2012年9月9日日曜日

秋刀魚の味


☆☆☆★★★           小津安二郎        1962年

山田洋次は「遺作が傑作というのは珍しいし、幸せなことですね」と
いうようなコメントをしていたが、たしかにそう思う。遺作ということを
抜きにしても、小津映画のある種の到達点のように思った。

一方で、もうこの頃の小津は大衆からは見向きもされていなかった
という話も聞く。それはそうかとも思う。だって、『晩春』(1949年)から
数えても13年間、同じような話ばっかり作ってる巨匠が居たら、普通
はあきれるだろう。

しかし製作から50年を経て、再評価やらなにやらがあった後、BSプレ
ミアムで放送されたものを私がハードディスクに半年以上放置したあ
とにやっと観られる運びとなった本作は、実に心愉しい映画だった。
同級生のおっさん3人(笠智衆、中村伸郎、北竜二)が小料理屋に集
まって飯を食いながら、非常にどうでもいいようなことを話している、
それだけで楽しくなってくるのはなぜなんでしょうね。昼からビール飲
んでるし、昼休みも長そうである。うらやましい。

                                                                   9.4(火) BSプレミアム


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