2017年1月25日水曜日

沈黙 -サイレンス-


☆☆☆★   マーティン・スコセッシ   2017年

観る前からわかっていることではあるが、2時間40分を
超えるこのフィルムは、終始、胃になにか間違ったもの
を詰め込まれたような、不快と緊張を強いられる重苦し
い映画である。そりゃあキリシタンが弾圧されている時
の日本にやってきた宣教師たちの味わう艱難辛苦と絶
望と裏切りと…を描いた小説が原作なのだから当然だ。

信仰と命とが常に引き換えだったこの時代の日本が、
ある意味では「信仰とは何か」を考えるうえで貴重なモ
デルケースなのだろう。だから自らの切実な問題として
スコセッシは長い年月をかけて原作と向き合い、映画
化を切望してきたのだろう。そこまでは分かるのだが、
しかしなぜここまで重苦しい映画を、たいへんな思いを
してまで撮るのだろうか。信仰するものといっては村上
春樹しかない私には皆目わからないところが残念だ。

まさに「神の沈黙」を表現していたと思われるいちばん
大事な場面でLINEの着信音を鳴らしたおばはんがい
たので、あのひとこそ穴吊りにして3日ぐらい放置した
方がいいと思う。

画像は『野火』でも大変な目に遭ってたのに、今度は
死ぬまで海中の十字架に磔にされる隠れキリシタン
の塚本晋也。

                                        1.22(日) 新宿ピカデリー


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