☆☆☆ テオ・アンゲロプロス 1998年
岩波ホールが似合う映画。『霧の中の風景』からは10年
経っているが、まあ良きにつけ悪しきにつけ、相変わら
ず、である。
興味を惹かれるのは、まずは極端な長回し。今回カット
の切れ目を意識しながら観ていると、その「割らなさ」と
いったら、意地になっているとしか思えない。長回しは好
きだし、たしかにアンゲロプロスは巧いが、ほとんど全て
のカットがそうなのはどうなんだろう。
そして、長回しに次ぐ長回しの合間に、すっと異物をまぎ
れこませて印象的なカットにしてしまうのが、この人のや
り方のようだ。主人公の乗るバスに三重奏の楽団が乗り
込んできたり、豪雪の国境地帯(こんどはトルコとの)の
金網にたくさんの人が貼りついていたり、子どもが妙に
厳粛な詩を口走ったり……と書いていていま気が付いた
が、「国境」「バス」「子ども」「詩」って『霧の中の風景』と
まったく一緒やん!
今回はタイトルが良い。相変わらずキャッチーでは全然な
いが、映画を観るとこの「永遠と一日」という言葉がけっこ
う染みる。
9.27(月) BS-2
2010年9月29日水曜日
2010年9月28日火曜日
霧の中の風景
☆☆★★★ テオ・アンゲロプロス 1988年
「文化人」が好みそうな映画。皮肉な意味も多少こめて。
「叙情的」というのか何と言うのか。意味ありげな間、意味あり
げなロングショット、意味ありげな引用。そして象徴として語り
やすそうなオブジェ。曰く、国際急行列車、古いバス、石像の
手、雪、大木など。
幼い姉と弟が、ドイツに居るというまだ見ぬ父親をさがして、
ギリシアから国際急行に乗って旅する、れっきとしたロードム
ービーである。こないだロードムービーが好きだと言ったばか
りだが、これは今までに観てきたロードムービーとはかなり趣
きが異なる。「静謐」なロードムービーといったら良いか。
アンゲロプロスがとても特異な映画的空間を創り出しているの
は確かなのだけれど、それが心地よいかといえば、全面肯定
しかねるところである。
しかし、あのどうしようもないタルコフスキー(このブログでは完
全に悪役だな)と違って、深く焼きつくような印象的なシーンも
いくつかあった。そのシーンについては全面肯定したい。とく
に、国境近くの砂浜で青年と女の子がロックに合わせて踊ろう
とするシーンは、まぎれもなく美しいシーンであった。
9.25(土) BS-2
「文化人」が好みそうな映画。皮肉な意味も多少こめて。
「叙情的」というのか何と言うのか。意味ありげな間、意味あり
げなロングショット、意味ありげな引用。そして象徴として語り
やすそうなオブジェ。曰く、国際急行列車、古いバス、石像の
手、雪、大木など。
幼い姉と弟が、ドイツに居るというまだ見ぬ父親をさがして、
ギリシアから国際急行に乗って旅する、れっきとしたロードム
ービーである。こないだロードムービーが好きだと言ったばか
りだが、これは今までに観てきたロードムービーとはかなり趣
きが異なる。「静謐」なロードムービーといったら良いか。
アンゲロプロスがとても特異な映画的空間を創り出しているの
は確かなのだけれど、それが心地よいかといえば、全面肯定
しかねるところである。
しかし、あのどうしようもないタルコフスキー(このブログでは完
全に悪役だな)と違って、深く焼きつくような印象的なシーンも
いくつかあった。そのシーンについては全面肯定したい。とく
に、国境近くの砂浜で青年と女の子がロックに合わせて踊ろう
とするシーンは、まぎれもなく美しいシーンであった。
9.25(土) BS-2
2010年9月26日日曜日
モル
☆☆☆ タナダユキ 2002年
タナダユキ監督のデビュー作であり、主演作。ばっちり
ヒロインを演じている。他の役者の素人っぷりは見たこ
とがないほどで、映像も音も安っぽい中で、ひとりタナダ
