2026年1月10日土曜日

2025年 ベスト

 
本年もよろしくお願いします。
ほそぼそと続けていきます。

<2025年>
鑑賞本数は24本。
うち2025年公開作17本、旧作はけっこう増え
て7本。旧作も含めて、ほぼすべてを映画館で
観た。この少ない本数でも☆☆☆★★★の高
評価をつけた映画が7本もあった。2024年公
開の『至福のレストラン 三ツ星 トロワグロ』
を含めると8本。打率のよさから言っても、
豊作の年だったと言えるだろう。
その7本には優劣を付ける手間をかけるより、
すべてを並列で扱って賞賛するほうが生産的
だろうと思い、7本ともベストということに
したい。

『敵』(吉田大八)
筒井康隆の短篇が原作。未読。
長塚京三の「老醜」をも厭わない、それでい
て気品のある演技が出色である。
淡々とした日常を折り目正しく生きている…
と思わせて実は妄想が現実をひたひたと侵し
はじめ、瀧内公美と河合優実により掻き立て
られる老人の性欲…。この2人なら仕方ないか。


『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(大九明子)
ジャルジャル福徳秀介の小説が原作。未読。
別にモテないわけでもないが交際には至らな
い大学生の生態の現代版という感じ。
ミューズとしての河合優実がすばらしいが、
伊東蒼の完璧な長台詞にも脱帽である。
映画的な「仕掛け」に満ちていて、観ていて
実に楽しかった。


『国宝』(李相日)
吉田修一の長篇が原作。小説は既に楽しんだ。
「一緒に食事している時の『歌舞伎の映画を
撮ってみたいと思っている』という李の言葉
が吉田を触発して『国宝』が書かれた」とい
うのだから、吉田修一と李相日の関係という
のは通常の小説家と映画監督の関係とは異な
るようだ。ただこれまでの3作にわたる映画
化の中でも最良の結果が『国宝』で結実した
のは間違いないと思われる。この映画を観て
吉沢亮、横浜流星に敬意を抱かないひとは稀
であろう。そしてここでも瀧内公美が終盤の
おいしい役どころ。


『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』
(ジェームズ・マンゴールド)
イライジャ・ウォルド『Dylan Goes
Electric!』が原作。
よくあるミュージシャンの伝記映画と言えな
くもないが、ボブ・ディランといういつまで
も正体が謎のままの男の、ごく若い時だけに
焦点を絞ったのが奏功したか。
ティモシー・シャラメの「なりきり」も見事
だし、エドワード・ノートンの助演がまたす
ばらしい。


『秒速5センチメートル』(奥山由之)
新海誠のアニメーションが原作。観ていない。
おそらく7本の中で映画好きからの評価は最
も低いだろうと思うが、私は心がざわざわす
るのを感じたというか、単純に良い映画だと
思った。音楽の使い方も見事である。


『旅と日々』(三宅唱)
つげ義春の短篇2本が原作。たぶん読んだ。
河合優実を主役とした前半の夏パートと、
シム・ウンギョンを主役とした冬パート。
どちらも甲乙つけがたいすばらしさ。余白
の多いつげ義春のマンガと映画は相性がい
いような気がするが、かなり悩みながらの
制作だったらしい。


『ワン・バトル・アフター・アナザー』
(ポール・トーマス・アンダーソン)
トマス・ピンチョン『ヴァインランド』に
"inspired"、とのこと。未読。
おもしろさの衝撃という点では本作がいち
ばんであった。革命を企む活動家たちと、
それを追いつめる軍人という使い古された
ような容れ物に、これほど刺激的で充実し
た内容を注入できるとは驚くほかない。
ディカプリオとショーン・ペン、そこにほ
ぼ新人に近いチェイス・インフィニティが
加わり、化学反応が起こっている。そして
毎度のことながらサントラが欲しくなるほ
ど音楽が魅力的。ポール・トーマス・アン
ダーソン万歳である。

今年も良い映画に出会えますように。

2025年12月30日火曜日

星と月は天の穴

 
☆☆☆★★  荒井晴彦   2025年

今年の映画納め。
吉行淳之介の短篇を荒井晴彦が映画化して
いるが、よくあるパターンで主人公は吉行
を思わせる作家(綾野剛)、そしてのちに
「星と月は天の穴」と名付けられる小説を
執筆中である。そうしながらひっきりなし
に煙草を吸い、また小説を書いては窓の外
の公園のブランコを眺めている。

綾野剛の低いモノローグ。そしてユーモア。
脚本家の映画だなと思うのは、荒井晴彦の
映画はいつもテンポがいい。無駄を削ぎ落
しているからだろう。今回も「このカット
はちょっと長いな」と思うと、必ず理由が
あって納得させられる。

