2018年2月22日木曜日

ポーラX


☆☆☆★★★   レオス・カラックス  1999年

カラックスの作家性が爆発している"異形のフィルム"である。
ワケのわからない映画を撮るひとは別に少なくはないけれど、
カラックスは破綻することをよしとしないひとだと思う。ど
こまでも拡散していく想像力と物語をいつかは収斂させよう
という意志を感じるのである。しかしその特異性とスケール
の壮大さゆえに、キレイにまとまるなどということは決して
ないだろう…。

長篇映画としては『ポンヌフの恋人』(1991年)と『ホー
リー・モーターズ』(2011年)の間にある、あまり観るこ
とのできないフィルムである。レンタルビデオ屋でも見かけ
ない。原作はメルヴィルの『ピエール』という小説らしい。
こちらもそのへんの本屋では見かけない題名である。

主人公が結婚間近だった恋人を捨てて、姉だと名乗る怪しい
女と暮し始める動機が、まったくもって分からない。説明も
皆無である。それはこのストーリーにおいて紛れもなく肝心
の所であり、凡百の映画ならそこに説得力が無いとフィルム
全体がダメになってもおかしくないのだが、まあとにかくカ
ラックスの提示してくる画がすごすぎて、センスが横溢して
いて、だんだんどうでもよくなってくる。少なくともわたし
はカラックスのセンスがぽたぽたしたたっている画を見られ
て幸せな時間でした。

これであとは『TOKYO!』を観ればカラックス制覇だー!

                                                    2.10(土) 早稲田松竹


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