2011年10月31日月曜日
ステキな金縛り
☆☆☆★ 三谷幸喜 2011年
「古来より法廷劇にハズレなし」という三谷さんの信念と、「弁護士が
落ち武者の幽霊に『証言してください!』と頼む」というアイディアの
断片から肉付けしていったというこの映画、まだ公開されたばかりだ
から詳しくは書かないけれど、まあおもしろかったですよ。
何より、あの髪型の深津絵里はほんとにキュート。ずっと観ていたい。
10.29(土) ワーナーマイカルシネマズ釧路
2011年10月30日日曜日
映画が目にしみる [増補完全版]
小林信彦 著 文春文庫
中日新聞に連載していた短めのコラムから、映画・芸能に関する
ものをピックアプした、とのこと。「短め」とは、原稿用紙4枚程度。
寝る前にいくつか読むのに最適だったので、ここ1ヶ月ほど、ちび
ちびと読んでいた。
小林さんは、新作映画を紹介していても、ふっと五十年代、六十
年代の映画に話題が飛ぶことが多いので、この長さだと新作1本
を紹介するにも少し短いと感じる。やっぱ文春のコラムの長さが
ちょうどいいと思うんだよなー。
この頃の小林さんはニコール・キッドマンにほとんど「熱中」してお
り、ニコールの出演作が公開されるたびに取り上げ、おもしろくて
もおもしろくなくても、まあニコール・キッドマンが可愛かったから私
は満足だが、みたいな感じで結局まとめてしまう、という離れ業を
何度もお決めになっていらっしゃる。さすがである。そういえば先
週の文春コラムでは、「幸福の黄色いハンカチ」をリメイクしたドラ
マに触れていて、中身には全然感心しなかったらしいが、まあ掘北
真希が観れたから満足、とまとめてらっしゃった。けだし離れ業で
ある。
2011年10月29日土曜日
北の国から
最近更新がねぇじゃねーか、と思っていらっしゃるごく少数の
方にいくぶん言い訳をしますと、いま私はBSフジで再放送を
している「北の国から」に熱中してしまっているのです。
そう、あの「北の国から」です。ストーリーはご存知かと思いま
すが、田中邦衛の演じる黒板五郎は、妻の不倫を機に故郷
の富良野へ帰ることにしまして、しかも昔住んでいた電気も水
道も無い山小屋を掃除・改築して住むんですが、そこへ純と
蛍という小学生の子どもたちも連れて行ったからさあ大変。
お父さんに従順で天使のように可愛い蛍と、屈折する純、そ
れに妻の妹の雪子が東京から移り住んだりして、人間関係
もさることながら、やはり核心は「自然と人間」という大きな
主題が真ん中にどんとあり、やはりしっかりと芯のあるドラマ
ってのはおもしろいんですわー。倉本聰は前から好きだった
けど、肝心のこのドラマは観たことありませんでした。
ドラマは何話みてもカウントに入らないので、更新が止まって
しまっているわけで…。この更新ペースの鈍化はこれからも
続くと思われ。なぜなら、いま11話まで観たんだけど、このドラ
マは2クール、つまり24話あるわけで…。どうかご了承いただ
きたいわけで。
今年も残すことろ二ヶ月というところでドラマにはまってしまった
のは、映画100本達成に黄色信号どころか、ほぼ赤信号に近い
と思われ。今年は難しいと思われ。別に諦めたわけじゃないで
すけどね…。
2011年10月20日木曜日
ソナチネ
☆☆☆☆ 北野武 1993年
どうしても観たくなって借りて来た。
これから年に一度は観ることにしようと思う。
このおもしろさはいったい何なんだろう。
説明しろといわれても、ここのこのカットがこういう
風におもしろい、とか説明することができない。た
だ「そこには幸福な時間が流れている」と言えるの
みである。乾杯。
10.15(土) DVD
2011年10月18日火曜日
人生は五十一から
小林信彦 著 文春文庫
小林さんの文春連載コラムは、98年に「人生は五十一から」
の題で始まり、一年ぶんを一冊にまとめるので、この題の文
庫本が6冊あります。2004年に「本音を申せば」とタイトルを変
えた。それが現在まで続いております。一年ぶんを一冊、の
ペースは変わっていない。
本書はその一冊目。当時の小林先生は66歳である。もう66歳
かよ!っつってね。いまでも立派に続いていますからね。すご
いことです。私のような愛読者をいまでも獲得しているのだから、
ずっと連載は続けて欲しいものですな。
2011年10月15日土曜日
映画長話
蓮實 重彦, 黒沢 清, 青山 真治 リトルモア
雑誌『真夜中』でやっていた鼎談の連載をまとめたもの。
ちなみに私は蓮實重彦や青山真治の書く文章をまともに読もう
