2025年1月19日日曜日

ゴジラ-1.0

 
☆☆★★    山崎貴   2024年

ちょっと仕事で必要があって観たのだが、貧弱
きわまる物語に閉口。ストーリー展開上の欠陥
を挙げれば枚挙に暇がないという感じだが、い
ちばんひどいと思ったのは、最初に敷島がどう
してもゴジラを銃撃できなかったのには理由が
何かあって、いずれそれが明かされるんだろう
と思って観ていたら、特に理由は無かったこと
である。次に海上でゴジラに遭遇した時には、
ためらいなく打っていた。

細田守も山崎貴も新海誠も、物語上の辻褄を合
わせらないひとが書く物語では、都合よく主人
公が失神するという法則がある。

                              1.10(金) Blu-ray Disc




2025年1月13日月曜日

2024年 ベスト3

 
本年もよろしくお願いします。
ほそぼそと続けていきます。

<2024年>
鑑賞本数は18本。
うち2024年公開作17本、旧作は「1999年の
夏休み」だけ。すっかり家で映画を観る環境
ではなくなってしまったので、すべて映画館
で観た。

たいした鑑賞本数ではないですが、ベストを
3本だけ選びたいと思う。いずれも感銘を受
けた映画で、自信をもってお薦めできる優れ
た作品である。

『関心領域』(ジョナサン・グレイザー)
いちばん衝撃的だったのはこの映画。
アウシュヴィッツの隣で幸福な家庭生活(に
見えるもの)を営んだ家族というテーマもさ
ることながら、定点カメラのようで時にさり
げなくワークする撮影手法も、異化効果をも
たらす音響デザインも優れていた。


『悪は存在しない』(濱口竜介)
この映画もずうっと心に引っ掛かっている。
登場人物たちがいまでもあの地域に生きてい
るような気がしてならない。あのうどん屋は
どうなっただろうか、あのグランピング施設
の計画は頓挫したのだろうか…。


『夜明けのすべて』(三宅唱)
こちらの年齢的にも「恋愛映画」がだんだん
しんどくなってきているというのもあり、こ
のぐらいの人間関係の方が落ち着いて観られ
るような気がする。繊細な演出が光る。




2024年12月31日火曜日

小学校 〜それは小さな社会 〜

 
☆☆☆★    山崎エマ   2024年

今年の映画納め。
年の瀬の銀座は人でごった返していたが、平日
だったためか、客席の入りは1/3にも満たない
ほど。

1年間、世田谷区の小学校に密着してカメラを
まわしている。教室や運動場だけでなく、職員
室にも多くの時間を割いており、先生たちの模
索や苦悩を写し取っている。自分が小学生だっ
た時代とは何もかもが違うようで、しかしよく
よく考えれば違わないようで…。違わないこと
としては、「男子はアホ」ということだろうか。
ゆうたろう、可愛いですね。

こういう映画はやはり特にカメラマンのセンス
が大いに問われる。何を撮り、何を撮らないの
か。運動会のシーンでスタートから少しパンは
するが、ゴール地点まで振らずに止めたカット
を見てそう思った。一度きりの瞬間で何を撮る
のか、選択の連続だろう。

全体としては、もう少しおもしろくなりそうな
気がした。具体的にどうすれば、というのは分
からずに言っているが、そんな気がしたのであ
る。

                           12.25(水) シネスイッチ銀座




2024年12月30日月曜日

読書⑦

 
『イギリス人の患者』
マイケル・オンダーチェ 著 土屋政雄 訳
創元文芸文庫

映画『イングリッシュ・ペイシェント』は名作
の呼び声高く、私の好きな映画でもある。その
原作小説なのだが、まあたいていの映画原作に
漏れず、「まったくの別物」といってよい。

それぞれで楽しめばよいわけだが、こちらの小
説のほうは文章がかなり詩的・抒情的である。
砂漠に炎上しながら墜落した飛行機、患者のい
なくなった野戦病院で独り"イギリス人の患者"
を介抱する看護婦、地雷除去を専門とするイン
ド出身の工兵…。"散文詩"のよう、とでもいえ
ばいいか、はっきり言って私の苦手なタイプの
小説になりかねない。ここに少しでも作者の自
己満足が見えるとすべてがダメになりそうなと
ころ、さすがはイギリス小説、理知的なところ
できっちり踏みとどまっていて、最後まで飽き
ずに読むことができた。

