2022年6月17日金曜日

流浪の月

 
☆☆☆★★    李相日   2022年

昔から「重たい」映画を撮る李相日が、全力で
重たい映画を撮った感じ。好意的に"重厚"と置
き換えてもいいが、150分ギリギリと苛まれる
ように観客を追い込んでいく映画はやはり「重
たい」。

女児誘拐事件をモチーフにした話で、松坂桃李
が事件で逮捕された大学生、広瀬すずは当時10
歳だった被害者のその後を演じる。2人ともと
てもいい。すずちゃんもとうとう大人の女性を
演じて違和感のない年齢になりましたな…。
まあ幼い頃から性的虐待を受けて、婚約者から
も殴られ、別れようとしたら付きまとわれ、自
分をかつて誘拐した罪で逮捕された「おにいさ
ん」の隣の部屋に引っ越して住むという、だい
ぶ特殊な事情の大人の女性ではあるが。そして
横浜流星の「ヤバい奴」っぷりも素晴らしい。
目が恐いよね。

観客も追い込むし、役者も徹底的に追い込むこ
とで有名な李相日は今作でも飽くことなく、納
得のいくまでとことんリハーサルを繰り返した
らしい。「情熱大陸」でもその一端は垣間見ら
れたし、そういう妥協のない姿勢はおのずと画
面にも出るものだと思う。
軽々しく「おもしろかった」なんて言えない雰
囲気の映画ではあるが、1800円の価値はあると
は確信をもって言える。

                              5.21(日) 新宿バルト9




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