熱く優しい、フュージョンナイト
前半
1. Jean Pierre
2. Tipatina's
3. Ana Maria
4. Spain
後半
5. Direction
6. Cantaloupe Island
7. Wing and a prayer
8. Chromazone
アンコール
1. Some Skunk Funk
6.29(土) すみだトリフォニーホール
大西順子(Piano・音楽監督)
黒田卓也(Trumpet)
Eric Harland(Drums)
John Patitucci(Bass)
Kirk Whalum(Sax)
Mike Stern(Guitar)
ついに「動く村上春樹」を目撃してしまった。
とはいえ、高校時代なら「文学の神を見た」
とさぞ舞い上がっただろうが、今となっては
近頃やたらと下界に降りてくるおじいちゃん
作家を観たからといって、別に有頂天になっ
たりはしない。でも生きているうちに実物を
見られてよかったとは思う。なんせ村上春樹
だ。
ライブの前に少し坂本美雨とのトークがあっ
た。そこで当然「村上さん、フュージョンと
はどんな音楽なんでしょう?」という質問が
春樹になされる。それに「詳しく説明しだす
と2時間かかっちゃうんだけど」とか言いな
がらさらっと解説をしたのだが、それが簡潔
で要を得ていながら文章としてもよくできて
いて、やはりさすがだなと思った。
だいたいこんなことを言っていた。
60年代終わり頃のジャズには2つの流れ
があって、1つはモード・ジャズ。もう1
つがフリー・ジャズ。その2つが突きつめ
られて行くところまで行っちゃって、コル
トレーンの死によって行き詰まっちゃった
んです。そこに突如出現したのがフュージ
ョンで、それはまるでこもった空気の部屋
の窓を開け放ったような感覚がありました。
フュージョンという音楽を定義づけるの
は難しいんだけど、条件としては
①電子楽器を使っていること。特にエレキ
ベースとエレピ。
②明確なリズムがあること
ということは言えるんじゃないかな。
やっぱり「コルトレーンの死によって」という
部分が肝ですよね。色んなことを想像させる
フレーズで、これが有ると無いとでは大違い、
という気がする。
ながなが書いてしまったが、本編のライブは
どこまでも熱く、華麗なインプロビゼーショ
ンの世界でしたよ。即席バンドということが
信じられないほど、ソリッドで豊穣なアンサ
ンブルが繰り広げられた。Mike Sternが演奏
を引っ張っていたが、「ギターは顔で弾く」
を地で行くようなひとで、表情豊かで見てい
ておもしろい。ドラムのEric Harlandは若き
才能とのことで、めちゃくちゃにうまかった。
すみだトリフォニーホールは初めて行ったが、
良い響きのホールで、規模もちょうどいい。
満足感に包まれ、慣れない錦糸町のまちを歩
いた。
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