2025年10月23日木曜日

ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた


☆☆☆   ビル・ポーラッド   2022年

兄弟バンドが牧場の片隅に建てたスタジオで
録った1枚きりのアルバムが、30年後に突如
"再評価"され、ヒットする。天才肌の弟と、
人はいいが音楽的な才能はない兄。リバイバ
ル・ヒットの勢いでアメリカ・ツアーをしよ
うという話が持ち上がり…あとはだいたい、
ご想像の通り。
兄弟の確執と和解がいくぶんわざとらしく、
妻役のズーイー・デシャネルもいまひとつ
輝いてこない。
実話をもとにしているので、ほんとにリバ
イバル・ヒットした曲が演奏されているら
しいのだが、それはたしかに良い曲だった。

                                 7.20(日) 早稲田松竹



2025年10月16日木曜日

はじまりのうた


☆☆☆★  ジョン・カーニー  2015年

落ち目の音楽プロデューサーが才能のある
女の子を見出し、売り出していくという話
で、ありきたりではあるのだが、「街なか
で録音する」という行為は確かに良い効果
を生むアイディアかもしれないと思った。
あんな簡単な機材では無理だと思うが…。

                                        7.17(木) シネクイント



2025年9月30日火曜日

今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は

 
☆☆☆★★★   大九明子   2025年

『国宝』が秀作で気分が高揚していたからか、
いちど帰宅して晩ごはんも食べた後に再び自転
車をこいで新宿に向かい、本作を鑑賞。
これまたすばらしい映画だったため、実に至福
の一日となった。

祖母を亡くして気分が落ち込んでいた男子大学
生が、変わり者の友人と波長の合う女の子(河
合優実)によって再生していくという話。

飛ぶ鳥を落とす勢いの河合優実は、たしかによ
かった。よかったが、この映画に関しては伊東
蒼のすごさが炸裂するワンシーンにほとんどす
べてが持って行かれてしまうほどの破壊力があ
り、すっかり泣かされてしまった。
「初恋クレイジー」、良い曲ですよね。

                                            6.29(日) テアトル新宿




2025年9月10日水曜日

国宝

 
☆☆☆★★★   李相日   2025年

原作小説の長さからすれば映画が3時間になる
のは当然だろう。小説でも印象的だった開巻
のヤクザ一家の新年会の描写がすばらしく、
思わず見入ってしまう。
喜久雄の才能が見いだされる瞬間、生まれた
家、背負った業、父を目の前で惨殺されると
いうトラウマ…。多くのものをここで観客に
提示しなければならない。永瀬正敏は往年の
東映の任侠映画のような迫力があり、短い出
番ながらも鮮烈だった。

 3時間、だれることのない充実した内容で、
至福の「映画的時間」を過ごすことができた。
俳優部の努力はすさまじいものがあっただろ
う。月並みな表現だが吉沢亮と横浜流星はま
さに「役を生きて」いたように思う。

渡辺謙が自分の息子も喜久雄も分け隔てなく
呼ぶ「あんた」と、万菊さんがこちらを見ず
に発する「あなた!」の声色にシビれる。

映像と音声も一流の仕事だったが、ここぞと
いうときにクローズアップが多用されるのが
気になった。バリエーションが少ない。

小説としては悪人、怒り、国宝の順だと思っ
ているが、映画は逆に国宝、怒り、悪人の順
のようだ。

                                         6.29(日) 新宿バルト9




2025年9月7日日曜日

【LIVE!】 レキシ

 
 レキシツアー2025 〜イルカラブストーリー 101回目のイナホバケーション〜

01. たぶんMaybe明治
02. ギガアイシテル
03. 真田記念日
04. 姫君Shake!
05. 古今 to 新古今
06. 古墳へGO!
07. GOEMON
08. SHIKIBU
09. アケチノキモチ
10. 狩りから稲作へ
11. エレキテルミー
12. 年貢 for you
13. 刀狩りは突然に
14. YO.JIN.BO
15. きらきら武士 