ユキの可愛さと、そこそこできる演技がひたすら際立つ。
けれどももちろんそれだけではPFFのグランプリは獲れ
ない。
本作は、生理になると飛び降りようとしている自殺者と
目が合ってしまう女の子が主人公で、ところどころに秀
逸なギャグをはさみつつ、最後はなかば強引にタイトル
の「モルモット」でオチをつけるという、いかにも才能が
ありそうなのが分かる感じの映画。ちゃんと予算をつけ
れば面白いものを撮るんじゃないかという気が俺でもす
る。まず可愛いし、ね、タナダさん。
9.23(木) DVD
タナダユキ監督のデビュー作であり、主演作。ばっちり
ヒロインを演じている。他の役者の素人っぷりは見たこ
とがないほどで、映像も音も安っぽい中で、ひとりタナダ
ユキの可愛さと、そこそこできる演技がひたすら際立つ。
けれどももちろんそれだけではPFFのグランプリは獲れ
ない。
本作は、生理になると飛び降りようとしている自殺者と
目が合ってしまう女の子が主人公で、ところどころに秀
逸なギャグをはさみつつ、最後はなかば強引にタイトル
の「モルモット」でオチをつけるという、いかにも才能が
ありそうなのが分かる感じの映画。ちゃんと予算をつけ
れば面白いものを撮るんじゃないかという気が俺でもす
る。まず可愛いし、ね、タナダさん。
9.23(木) DVD
2010年9月22日水曜日
続・男はつらいよ
☆☆☆★★ 山田洋次 1969年
「男はつらいよ」の2作目。当たり前なんだが、さくらの子ども
の満男はまだ生まれたてである。そして寅さんのキャラもそ
んなに固まっていない。ヤクザものの雰囲気を濃く残してい
るし、その割に本作ではよく泣く。実の母親(ミヤコ蝶々)に
会っては泣き、とらやに帰ってからも泣き、女(佐藤オリエ)
にフラれては泣き、とやけにメソメソしている。おいちゃんお
ばちゃんも、久々に帰って来た寅次郎に「寅さん」と呼びか
ける場面があり、まだまだ遠慮がある。
まあそんなことは別にどうでもよくて、初期らしい密度の濃い
寅さんであり、観ているだけで幸せな気分になる。椅子によ
りかかって倒し、照れ笑いをしながら障子にもたれかかって
そのままスライドして庭に落ちる、というドタバタの名人芸も
見れる。
役者もなかなか豪華で、ギラギラしている山崎努と、黒澤映
画の超常連・東野英治郎の登場がうれしい。そして何といっ
ても倍賞千恵子の可愛さは異常。キム・ヨナは、かの国では
「国民の妹」と呼ばれているそうだが、元祖・国民の妹は断然
こちらである。
9.19(日) DVD
「男はつらいよ」の2作目。当たり前なんだが、さくらの子ども
の満男はまだ生まれたてである。そして寅さんのキャラもそ
んなに固まっていない。ヤクザものの雰囲気を濃く残してい
るし、その割に本作ではよく泣く。実の母親(ミヤコ蝶々)に
会っては泣き、とらやに帰ってからも泣き、女(佐藤オリエ)
にフラれては泣き、とやけにメソメソしている。おいちゃんお
ばちゃんも、久々に帰って来た寅次郎に「寅さん」と呼びか
ける場面があり、まだまだ遠慮がある。
まあそんなことは別にどうでもよくて、初期らしい密度の濃い
寅さんであり、観ているだけで幸せな気分になる。椅子によ
りかかって倒し、照れ笑いをしながら障子にもたれかかって
そのままスライドして庭に落ちる、というドタバタの名人芸も
見れる。
役者もなかなか豪華で、ギラギラしている山崎努と、黒澤映
画の超常連・東野英治郎の登場がうれしい。そして何といっ
ても倍賞千恵子の可愛さは異常。キム・ヨナは、かの国では
「国民の妹」と呼ばれているそうだが、元祖・国民の妹は断然
こちらである。
9.19(日) DVD
2010年9月20日月曜日
あの夏、いちばん静かな海。
☆☆☆★★★ 北野武 1991年
近くの車で5分のTSUTAYAには置いておらず、近いゲオにも
なく、やむなく遠い方のゲオでようやく発見。即ゲオに入会し、