とは思わない。黒沢清の文章はわりと好きだけど。しかしこの鼎
談は読んでみたいと思ったし、読んで実におもしろかったことを
白状せねばなるまい。取り上げる話題を映画にしぼっている、
しかも2010~11年に公開された映画が話題の中心であるという
のがまず良かった。蓮實さんは見向きもされなくなっていた小津
映画に陽の目を当てた著書が有名だが、その一方で「いま」公開
されている映画を劇場に観に行きなさい、と講義でも繰り返し学生
をあおっていたらしい。そうしてイーストウッドやスピルバーグの新
作を学生に観に行かせて、スクリーンに「映っていたもの」の話だ
けをしよう、何が見えましたか? と訊いてまわるような講義だった
という。おもしろそう。ちょっと受けてみたい。
蓮實さんの講義を立教大学で受けて、のちに映画監督になった人
たち、誰が呼んだか「立教ヌーヴェルヴァーグ」なんていう気恥ず
かしい呼び方もあるが、そのなかの一番弟子が黒沢清、その10歳
ぐらい下が青山真治、という三人の関係である。
ちょっと鼎談の雰囲気を紹介するためにある一節を引用。イースト
ウッドの『グラン・トリノ』について。
蓮實 しかしね、世間ではあれ(註『グラン・トリノ』のこと)が感動的なアメリカン・ガイの物語と見られている、それには黙ってていいんですか。
青山 われわれは感動作だなんてひと言も言ってない。
蓮實 むしろ困った困ったとひたすら困惑しているだけですが。
青山 ヘンだということしか言ってないですからね。とてつもなくヘンなものがなんでこんなに映画として異様な現在として迫ってくるのかが困ると。
黒沢 まわりでもみんないいって言うんですけど、ほんとに? よくないでしょ? って言いたくなってしまって。
蓮實 下手とさえ言えるじゃないですか。いやあヘンですよ。もともと、下手であることを超えてしまうというのは彼の撮り方だったんだけれど、それが下手だとさえ思われなくなってしまったのはなぜなんでしょう。下手というか、これで本当に大丈夫? という画をずいぶん撮るじゃないですか。『グラン・トリノ』でも教会を外から二度、最初と最後のほうで撮るけれども、あれも酷いショットでした。
黒沢 そうなんですよね。
青山 困ったカットですね、あれは。
蓮實 ここに映っている十字架が大事なんだといったって、いくらなんでもこのショットはないよ、NGという酷さでしょう。にもかかわらず、というところが困っちゃう。
青山 あの人を下手だと相対化するためのうまい人がいないのが一番の原因でしょうね。
蓮實 ウディ・アレンの『それでも恋するバルセロナ』を見たんですけど、ウディ・アレンのほうがある時期まではうまいと思われてたでしょう。
黒沢 そうかもしれませんね。
蓮實 今度のはなかなかいいところもありましたが。
黒沢 予告篇ではぜんぜんいい感じじゃありませんでしたが……。
蓮實 カメラは『マルメロの陽光』のハビエル・アギーレサロベで、ショットとしては悪くないんですが、全体としてどうなの? という感じです。ちゃんと撮ろうとしているんだけれど、なにせウディ・アレンという人は南国の光を撮れる人じゃないでしょう。舞台はバルセロナですからね、真っ昼間のショットが全部だめなんです。
まあこんな感じです。「ヘンだ」といって褒める、嫌いな映画は容赦なく
唾棄する、その繰り返しです。「その鼎談なにがおもしろいの」と思われ
た方は、すいません、今回は縁が無かったということで(笑)

私の優しくない先輩
☆☆☆★ 山本寛 2010年
カルピスウォーターでおなじみ川島海荷と「はんにゃ」の金田が
主演の学園モノ、と聞いただけで反射的にゴミのような映画であ
ろうという予想はつくのだが、意外にも、実に意外にも公開時か
ら一部で「アイドル映画として実に正しい!」という盛り上がりを
見せていてずっと気になっていた。「一部」とは、私の信用してい
る一部の人たち、の意です、もちろん。松江カントクやモルモット
吉田さんなど。
DVD借りてきて観たが、たしかに結構おもしろい。川島海荷の声
で、つたないナレーションとモノローグがこれでもかこれでもかと
多用される。いわゆる「心の声」なので、ちょっと性格悪そうな彼
女をヒロインに据えたのは素晴らしい炯眼といえる。暑苦しい先
輩をはんにゃの金田が好演。キャスティングの勝利という面も大
きいかもしれない。
10.8(土) DVD
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