<Encore>
01. KMTR645
02. LOVEレキシ

                6.24(水) LINE CUBE SHIBUYA

久しぶりのレキシのライブ。
ツアーは毎年のようにやっていたようだが。
相変わらずふざけちらした、しかし確かな
テクニックと音楽的素養に支えられたエン
タメ・ショーであった。
蹴鞠Chang こと玉田豊夢のドラムが最高。
ドラムソロの途中でスティックを放り投げ
て手で叩きまくっていた。カッコいい…。
数回流れるVTRは若干スベリ気味ではあっ
た。ベストアクトは「年貢 for you」。



2025年8月31日日曜日

【LIVE!】 THE BACK HORN


  『爆音夢花火 2025』~LAST 野音 NIGHT~

 1. レクイエム
 2. 親愛なるあなたへ
 3. 希望を鳴らせ
 4. ひょうひょうと
 5. Mayday
 6. 疾風怒濤
 7. 幻日
 8. 情景泥棒
 9. 情景泥棒~時空オデッセイ~
10. カラビンカ
11. 世界樹の下で
12. 幸福な亡骸
13. キズナソング
14. 蛍
15. 導火線
16. コバルトブルー
17. 太陽の花
18. 奇跡

<Encore>
 1. 冬のミルク
 2. 明日世界が終わるとしても
 3. 無限の荒野

<Encore2>
 1. 刃

                             6.14(土) 日比谷野外音楽堂


いまだに2週続けてバックホーンのライブに行っ
てるとは、ほんとにお好きですねーと言われて
も仕方がない。

改築前の野音では最後となるワンマンライブは、
「夕焼け目撃者」ではなく敢えてバンド最初の
ライブDVDの名を冠された。
予想通り"レクイエム"で始まり、"ひょうひょう
と"も投下されて、古参のファン(を自称しても
いいだろう)はおおいに感慨に耽ったが、総合
して選曲を眺めると、意外にも新しめの曲が多
かったように思う。もちろん初期のマイナー曲
を連発すると「マニアックヘブンと何が違う」
ということになりかねないが、随所で「爆音夢
花火で、この曲なのか…?」という、微かな違
和感を抱きながら、まあそれでもライブは楽し
んだ。"サニー"をやってもよかったんじゃない
かねー。
しかし「この曲やって!」投票で1位になった
のが"世界樹の下で"というのは、このバンドの
ファンでいることを誇らしく思うような快事で
あった。
ベストアクトは「ひょうひょうと」。



2025年8月17日日曜日

【LIVE!】 THE BACK HORN

 
  『KYO-MEIワンマンツアー』~Dear Moment~

 1. 親愛なるあなたへ
 2. Running Away
 3. Mayday
 4. 暗闇でダンスを
 5. 透明人間
 6. コワレモノ
 7. ジャンクワーカー
 8. カラス
 9. 修羅場
10. 光とシナジー
11. ヘッドフォンチルドレン
12. SUN GOES DOWN
13. 月夜のブルース
14. 最後に残るもの
15. 空、星、海の夜
16. グローリア
17. 戦う君よ
18. 太陽の花
19. コバルトブルー
20. タイムラプス

<Encore>
 1. 刃
 2. 明日世界が終わるとしても

<Encore2>
 1. 無限の荒野

       6.8(日) Zepp Shinjuku

つくづく「ちゃんと考えられたセットリスト」
という感じがする。20年近くもファンをやって
いても「もういいや」とならないのは、未だに
こういうライブをするからなんだよなー、など
と思いながら歌舞伎町を抜けて帰路につく。
「親愛なるあなたへ」が良いアルバムだったの
で「透明人間」「明日世界が終わるとしても」
なども盛り上がっていたし、ひさびさに聴く
「カラス」はいかにも「初期!」な音の少なさ
にあらためて驚嘆。

コマ劇場の雰囲気を残したまま造りかえられた
Zepp Shinjuku。妖しいバーカウンターがあっ
たりするのもご愛敬だし、ライブハウスとして
はなかなか良いのでは。