借りて帰って、すぐに観た。そんなことをしてる間にこの作品
への期待が結構高まってしまっていたのだが、そんなものは
やすやすと跳び越えていくような、素晴らしい傑作だった。こ
の映画に「あの夏、いちばん静かな海。」と名付けたたけしに
震えた。
聴覚障害の主人公が、壊れたボードを拾ってサーフィンに夢
中になるだけの話。しかも夢中になりすぎて最後死ぬ。なの
になぜこんなに幸福に満ち足りた気分で画面を見続けていら
れるのか、細かく分析していけば理由はわかるのかもしれな
いが、「理由はわからない」でいい気がする。セリフの少なさ
は異常なほどで、タルコフスキー並だが、あちらが20分も耐え
られず眠くなるのに対して、本作は100分で終わるのが惜しい。
「その男~」「3-4x10月」、本作、ときて「ソナチネ」である。
ほんとにどうかしてる。
9.18(土) DVD
近くの車で5分のTSUTAYAには置いておらず、近いゲオにも
なく、やむなく遠い方のゲオでようやく発見。即ゲオに入会し、
借りて帰って、すぐに観た。そんなことをしてる間にこの作品
への期待が結構高まってしまっていたのだが、そんなものは
やすやすと跳び越えていくような、素晴らしい傑作だった。こ
の映画に「あの夏、いちばん静かな海。」と名付けたたけしに
震えた。
聴覚障害の主人公が、壊れたボードを拾ってサーフィンに夢
中になるだけの話。しかも夢中になりすぎて最後死ぬ。なの
になぜこんなに幸福に満ち足りた気分で画面を見続けていら
れるのか、細かく分析していけば理由はわかるのかもしれな
いが、「理由はわからない」でいい気がする。セリフの少なさ
は異常なほどで、タルコフスキー並だが、あちらが20分も耐え
られず眠くなるのに対して、本作は100分で終わるのが惜しい。
「その男~」「3-4x10月」、本作、ときて「ソナチネ」である。
ほんとにどうかしてる。
9.18(土) DVD
2010年9月16日木曜日
夏至
☆☆☆ トラン・アン・ユン 2000年
「ノルウェイの森」の予習ということで、借りてきた。
なんだか摑みどころのない映画だった。
ハノイに暮らす家族、とくに三姉妹を中心に据えて話は
ゆっくりと進む。肌と髪がたいへんに美しい三姉妹で、
独特のライティングによるアジアな感じの映像美と相まっ
て、姉妹が髪を洗っているシーンなんていうのは、特別
何も起きないが艶めかしい。
映像は良い感じなのだが、いかんせん話がよくわから
ん&つまらん。淡々とするにも程があるんじゃないか。
まあ、でもあの村上先生が認めた監督であることだし、
もう1本観てから判断することにしよう。
それほど感心しなかったこの映画だが、私の音楽ライ
フにはけっこうな影響を与えた。兄妹が朝「目覚める」
というシーンが何度も反復されるのだけれど、その時
になんか良い曲が流れてるな、と思ったら、ルー・リー
ドの曲であった。そこで、実にひさしぶりにヴェルヴェッ
ト・アンダーグラウンドのMDを引っ張り出してきて、昔
は何がすごいのかさっぱり分からなかった例のウォー
ホルのバナナのジャケットのアルバムを聴いたら、す
こぶるカッコいいではないか。
今日に至るまで毎日バナナのアルバムを聴いている。
9.11(土) DVD
「ノルウェイの森」の予習ということで、借りてきた。
なんだか摑みどころのない映画だった。
ハノイに暮らす家族、とくに三姉妹を中心に据えて話は
ゆっくりと進む。肌と髪がたいへんに美しい三姉妹で、
独特のライティングによるアジアな感じの映像美と相まっ
て、姉妹が髪を洗っているシーンなんていうのは、特別
何も起きないが艶めかしい。
映像は良い感じなのだが、いかんせん話がよくわから
ん&つまらん。淡々とするにも程があるんじゃないか。
まあ、でもあの村上先生が認めた監督であることだし、
もう1本観てから判断することにしよう。
それほど感心しなかったこの映画だが、私の音楽ライ
