2022年6月21日火曜日

【LIVE!】 THE BACK HORN

 
 KYO-MEIワンマンツアー ~アントロギア~

 1. ユートピア
 2. ヒガンバナ
 3. 声
 4. 戯言
 5. 深海魚
 6. 生命線
 7. 疾風怒濤
 8. 桜色の涙
 9. 美しい名前
10. 夢路
11. 空、星、海の夜
12. 瑠璃色のキャンバス
13. ウロボロス
14. コバルトブルー
15. 太陽の花
16. 希望を鳴らせ
17. JOY

<Encore>
 1. ネバーエンディングストーリー
 2. 光の結晶
 3. グローリア
 
         6.10(金) Zepp DiverCity


アルバム『アントロギア』を引っ提げてのツ
アー。Zeppなのに椅子が並べられ、声も禁止。
まったくねぇ、いつまでこんな状況が続くの
やら。

言うまでもなくレコ発ツアーとはその元とな
る新譜が大事で、それは曲数をいちばん多く
やるからというのもあるけれど、やはり昔の
人気曲をやるにしても、どことなく新譜に漂
う「今のバンドのムード」が投影されてしま
うものだからでもある。
そういう「バンドの今」と昔の曲とのミック
ス具合がいつも絶妙で唸らされるのがバック
ホーンというバンドで、私が愛してやまない
理由でもあるのだが、今回は新譜の『アント
ロギア』がライブの燃料としてはそもそも若
干のパワー不足のような気がする。
それでもM8「桜色の涙」までは良かったの
だが、「美しい名前」で明らかに失速した感
が否めず。私がこの曲をライブで聞き飽きた
というのを差し引いても…。以降はなんとな
く低調なまま本編は終了。

アンコールはカーペンターズを意識したとい
う、アルバムでも明らかに浮いていたので個
人的にはやらなくていいと思っていた曲から
スタートしたが、これが意外に良くて、染み
た。聴いてみないと分からないものだ。続い
ての「光の結晶」~「グローリア」の流れが
このライブの中ではいちばんグッときたので
あった。
ベストアクトは「グローリア」にしたいとこ
ろだが、アンコール曲なのでやめて、「疾風
怒濤」。




2022年6月17日金曜日

流浪の月

 
☆☆☆★★    李相日   2022年

昔から「重たい」映画を撮る李相日が、全力で
重たい映画を撮った感じ。好意的に"重厚"と置
き換えてもいいが、150分ギリギリと苛まれる
ように観客を追い込んでいく映画はやはり「重
たい」。

女児誘拐事件をモチーフにした話で、松坂桃李
が事件で逮捕された大学生、広瀬すずは当時10
歳だった被害者のその後を演じる。2人ともと
てもいい。すずちゃんもとうとう大人の女性を
演じて違和感のない年齢になりましたな…。
まあ幼い頃から性的虐待を受けて、婚約者から
も殴られ、別れようとしたら付きまとわれ、自
分をかつて誘拐した罪で逮捕された「おにいさ
ん」の隣の部屋に引っ越して住むという、だい
ぶ特殊な事情の大人の女性ではあるが。そして
横浜流星の「ヤバい奴」っぷりも素晴らしい。
目が恐いよね。

観客も追い込むし、役者も徹底的に追い込むこ
とで有名な李相日は今作でも飽くことなく、納
得のいくまでとことんリハーサルを繰り返した
らしい。「情熱大陸」でもその一端は垣間見ら
れたし、そういう妥協のない姿勢はおのずと画
面にも出るものだと思う。
軽々しく「おもしろかった」なんて言えない雰
囲気の映画ではあるが、1800円の価値はあると
は確信をもって言える。

                              5.21(日) 新宿バルト9




2022年6月4日土曜日

ユリイカ

 
☆☆☆★★★   青山真治  2001年

バスジャック事件に巻き込まれ、たまたま
乗り合わせただけの乗客が目の前で射殺さ
れるのを見てしまった兄妹。兄(宮崎将)
の心はそこで壊れてしまったのだろう。
一方でなんとか持ちこたえた妹(宮崎あお
い)は、同じ事件で死の恐怖を味わったバ
ス運転手(役所広司)との共同生活の中で、
少しづつ再生への道を歩み始める。

監督・青山真治の代表作といえば、やはり
本作を措いてないだろう。ショットに漲る
緊張感がハンパではない。邦画ではあまり
感じたことのない映画としての「柄の大き
さ」があるし、上映時間217分という長い
長い旅だが、始まってしまえばスクリーン
に釘付けで、まったく苦痛を感じなかった。

と、初めて観たように書いているが、大学
2年生のいろいろと映画を観始めた頃に、
VHSで観ている。実に17年ぶりですな…。
ほとんどすべてを忘れていて、こんなに何
もかも忘れて果たして(以下同)

今回は「デジタル・マスター完全版」なる
ものを鑑賞。すばらしい体験だった。また
機会があったら映画館で観たいぐらいであ
る。

                           5.17(火) テアトル新宿