2023年8月18日金曜日

君たちはどう生きるか


☆☆☆★★     宮崎駿     2023年

凄絶な空襲の場面から始まる宮崎駿の新作
は、すぐに田舎の閑静な屋敷に舞台を移し、
敷地の隅にある奇妙な塔とアオサギによっ
て、物語は駆動されていく。
すでに観たひとたちからも聞かれるように、
私も宮崎駿の「集大成」という言葉を浮か
べた一人である。既視のイメージに彩られ
た本作を観ながら思い出すのは、ジブリや
ジブリ以前の過去作、具体的にはハウル、
千と千尋、ポニョ、猫の恩返し、未来少年
コナン、などなど。さらに『インセプショ
ン』やドラゴンクエストⅢなんかも思い浮
かべながら、老いたアニメ作家の(おそら
くは最後の)イメージの奔流を茫然と見つ
めていた。

初回の感想としては後半のファンタジーよ
りも、前半のちょっと浮遊したようなリア
リズムの描写の方が私の好みであった。ま
あでもこれから何度も見返すことになるだ
ろう。もう少し頭を整理してから、後半部
分をまた観たい気持ちはある。

                     7.25(火) TOHOシネマズ渋谷




2 件のコメント:

  1. 塔の中の出来事は展開が早くてとても消化できなかった、ついていくので精一杯。前半との対比は狙いなのかしら。おっしゃるようにかつての作品を思わせる描写にわくわくしつつ、「本当に最後なのか」としんみり。構想に大きな影響を与えた本家『君たちはー』も興味がわいたが読むことはあるのだろうか。
    結局最初から分かったのはキムタクがキムタクだったということくらい。ごちゃごちゃ言っているが好きな映画でした。満足満足。

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  2. 原作の『君たちは―』は宮崎駿に影響は与えたんだろうけど、内容はほとんど無関係といってよくて、何か映画につながる要素を期待して読むと肩すかしかもしれません。そして本編よりも丸山眞男の解説のほうが読みごたえがあるという説もあるので、ぜひ岩波文庫でどうぞ。

    キムタクが演じた眞人の父親は俗物で商才はあるようだけど他人の感情とかにはあまり理解のない人物として描かれていて、宮崎駿の作品には珍しい父親像かもな、とは思った。

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