フにはけっこうな影響を与えた。兄妹が朝「目覚める」
というシーンが何度も反復されるのだけれど、その時
になんか良い曲が流れてるな、と思ったら、ルー・リー
ドの曲であった。そこで、実にひさしぶりにヴェルヴェッ
ト・アンダーグラウンドのMDを引っ張り出してきて、昔
は何がすごいのかさっぱり分からなかった例のウォー
ホルのバナナのジャケットのアルバムを聴いたら、す
こぶるカッコいいではないか。
今日に至るまで毎日バナナのアルバムを聴いている。
9.11(土) DVD
2010年9月14日火曜日
ナチュラル・ボーン・キラーズ
☆☆☆ オリバー・ストーン 1994年
名作、と言われるけど私はいまひとつ肌に合わなかった「俺たちに
明日はない」を、より残酷に、よりサイケデリックに、より大げさにし
た上でそれを一度ズタズタに切り刻み、色んな映像を混ぜ合わせ
てぐちゃぐちゃのまま仕上げたような作品。自分はどうも、カップル
が道行く人を殺しながら逃避行するのがカッコいいと思えず、全然
ノレなかった。刑務所に入ってから、ちょっと面白くなってきたと思っ
たが、インチキタレントのインタビューのくだりが始まると、もうダメ
だった。サブリミナル的にインサートされる各種のイメージも、なん
だかだんだんうるさくなってくる。
脚本にタランティーノ先生が参加していて、なるほどそれっぽい話
だが、先生の監督作には到底及ばず。観ている最中から、「レザ
ボア・ドッグス」が観たくなって困った。
9.10(金) Blu-ray
名作、と言われるけど私はいまひとつ肌に合わなかった「俺たちに
明日はない」を、より残酷に、よりサイケデリックに、より大げさにし
た上でそれを一度ズタズタに切り刻み、色んな映像を混ぜ合わせ
てぐちゃぐちゃのまま仕上げたような作品。自分はどうも、カップル
が道行く人を殺しながら逃避行するのがカッコいいと思えず、全然
ノレなかった。刑務所に入ってから、ちょっと面白くなってきたと思っ
たが、インチキタレントのインタビューのくだりが始まると、もうダメ
だった。サブリミナル的にインサートされる各種のイメージも、なん
だかだんだんうるさくなってくる。
脚本にタランティーノ先生が参加していて、なるほどそれっぽい話
だが、先生の監督作には到底及ばず。観ている最中から、「レザ
ボア・ドッグス」が観たくなって困った。
9.10(金) Blu-ray
2010年9月11日土曜日
夏の朝の成層圏
池澤夏樹 著 中公文庫
池澤夏樹のデビュー作、とのこと。
実はよく知らないまま、同期が貸してくれたので読んだ。
独り暮らしにしては立派な5段組の彼の本棚を前に、「何か貸せ」と言っ
たら、池澤夏樹を偏愛する彼が(たぶんテキトーに)これを選んだ。
マグロ漁船を取材中に船から落ちた新聞記者が、無人島に流れ着いて、
そのへんの椰子の実とかバナナとかでひとまず生活する、という話で、
現代の文明社会に生きるわれわれが一度はやってみたい(ですよね?)
生活が描かれる。文明から隔絶された所で生活してみたい、という漠然
とした憧れを刺激されて、読んでいて楽しかった。厄介な虫とか猛獣も
居ない南の島ということなので、なおさらである。
会話する相手がいないため、地の文がずーっと続くが、なかなか文章が
巧い。デビュー作にして、たいしたものだと思う。
芥川賞をとった「スティル・ライフ」より面白いんじゃないかと思った。
池澤夏樹のデビュー作、とのこと。
実はよく知らないまま、同期が貸してくれたので読んだ。
独り暮らしにしては立派な5段組の彼の本棚を前に、「何か貸せ」と言っ
たら、池澤夏樹を偏愛する彼が(たぶんテキトーに)これを選んだ。
マグロ漁船を取材中に船から落ちた新聞記者が、無人島に流れ着いて、
そのへんの椰子の実とかバナナとかでひとまず生活する、という話で、
現代の文明社会に生きるわれわれが一度はやってみたい(ですよね?)