                           12.29(月) シネリーヴル池袋













みなさんよいお年を。

2025年12月29日月曜日

ワン・バトル・アフター・アナザー

 
☆☆☆★★★  ポール・トーマス・アンダーソン  2025年

いろいろと忙しさにかまけて前作『リコ
リス・ピザ』を見逃したままとなってい
るPTA。その前の『ファントム・スレッ
ド』がダニエル・デイ=ルイスの引退作
という気合は感じるものの、いまひとつ
だったこともあり、本作もひとまず放置
されていた。しかし、さきに観たひとの
「おもしろかった!」の熱量がみんな本
気だったため、ただならぬものを感じて
映画館へ。

そして、私も本気で言うのだが、めちゃ
くちゃおもしろいです。3時間ほどの上
映時間、ずっとおもしろい。
ディカプリオ、人柄がにじみ出る(いい
意味で)芝居をしますよね。ベニチオ・
デル・トロ、レジスタンスの指導者で、
空手教室の師範、シブいです。ショーン
・ペン、ド変態のレイシスト軍人をこん
なに活き活きと演じてくれるんですね…
すっかりファンになりました。愛すべき
映画がまたひとつ増えた。

                               11.27(木) キノシネマ新宿




2025年12月28日日曜日

旅と日々

 
☆☆☆★★★   三宅唱  2025年

昔読んだような気がするつげ義春の「海辺
の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作
とした89分という短めの新作。しかし中身
が濃いというか、淡々とした展開の中にも
忘れがたいショットがいくつもある。
車の中で女が目を覚ますという冒頭のカッ
トから始まり、話しているうちに日が暮れ
てきて最後は暗くてほとんど見えない2S、
俳優が海に飲まれるのではないかと心配に
なる雨の海水浴(もちろん雨は降らせてい
るそうだ)、河合優実のまぶしい水着…。
場面は一転、シム・ウンギョンが雪国をさ
まよい、古民家の宿にたどり着く。「何も
することがない」という時間が、あれほど
見事に表現された例を私はあまり知らない。
そこから引き起こされる珍奇な事件。
前作『夜明けのすべて』に刮目させられた
が、本作もお見事であった。

     11.11(火) ヒューマントラストシネマ渋谷



2025年12月27日土曜日

【LIVE!】THE BACK HORN w/SHE'S


 「KYO-MEI対バンツアー」
  〜共鳴破天の夜〜 其の二

 1. 雷電
 2. ブラックホールバースデイ
 3. ひょうひょうと
 4. 透明人間
 5. 罠
 6. 泣いている人
 7. ヒガンバナ
 8. 運命複雑骨折
 9. コバルトブルー
10. 太陽の花

(Encore)
 1. 刃
 2. 無限の荒野

             11.3(月) 渋谷CLUB QUATTRO

だいぶ前だが、結局この公演がライブ納め
となった。なぜか去年は行かなかった全国
のQUATTROだけの対バンツアー。
渋谷は事務所の後輩バンドSHE'Sと。
「バックホーンがいるから今の事務所にした」
というぐらいで、意外にもけっこう慕われ
ているようだ。
当日何曲か予習していったが、特に印象に
残る曲はなし。もう全部忘れてしまった。

バックホーンは"雷電"での始まりから全身
が総毛だつような感じ。"泣いている人"を
除けば満足のセットリスト。
ベストアクトは"雷電"。

2025年12月17日水曜日

秒速5センチメートル

 
☆☆☆★★★    奥山由之   2025年

新海誠版は観ていないので、ただの新作映画
として観たわけだが、いったいぜんたい、ど
うしてこんな良い映画が写真家の奥山由之に
撮れてしまうのか、納得いかない思いで鑑賞。

少年時代のまっすぐな想いに胸を打たれ(白
山乃愛ちゃんが可愛い)、高校時代の森七菜
のいじらしさに身悶えし、約束の場所に高畑
充希が来るのか来ないのかちゃんとドキドキ
するという、実に正統的にこの映画を楽しん
でしまった…。そしてすぐにもう一度観たい
とか思ってしまった上に、バンプの「銀河鉄
道」を毎晩のように聴いてしまう。悔しいぜ。

                       10.15(水) TOHOシネマズ池袋




2025年12月14日日曜日

ザ・ザ・コルダのフェニキア計画

 
☆☆☆★  ウェス・アンダーソン 2025年

すごいよ、たしかにすごいんだが…。
相変わらずの情報の洪水と、こちらに必要な
知識が不足していることへの不甲斐なさが募
る100分。なので「なんだかよく分からない」
ので、感想を述べるのも難しい。

今回はベニチオ・デル・トロが、6度の暗殺
未遂を生き延びたヨーロッパの大富豪ザ・ザ・
コルダとして主演している。良い役者になり
ましたね…。
ザ・ザの旅に同行する家庭教師を演じたマイ
ケル・セラという役者が出色であった。

                       10.1(水) ホワイトシネクイント