2012年9月5日水曜日

冬の華


☆☆☆★★       降旗康男       1978年

ムショ帰りのヤクザを演じるのは高倉健。
健さん演じる「ヒデ」は、その誠実な人柄で人望がある。
しかし15年ぶりに戻ってきた組では、組長は絵画の収集
に狂っており、きな臭い抗争の気配が漂い始めている。
この機会にヤクザの世界から足を洗おうと考え始めてい
たヒデも、やがて否応なく、血で血を洗う抗争に巻き込ま
れていく…。

こう書くと普通のヤクザものと何も違わないようだが、ここ
にヒデを育ての親と信じ、「おじさん」と慕う可憐な娘(池上
季実子)をからめてくるのが脚本家・倉本聰の勝負なので
ある。

この勝負は結果的に、物語のトーンに多少の甘ったるさを
もたらしはしたが、成功だったと思う。ラスト、喫茶店でトボ
けてみせる健さんが実に実にシブかった。そうこなくちゃ!
と思わず独りテレビに快哉を叫んだものである。

あと、中華料理屋の店主を演じる小沢昭一が絶品であった。

                                                             9.2(日) BS朝日


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