生活が描かれる。文明から隔絶された所で生活してみたい、という漠然
とした憧れを刺激されて、読んでいて楽しかった。厄介な虫とか猛獣も
居ない南の島ということなので、なおさらである。
会話する相手がいないため、地の文がずーっと続くが、なかなか文章が
巧い。デビュー作にして、たいしたものだと思う。
芥川賞をとった「スティル・ライフ」より面白いんじゃないかと思った。
【業務連絡①】
本については、採点はしないことにする。
小説やら評論の採点をするのは難しいし、なんとなく嫌だというのもあ
る。『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』と『1Q84』のどれが一番
高得点ですか、と言われても、とてもじゃないが私には決めかねる。
それに本の場合「最後まで読んだ」ことが「ある程度おもしろかった」
ことを保証している、というのも理由のひとつ。
つまらなくても2時間で勝手に終わる映画と違って、本は読むのにはる
かに時間がかかる上に、内容を頭に入れながら、ページをめくって自分
で先に進めていかなくてはならない。そのぶん、途中で投げ出しやすい
メディアであると考える。読みながら「これつまんねーなー」と思ったわけ
でもないのに、ふっと気付くと「あれまだ途中だったのに、しばらく読んで
ねーな」ということがたまにある。無意識に投げ出しているのである。
そういう場合はブログには上がってこないので、ここに上がった本はまあ
まあ面白かったんだなと思っていただいて構わない。めちゃくちゃおもし
ろかった場合は、そう書く。
小説やら評論の採点をするのは難しいし、なんとなく嫌だというのもあ
る。『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』と『1Q84』のどれが一番
高得点ですか、と言われても、とてもじゃないが私には決めかねる。
それに本の場合「最後まで読んだ」ことが「ある程度おもしろかった」
ことを保証している、というのも理由のひとつ。
つまらなくても2時間で勝手に終わる映画と違って、本は読むのにはる
かに時間がかかる上に、内容を頭に入れながら、ページをめくって自分
で先に進めていかなくてはならない。そのぶん、途中で投げ出しやすい
メディアであると考える。読みながら「これつまんねーなー」と思ったわけ
でもないのに、ふっと気付くと「あれまだ途中だったのに、しばらく読んで
ねーな」ということがたまにある。無意識に投げ出しているのである。
そういう場合はブログには上がってこないので、ここに上がった本はまあ
まあ面白かったんだなと思っていただいて構わない。めちゃくちゃおもし
ろかった場合は、そう書く。
2010年9月6日月曜日
菊次郎の夏
☆☆☆★ 北野武 1999年
自分がロードムービーに甘いのは自覚している。
ロードムービーっていうだけでなんで面白く見えてしまう
のだろう。
本作も、別に悪口をいうほど悪いわけでは全然ないが、
「気の抜けたビール」ならぬ「気の抜けた『ソナチネ』」
だろう。川原での暇つぶしのシーンで「ソナチネ」を思い
出さないたけしファンは少ないと思うが、たけしはそれを
承知の上でやったのだと思う。「ソナチネ」を超えようと
したのか。まあそれは分からないが、「ソナチネ」には遠
く及ばないのは確か。
しかし、繰り返すが全然悪くないし、たけしのショートコ
ントの連続みたいで面白かった。敢えてツボを挙げるなら、
岸本加世子ってこんなにガラの悪い下町のオバハンの格好
してもけっこう似合うな、という所。豹の顔が入った服で
岸本さんに真面目に演技されたら、笑うしかない。
いやあ、ロードムービーってなんで面白いんだろうな…。
あるいは俺の潜在意識が旅行したがっているのかもしれな
い。
つれづれなるままに、好きなロードムービー…
パリ,テキサス、カナリア、都会のアリス、
リトル・ミス・サンシャイン、ドッペルゲンガー、
モーターサイクルダイアリーズ、
男はつらいよ、もある種のロードムービーかな…
自分がロードムービーに甘いのは自覚している。
ロードムービーっていうだけでなんで面白く見えてしまう
のだろう。
本作も、別に悪口をいうほど悪いわけでは全然ないが、
「気の抜けたビール」ならぬ「気の抜けた『ソナチネ』」
だろう。川原での暇つぶしのシーンで「ソナチネ」を思い
出さないたけしファンは少ないと思うが、たけしはそれを
承知の上でやったのだと思う。「ソナチネ」を超えようと
したのか。まあそれは分からないが、「ソナチネ」には遠
く及ばないのは確か。
しかし、繰り返すが全然悪くないし、たけしのショートコ
ントの連続みたいで面白かった。敢えてツボを挙げるなら、
岸本加世子ってこんなにガラの悪い下町のオバハンの格好
してもけっこう似合うな、という所。豹の顔が入った服で
岸本さんに真面目に演技されたら、笑うしかない。
いやあ、ロードムービーってなんで面白いんだろうな…。
あるいは俺の潜在意識が旅行したがっているのかもしれな
