2019年11月18日月曜日
レイジング・ブル
☆☆☆★ マーティン・スコセッシ 1981年
名作の多いボクシング映画の中でも、とりわけ
有名な映画である。しかも全編ほぼモノクロと
きた。こりゃあいったいどんなキレキレの映像
と驚愕のストーリー展開が用意されているのか
と舌なめずりしていたが…。
観た方は知ってると思いますが、デ・ニーロは
やたらと疑り深い「嫉妬の塊」みたいな見てら
れない感じの男で、ちっともカッコよくない。
強すぎる猜疑心で妻も、信頼していた弟も失っ
ていく哀れな男である。まあボクシングは強い
のだが、終生のライバルであるエースとは勝っ
たり負けたり。観ているほうはずっと「宙吊り」
のような感じで、終始落ち着くことができない。
まあだいぶ予想と違う映画だった。
デ・ニーロの体重の増減でとても有名な映画で
もあり、たしかにあの体格の変わり方はすごい。
10.26(土) BSプレミアム
2019年11月14日木曜日
ジョーカー
☆☆☆ トッド・フィリップス 2019年
今年最大の話題作といっていいだろう。
派手なアクションや勧善懲悪の要素の無い
映画が世界的な話題になるのも久しぶりで
はないか。すでに『ダークナイト』という
重厚な名作があるのにも関わらず、あえて
今ジョーカーを再びスクリーンに召喚する
からには、よほどの必然性を制作側が感じ
てのことなのだろう。
で、感想。
分断されたアメリカの社会やその病理をよ
く描いているのかもしれないが、以前から
の私の傾向として、どこからも"愉快さ"に
つながらない映画を高く評価できないとい
うのがある。どうしてもこういう映画は、
「病理自慢」のように見えてしまって、ホ
アキン・フェニックスの演技はたしかに鬼
気迫るものがあるけれども、それは何にも
昇華していかず、ただただ鬱積していくの
みである。
10.25(金) TOHOシネマズ新宿
2019年11月2日土曜日
ドリーミング村上春樹
☆☆☆ ニテーシュ・アンジャーン 2019年
村上春樹のデンマーク語訳を手がけるメッテ・
ホルムさん。春樹のほうにあまり翻訳を出す
気がなさそうだった『風の歌を聴け』『1973
年のピンボール』にやっと許可が出たのか、
この時点ではこの初期2作の翻訳に取り組んで
いる。日本を訪れて仕事をしたり、旧式のピ
ンボールマシンで遊んでみたり、ポーランド
語の訳者との交流を重ねたりして、少しでも
小説世界の本質に迫ろうとしている。
一方で唐突に「かえるくん、東京を救う」を
モチーフにした映像と、たどたどしい朗読が
挟みこまれる。身長2メートルぐらいのかえる
くんが東京の様々な場所にいる映像はなかな
かシュール。
60分の小品で、若干の食い足りなさもあるか…。
10.25(金) 恵比寿ガーデンシネマ
2019年10月26日土曜日
真実
☆☆☆ 是枝裕和 2019年
初日に鑑賞。意気込んでいたというよりも、し
ばらく映画を観る日が無いのが確実だったので。
是枝さんがカトリーヌ・ドヌーヴとジュリエッ
ト・ビノシュでフランス映画を撮るってことで、
もしかしたらすんごい化学反応が…という期待
もあったが、まあ、それらしくまとまってはい
たものの、必ずしもうまくいっていたとは思え
ず。『真実』という題も大仰すぎる。もっとさ
りげない映画でよかったのではないか。
しかし是枝さんほどの立場のひとがまったく新
しいチャレンジをするというのはある程度の批
判も覚悟の上だろうし、まったく無駄なことで
はないだろう。
子役をうまく活かすのはさすが。亀のヘンリー
のくだりはよかった。
10.11(金) TOHOシネマズ新宿
2019年10月11日金曜日
清須会議
☆☆☆★ 三谷幸喜 2013年
『ステキな金縛り』まで映画館で観ていた
三谷作品だが、この作品の公開時の「マジ
メな歴史もの」「長い」という評判に尻込
みしてしまった。
今回テレビ放送で観て、まあ公開時の評判
はわりと当たっているものの、しっかり面
白い作品にはなっていて、しかも大泉洋の
"怪演"が光る。水を得た魚のよう。寧々を
演じた中谷美紀も可笑しい。
9.21(土) フジテレビ
2019年9月30日月曜日
コミック雑誌なんかいらない!
☆☆☆★★ 滝田洋二郎 1986年
内田裕也が扮するは芸能人のプライベートを
土足で踏み荒らし、三浦和義の店にアポ無し
突撃して本人に「ロス疑惑をどう思うか」と
訊き、お茶の間の欲望を満たすためには歌舞
伎町のホテルで殺害された少女の葬儀にだっ
て押しかけ、遺族にマイクを突きつける、い
わゆるワイドショーの"下衆の極み"レポータ
ーである。「恐縮です!」が口癖なので梨元
勝かと思いきや、梨元は本人として出演する
ので「キナメリ」という名のこの男は、架空
の芸能レポーターだと思っていいのだろう。
劇中には1985年当時の本当の芸能ニュースや
スキャンダルが織り込まれていて、今となっ
てはそちらも興味深い。途中、ネタ屋がキナ
メリに情報を売る場面で、「さんまの参宮橋
のマンションに研ナオコが越してきた」とい
う情報があったのがおもしろかった。
タモリ、赤塚不二夫、おニャン子クラブ、郷
ひろみ、ジュリーも出演。ビートたけしも最
後に狂気に満ち溢れた役で出てくる。私は豊
田商事の会長刺殺事件というのをまったく知
らなかったので、あとで調べてこういう事件
があったのかと驚いた。
2019年9月25日水曜日
水のないプール
☆☆☆★★ 若松孝二 1982年
池袋の文芸坐で、内田裕也主演作の2本立て。
地下鉄のモギリをやっている冴えない中年男
(内田裕也)が、息子の昆虫標本作りを見て
クロロホルムを使った家宅侵入および強姦を
思いつき、次々と実行していくというピンク
映画である。実際の事件を元にしているらし
い。
だんだん強姦だけでは飽き足らず、裸にして
ポラロイド写真を撮ることに熱中していくの
だが、それもエスカレートして現代アートみ
たいになっていくのがおもしろかった。若い
頃の内田裕也はすこし井浦新を思わせる精悍
な顔つきで、なかなかカッコいい。
9.15(日) 新文芸坐
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