2011年10月11日火曜日

やわらかい生活


☆☆☆★★       廣木隆一     2005年

トヨエツは、普通にしているだけでやっぱりおかしい。廣木
監督はトヨエツの「おかしさ」をよく分かった上で演出してい
ると思う。まず、やたらに声が良いのがおかしい。脚が異様
に長いのがおかしい。無表情なのもおかしい。良い役者だよ。
使い方むずかしそうだけど。

本作は寺島しのぶが主演。いや見事。鬱病のヤクザ役で妻
夫木くんが出てくるが、同じ画面におさまっても相手にならん
わけですよ。寺島しのぶがうますぎて。

                                                         10.7(金)  DVD


2011年10月10日月曜日

私は二歳


☆☆☆        市川崑       1962年

「育児書」を原作とした、まさに異色の映画。
「育児あるある」を映画にしたようなもんなので、当然
エピソードの羅列であって、ストーリーもクライマックス
も生じない。これは、興行収入とかは心配しなかった
んだろうかスポンサーは、とつい余計な心配をしてしま
う。

                                 10.6(木)  BSプレミアム


2011年10月9日日曜日

軽蔑


☆☆☆       廣木隆一      2011年

二本立て、勿論こっちが本命。
以前に「きみの友だち」でその「文体」に引きつけられた廣木
監督。中上健次を原作とするこの映画で、火花散るような化
学反応を期待したのだけれど…。うーん。全体的にいまひと
つ散漫な印象。ちと長いよな。ロングショットと長回しが、今回
はちょっとかったるく感じられてしまった。

新宿で派手にチンピラをやってた高良健吾が、ある事件を起
こして歌舞伎町に居られなくなり、故郷の和歌山(中上だから
ね)に帰る。チンピラなので女を同行させるのだが、前から想っ
ていたストリップダンサーの鈴木杏を連れて帰り、一緒に住む。
親父が与えてくれたマンションの一室に住み、親父が紹介して
くれた酒屋で働いて、地道に暮らしていこうと夢想するが、現実
はそう巧くいくはずもなく、間もなく破綻が忍び寄る…。
ほんとに和歌山で撮られたと思しき「地元」のシーンからは、む
せかえるような「土着性」が匂ってきていて、原作は未読なのだ
けど中上健次の雰囲気はよく出ていたと思う。
和歌山のホンモノのヤクザを演じるは大森南朋。「これだ!」と
いう感じの素晴らしいヤクザっぷり。兄さん、最高です。これから
もどんどんヤクザの役をやってもらいたい。たけし映画にも出て
ほしいなー、と思って調べたらもう「アキレスと亀」「Dolls」に出てん
のね。どっちも未見。

                                                 10.4(火)  三軒茶屋シネマ


2011年10月8日土曜日

婚前特急


☆☆★★       前田弘二      2011年

期待してなかったけど、やっぱり期待するほどの作品ではなかった。
吉高由里子と石橋杏奈が出ていて、この共演を見るとつい「きみの
友だち」を思い出す。あれは良い映画だった。

                                           10.4(火)  三軒茶屋シネマ


2011年10月6日木曜日

狂った果実

☆☆☆★         中平康      1956年

「太陽族」という流行語まで生んだというヒット作。太陽族といわ
れても、いまとなってはその定義もさだかではないが、当時もこ
んな大学生ほんとに居たんだろうか。少なくとも石原兄弟はそう
だったみたいだが。

北原三枝という女優さん、のちに裕次郎の奥さんになるひとだが、
たいへんにキレイな方ですな。ミステリアスな美女。
いまの役者でリメイクするなら

石原裕次郎 → 浅野忠信
津川雅彦  → 高良健吾
北原三枝  → 真木よう子

がいいな。別にしなくていいけど。

                                              9.27(火)  BSプレミアム


2011年10月3日月曜日

モテキ


☆☆☆★★       大根仁      2011年

黙ってこの点数にしたら「秀作」に認定したことになるので、
ちょっとつけ加えたいが、率直にいって「佳作」ぐらいの出来
だと思う。ただ、ただですね、「映画は女優」なのであります。
何度も申し上げておりますが。女優が輝いていれば、その映
画はもう半分以上成功しているわけです。その観点からいう
と、本作は「正しく映画である」と言っていいと思います。長澤
まさみが期待を裏切らない素晴らしさで、思わせぶりな女を
演じる。あれは反則。
本作の予告編を見ましたか? 長澤まさみと麻生久美子と仲
里依紗と真木よう子が、森山くんの神輿をわっしょいわっしょ
いかついでいるだけで、少なくとも私はワクワクしました。「こ
れは観なければ」と思いました。しかも、珍しくマンガを予習と
して読んだりする張り切りようで、我ながら「どうした俺」と思い
ましたが、マンガは、まあ特筆するほどではないけどおもしろ
かった。私は土井さんが好きだね。

ドラマ版は観ていないのだけれど、映画を観ながら、なるほど
これはドラマ向きの素材だな、という思いが最後まで拭えなかっ
た。4人というのはいかにも多い。全員とそういうことになるには
2時間では到底たりないが、長澤まさみと麻生久美子に絞った
のは賢明な選択。人数減らすとショボくなっちゃうしね。ただ圧
倒的に長澤まさみのほうが魅力的で、これはさぞ小林信彦先生
もご満悦だろう、と思わず小林さんの穏やかな微笑を想像してし
まうことに。
それにしても最近、長澤まさみはセカンドインパクトなみに、二度
目のビッグウェーブが来ていますな。たしかにね、これは可愛いわ。

                                      9.27(火)  ワーナーマイカルシネマズ釧路


2011年10月1日土曜日

奇跡


☆☆☆★★       是枝裕和       2011年

今年福岡から鹿児島までつながった九州新幹線。
その開通日の一番列車がすれ違う瞬間を見ることができたら
「奇跡」が起こる…。
というわけで「スタンド・バイ・ミー」よろしく子どもだけで旅をする
わけだが、子どもたち自身も奇跡をたいして信じていないのが
現代風だなぁ、と。信じてはいないけど、行動する。
図書室の先生として長澤まさみ登場。ちょっと小学生には早い
かな、あの色気は。

                                          9.25(日)  目黒シネマ