い。
つれづれなるままに、好きなロードムービー…
パリ,テキサス、カナリア、都会のアリス、
リトル・ミス・サンシャイン、ドッペルゲンガー、
モーターサイクルダイアリーズ、
男はつらいよ、もある種のロードムービーかな…
9.5(日) DVD
2010年9月5日日曜日
ブギーナイツ
☆☆☆ ポール・トーマス・アンダーソン 1997年
ひさびさに洋画が観たくなって借りてきた。
Paul Thomas Anderson(略してPTA)が今までに撮った5作の
うちの1本。寡作だが、大長篇が多いのがこの人の特徴。まあ
寡作といってもまだ40歳。もうすでに巨匠の感があるが。
本作は、類まれな巨根の持ち主である主人公の青年が、ポル
ノ映画界の巨匠にその才能(まあ一種の)を見出され、大成
功して栄華をきわめ、調子に乗り、思い上がってドラッグに
溺れ、転落して地に堕ちていく様を、ポルノ界の風変わりな
人物たちと80年代のヒット曲でいろどった一大群像劇。
期待して観たが、評点はあまりふるわず。理由は途中で眠く
なったから。たまに恐ろしく長い長回しが出てきてハッとす
るが、ストーリーの流れにどうも新しさが感じられなかった。
ただ、27歳でこれを撮ったPTAに才能があるというのは間違
いないだろうと思いながら観ていた。私は本作と、一番新し
い「There will be blood」を観ただけなので、残り3作ある。
楽しみはまだ残っているということだ。
9.3(金) DVD
ひさびさに洋画が観たくなって借りてきた。
Paul Thomas Anderson(略してPTA)が今までに撮った5作の
うちの1本。寡作だが、大長篇が多いのがこの人の特徴。まあ
寡作といってもまだ40歳。もうすでに巨匠の感があるが。
本作は、類まれな巨根の持ち主である主人公の青年が、ポル
ノ映画界の巨匠にその才能(まあ一種の)を見出され、大成
功して栄華をきわめ、調子に乗り、思い上がってドラッグに
溺れ、転落して地に堕ちていく様を、ポルノ界の風変わりな
人物たちと80年代のヒット曲でいろどった一大群像劇。
期待して観たが、評点はあまりふるわず。理由は途中で眠く
なったから。たまに恐ろしく長い長回しが出てきてハッとす
るが、ストーリーの流れにどうも新しさが感じられなかった。
ただ、27歳でこれを撮ったPTAに才能があるというのは間違
いないだろうと思いながら観ていた。私は本作と、一番新し
い「There will be blood」を観ただけなので、残り3作ある。
楽しみはまだ残っているということだ。
9.3(金) DVD
2010年9月1日水曜日
借りぐらしのアリエッティ
☆☆☆★ 米林宏昌 2010年
なかなか良かったよ。うん。
映画より先に、NHKのドキュメンタリーを見てしまい、
わずか4秒のカットにも30枚以上の絵が使われている
こととか、マロさんの年末年始も返上の終わらない苦
しみをたっぷり見た後で「なかなかだったよ」とは、
本人に面と向かってはとても言えないが、ここはブロ
グなのでしょうがない。
この「お話」を成立させるためには、アリエッティが
身の危険をかえりみずに恋してしまうほどの人間的魅
力が、翔くんにあるかということが大事だが、そのへ
んはちょっと厳しかった。単なる「素直な子」だよな、
あれじゃあ。
8.29(日) ワーナーマイカルシネマズ釧路
なかなか良かったよ。うん。
映画より先に、NHKのドキュメンタリーを見てしまい、
わずか4秒のカットにも30枚以上の絵が使われている
こととか、マロさんの年末年始も返上の終わらない苦
しみをたっぷり見た後で「なかなかだったよ」とは、
本人に面と向かってはとても言えないが、ここはブロ
グなのでしょうがない。
この「お話」を成立させるためには、アリエッティが
身の危険をかえりみずに恋してしまうほどの人間的魅
力が、翔くんにあるかということが大事だが、そのへ
んはちょっと厳しかった。単なる「素直な子」だよな、
あれじゃあ。
8.29(日) ワーナーマイカルシネマズ釧路
FRIED DRAGON FISH
☆☆★★ 岩井俊二 1996年
高校生のとき以来の再見。当時は面白く思ったように記憶していたが、
今観るとどこが面白かったのかよく分からない。
画面は安っぽいし、演出もうまいとは言い難く、単調だと思った。二十歳
の浅野忠信の放つ存在感だけがかろうじて画面を支えている。
岩井俊二は高校のときに熱中して、アホみたいに観た。ひととおり全部
観たと思う。そのときは何といっても「リリィ・シュシュのすべて」が1番好き
で4回は観たが、熱が冷めた数年後に観てみるともうあまり感心しなかっ
た。観返してもちゃんと面白かったのは「Love Letter」「花とアリス」「スワ
ロウテイル」ぐらいか。「undo」とか、もう一回観てみたい気はする。
8.28 (土) DVD
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