☆☆☆ 増村保造 1957年
おもしろいかどうかは別として、いまだかつて無い映画
体験だった。
病院を舞台にした権力争い、というかもうちょっと次元
の低い争いの話だが、なにより特筆すべきはエキセン
トリックな登場人物と、異常なテンポの速さ。唖然として
いるうちにどんどん話が進んでいく。岸田國士の原作が
あるから「演劇的」という評もありうるかもしれないが、
それともまた違う気がする。
私が思い出したのは、『THE 有頂天ホテル』のときに三
谷幸喜が、膨大な量のセリフをなんとか2時間内におさ
めるため「普通の3倍の速さでしゃべってください」と役者
に言った、という話だ。あのとき三谷はこの『暖流』を出
演者に見せて「こんな風にやってください」と言えばよかっ
たのではないだろうか。そうすると『THE 有頂天ホテル』
もかなり狂気をはらんだ危険な映画になり、全然ヒットし
なかったはず。
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