☆☆☆ 黒沢清 2024年
なんかどうも最後まで乗れなかった…。
フランスの観客向けに、少し話を分かりやすく
してる? バシュレ(=香川照之の役)ってあ
んなに序盤から怪しかったっけ? どうも綻び
が見えてくるのが早すぎるような気がした。
そして解決にともなうカタルシスというものが
まったくない、いやーな気持ちのまま終わる映
画である。それは哀川翔版と変わってないか。
観客としては、黒沢清特有の「カットの途中で
勝手に動き出すカメラ」に気持ちよく翻弄され
た。ルンバを使ったカットもおもしろかった。
そしてまた青木崇高! 最近多いな。
6.18(火) ヒューマントラストシネマ渋谷
☆☆☆★★ 𠮷田恵輔 2024年
ある日突然、娘がいなくなってしまう…。
探し回っても見つからず、若い両親は警察や
報道機関を頼るが、世間の注目を浴びたこと
で、ネット上での誹謗中傷にもさらされる。
観ていて辛い映画だが、石原さとみが「口が
悪い」「裏表がある」役柄なので、なんとか
観ていられる。ずっと母親に感情移入してい
たら、とてもじゃないがもたないだろう。し
かし石原さとみの芝居もかなり入り込んでい
るから、どうしてもそちらに吸い込まれてし
まう瞬間はある。「娘がいなくなってしまっ
た母親」に感情移入したら、そりゃあ泣きま
すわね。
夫の青木崇高との「夫婦間の軋み」もものす
ごくリアルでおそろしい。一刻も早く娘を見
つけ出したいという思いはどちらも一緒なの
に、些細な事でどうしてもギスギスしてしま
うという…。
中村倫也が事件に関心をもって報道を続けて
いるディレクター。半年経ち、一年経ち、事
件への世間の関心が薄れていく中で、何か新
しい切り口が無いと番組は制作できないと上
層部に告げられ、煩悶する。正直この役柄は
紋切り型というか、「エルピス」で似たよう
な葛藤をすでに観た感あり。
森優作がコミュ障ぎみの石原さとみの弟を好
演している。
5.20(月) TOHOシネマズ渋谷