『オルラ/オリーヴ園 モーパッサン傑作選』
モーパッサン 著 太田浩一 訳 光文社古典新訳文庫
古典新訳文庫のモーパッサン傑作選も3冊目。
モーパッサン晩年の作品を収める。充実したシ
リーズだったので、これで最後というのは寂し
い。
「怪奇小説」とでも呼べそうな「オルラ」が異
色である。
「オリーヴ園」を読むと、短篇小説はやはり
「切れ味」がいちばん大事だなと思わされる。
お手本のような秀作。
「ラテン語問題」、「離婚」、「オトー父子」、
「ボワテル」、「港」などもそれぞれ粒ぞろい
である。まあ名手が書いた膨大な数の短篇から
厳選しているのだから粒ぞろいは当たり前かも
しれないが、150年前の小説をいま読んでも充
分に鮮烈なのには驚かされるばかりである。
『子どもの育ちと脳の発達』
佐藤佳代子 著 文芸社
27年間保育の仕事をしてきた著者による育児
書なのだが、すこし変わっているのは、著者
が脳科学を学んだということ。0歳~6歳まで
の子どもの発達と、その過程で表れるさまざ
まな特質(イヤイヤ期や人見知りや愛着行動
など)を、保育の仕事の経験則だけでなく、
脳科学的に説明することで、ある程度の理屈
が分かると親の方も気持ちの余裕ができるで
しょう、ということである。
とはいえ「本当に危険なこと以外は子どもが
何をしても「ダメ!」は言わないようにしま
しょう」と言われても、いざ悪戯を目の前に
するとなかなか難しいのだが、まあそれでも
「いやもしかしたらこの子の大脳辺縁系では
いま…」とか考えて一瞬、間を置くことはで
きるかもしれない。
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