2025年3月27日木曜日

 
☆☆☆★★★  吉田大八  2025年

長塚京三。79歳にして堂々の主演である。
瀧内公美。だんだん「替えの利かない女優」に
なり始めた。オファーが絶えないのも頷ける。

筒井康隆の短篇小説をもとに、映画にしか描け
ないものを現出させていると思う。すばらしい
映画だった。

                              2.11(火) テアトル新宿




2025年3月21日金曜日

逆噴射家族

 
☆☆☆★★   石井聰亙   1984年

郊外に念願のマイホームを手に入れた男(小林
克也)。ローン返済のためモーレツ社員として
働きまくる決意を新たにするが、転がり込んで
きた父親(植木等)の行動をきっかけに、徐々
に歯車が狂い始める。家にシロアリがいると思
い込んだり、父親の部屋を地下に造ろうとした
り…。ついに男は夜中に家族を集め、宣言する
のであった。「おまえたちはみんな病気だ」。

歯切れのいい編集とはちゃめちゃな脚本で、ブ
ラックユーモアに満ちた爽快作、といった仕上
がりになっている。植木等が出演していること
が、映画の格をひとつ上げた。ただのゲテモノ
映画ではない。長男役の有薗芳記もなかなか良
い。長女役は当時13歳の工藤夕貴。

そしてカメラはたむらまさき。第二撮影のクレ
ジットで篠田昇も参加しているようだ。

                                   2.6(木) 新・文芸坐




2025年3月1日土曜日

惑星ソラリス


☆☆☆  アンドレイ・タルコフスキー 1977年

スタニスワフ・レム『ソラリス』はモロッコ
に行く飛行機で読んだのだったか。その時か
ら映画版も観たいと思っていたが、ようやく
名画座で捕獲。

「ソラリス」という惑星に滞在している宇宙
船の中に3人の研究者がいて、1人が自殺した
という報を受けて主人公が新たに赴任するも、
意思をもった惑星であるソラリスに幻覚を見
せられたりして、次第に狂っていくというス
トーリー。

嫌いなタルコフスキーの映画なので別に期待
はしてはいなかったが、「苦痛ではない」ぐ
らいの3時間弱だった。タルコフスキーにし
てはワンカットも短めだし、人物のクローズ
アップや切り返しなんかもあり、一見普通の
映画である。

映画を観た翌週に行った坂本龍一展で、教授
のタルコフスキーへの偏愛には驚かされた。
『async』は架空のタルコフスキー映画のサ
ウンドトラックというコンセプトであったし。

                                1.12(日) 新・文芸坐