

次点. ヒミズ               ☆☆☆★★


<講評>
2012年は、そこそこ豊作の年ではなかったかと思う。
北野武が満を持しての新作で、愉悦に満ちた「映画体験」を提供して
くれた。それと"対照的な"映画と呼びたい内田けんじの『鍵泥棒』は、
ずっとニヤニヤしていたいほどの幸福感に溢れた時間をこれも提供
してくれた。そこに、映画的な"たくらみ"に満ちた『桐島』が殴り込みを
かける――そういう1年であったと思う。いずれも邦画の3本が拮抗し
ており、後年見直せばあるいは順位に変動があるかもしれない。

4位以下は、無声映画が1、アニメーションが2、洋画が2、邦画が3、と
いうバランス。いずれも傑作・秀作として自信をもってオススメできる作
品が並んでいる。「戦火の馬」なんてほとんど話題になっていなかった
が、巨大スクリーン・大音響で映画を観ることの原初的な悦びに浸る
ぜいたくな150分であった。

去年は2年ぶりに100本鑑賞を達成できた。釧路唯一の映画館ワーナ
ーマイカルにも足繁く通った。時には札幌出張の行き・帰りに余計に1
泊し、風俗ではなく映画に行くことでコツコツと達成してきたものである。
今年も引き続き、100本鑑賞の継続を目指し、風俗よりも映画を優先す
る覚悟で臨みたいと思う。

…これ講評じゃないな。


鑑賞した新作映画
ヒミズ、ドラゴン・タトゥーの女、J.エドガー、ものすごくうるさくて ありえないほど近い、戦火の馬、DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on、ヒューゴの不思議な発明、わが母の記、ファミリー・ツリー、ミッドナイト・イン・パリ、アーティスト、ヘルタースケルター、おおかみこどもの雨と雪、ダークナイト ライジング、あなたへ、最強のふたり、天地明察、ヴァンパイア、夢売るふたり、桐島、部活やめるってよ、アウトレイジ ビヨンド、終の信託、ル・アーヴルの靴みがき、アルゴ、巨神兵東京に現わる 劇場版、ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q、鍵泥棒のメソッド、I'M FLASH!、人生の特等席、悪の教典、ふがいない僕は空を見た、恋のロンドン狂騒曲、ルビー・スパークス(33本)