☆☆☆★★★
ウェス・アンダーソン 2023年
砂漠の真ん中にぽつんとある街アステロ
イド・シティに、若き発明家たちが授賞
式のため集まってくる。みなそれぞれ家
庭にいろんな事情を抱えた若者たちと、
その家族。省略の多いセリフから文脈を
読み取り、脱臼したようなユーモアを解
するだけで精一杯なのだが(つまりいつ
も通りのウェス・アンダーソン映画)、
実はそれらは劇中劇という構造になって
いて、ただでさえ情報量過多の映画をさ
らに極めて複雑にしている。
まあ半分も分かったとは言えない気がす
るが、横移動のカメラワークがしつこく
用いられており、印象的。もちろん移動
した先も、移動中も、構図は完璧である。
主役の戦場カメラマンは渋川清彦に似て
いる。子役の3姉妹の芝居がナチュラル
で良い。普通子役はテイクを重ねると、
どんどん芝居が悪くなっていくものなの
に、この完璧な構図とどうやって両立さ
せたのか不思議である。『ロスト・イン・
トランスレーション』から振り返れば、
スカーレット・ヨハンソンも大物になっ
たものだ。
9.7(水) ホワイトシネクイント
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