なんせブッカー賞50年の歴史の中で最も優れた
受賞作、つまりブッカー賞のなかのブッカー賞
に選ばれた小説である。これをおもしろいと思
えなかったらイギリス小説好きを名乗れないと
ころであった。




2024年12月29日日曜日

読書⑥

 
『江戸東京《奇想》徘徊記 [新装版]
種村季弘 著   朝日文庫

《奇想》とはなんのことかというと、要は
《奇書》である。博覧強記とはよく言った
もので、この人が街を歩くとまあ聞いたこ
ともない書名がどんどん湧いて出て来る。
東京の地理を勉強中の私としては、非常に
「ためになる」本であった。
根津の東京帝国大学のすぐ裏に遊郭があっ
たとは知らなかった。が、思えば『らんま
ん』の中で坪内逍遥をモデルとした人物が、
「根津」の「大八幡楼」から遊女を身請け
して妻にする、というエピソードがあった
ことを思い出す。これはほぼ史実らしい。

すぐ裏に遊郭があっては勉学に身が入らな
いということで、根津の遊郭は今でいう門
前仲町の方に移された。「洲崎遊郭」であ
る。














『村上春樹 映画の旅』
フィルムアート社

早稲田大学演劇博物館 2022年度秋季企画展
「村上春樹 映画の旅」の公式図録。

映画が村上春樹に与えた影響。また、近年映
画化が相次いでいることで、村上春樹の小説
が映画に与えている影響。

大小問わず村上作品のなかに登場する映画作
品をまとめあげた「村上春樹著作登場映画リ
スト」など、なかなか興味深い。




2024年12月27日金曜日

【LIVE!】 サニーデイ・サービス

 
  <12月の無限大>

 1. 新曲
 2. 新曲
 3. 胸いっぱい
 4. スロウライダー
 5. I'm a boy
 6. Goo
 7. 心に雲を持つ少年
 8. 枯れ葉
 9. あじさい
10. 真赤な太陽
11. 東京
12. 経験
13. 恋におちたら
14. 御機嫌いかが?
15. 若者たち
16. 恋人の部屋
17. サイン・オン
18. 夜のメロディ
19. 花火
20. 月光荘
21. 桜 super love
22. NOW
23. コンビニのコーヒー
24. 春の風
25. こわれそう
26. 風船讃歌
27. 青春狂走曲
28. 白い恋人
29. 週末

<Encore>
30. セツナ
 
<Encore2>
31. きこえない歌(新曲)

                 12.17(火) 恵比寿LIQUIDROOM

スリーピースは音数が少なくて聞きやすい。
歌詞がはっきり聞き取れるなんて、これまで
わりあい多くのライブを観ているがそうそう
ないことである。ライブハウスの音で、決し
て高級な音ではないが、ストレスなく聞けた。
曽我部さんはギターがめちゃくちゃうまい。

サニーデイ・サービスの特に初期の曲には、
はっぴいえんどへの憧れがストレートに表れ
ていてなかなか好ましい。「です・ます」調
の歌詞だけでなく、サウンドにも随所に感じ
られる。

スタンディングは久しぶりだったが、本編が
2時間40分。ダブルアンコールで3時間弱。
たっぷりやってくれてうれしいが、すでに若
くない足腰には苛酷。ツラかった。最後は早
く終わってくれと思ってしまった。


2024年12月26日木曜日

【LIVE!】 Thom Yorke

 
 "Everything"
 playing work solo from across his career

The Eraser
Let Down
Last I Heard (...He Was Circling the Drain)
Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box
Suspirium
Fake Plastic Trees
Kid A
Atoms for Peace
Bloom
Present Tense
Not the News
Hearing Damage
Default
Volk
Rabbit in Your Headlights
Reckoner
Back in the Game
Idioteque

Encore:
Everything in Its Right Place
All I Need
Cymbal Rush
Play Video
How to Disappear Completely

             11.23(土) 東京ガーデンシアター

すばらしかった。奇妙なコードにのる美しい
メロディ、変拍子のうねるベースラインに重
なっていくシンセの不協和音。Radioheadの
曲が多いのも嬉しいが、"KID A"からが最多
というのが驚き。