2016年10月6日木曜日

怒り


☆☆☆★★★    李相日     2016年

実力ある俳優たちの渾身の演技を心ゆくまで堪能。
至福の時間である。あおいさんもこれでやっと代表作と呼べる
映画ができた。すずちゃんも良かった。
小説を読んでぼんやり頭に思い浮かべた絵が「これだよ、これ」
と膝を打つ映像として具現化される快感。映画としては『悪人』
以上の出来ばえだと思う。
透き通るような蒼い海を、少年と少女をのせて控えめに波を立
て進むボート。うだるような暑さのなか、無個性な家が建ち並ぶ
住宅街を歩く男を俯瞰で(鳥瞰で?)とらえたショット。傷ついた
娘を抱きしめて眠る母娘。こういうショットが映画のいいところだ
よなー、と嚙みしめながら観た。3つのストーリーが絡みあわず
に進行するが、どれも甲乙つけがたい。
ひとつだけ言えば、「疑ってるんじゃなくて、信じてるんだろ」と
いうセリフが出て来るのが早すぎた。でもそれならとシーンを増
やして二部作になるよりは、今のままでいい。

                                       9.25(日) TOHOシネマズ渋谷


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