芥川賞受賞作を2つ。
「百年泥」
石井遊佳 著
南インドでIT企業の社員向けの日本語教師をしている
女性が、百年に一度の大洪水により「百年分の泥」が
堆積した路上に出て、泥中からさまざまな記憶の断片
を掘り出してはそのつど話が脱臼していくというフシ
ギな話。話が一直線では進まず、さりげなく飛翔通勤
などというホラもかまし、超現実的なことも当たり前
のように描写するさまはやはりラテン・アメリカ文学
を意識してはいるのだろうか。
それにしても擬態語が多くて、ちょっとバカっぽ、や、
失礼、軽妙な文章ではある。
「おらおらでひとりいぐも」
若竹千佐子 著
経歴が話題になったが、実力のほどはどうだろう。
毎回かならず受賞作を読むほどでもなくなったので、
果たしてこんなことを書いていいのかとも思うが…。
わたしは個人的には授賞は拙速だった、もう1作待った
ほうがよかった、と思う。こちらもやたらと擬態語が
多くて辟易した。よほどうまくやれば独特な味が出るこ
ともあるだろうが、基本的に擬態語の多用は文章のレベ
ルを低下させる効果しかない。
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