☆☆★★★ テオ・アンゲロプロス 1988年
「文化人」が好みそうな映画。皮肉な意味も多少こめて。
「叙情的」というのか何と言うのか。意味ありげな間、意味あり
げなロングショット、意味ありげな引用。そして象徴として語り
やすそうなオブジェ。曰く、国際急行列車、古いバス、石像の
手、雪、大木など。
幼い姉と弟が、ドイツに居るというまだ見ぬ父親をさがして、
ギリシアから国際急行に乗って旅する、れっきとしたロードム
ービーである。こないだロードムービーが好きだと言ったばか
りだが、これは今までに観てきたロードムービーとはかなり趣
きが異なる。「静謐」なロードムービーといったら良いか。
アンゲロプロスがとても特異な映画的空間を創り出しているの
は確かなのだけれど、それが心地よいかといえば、全面肯定
しかねるところである。
しかし、あのどうしようもないタルコフスキー(このブログでは完
全に悪役だな)と違って、深く焼きつくような印象的なシーンも
いくつかあった。そのシーンについては全面肯定したい。とく
に、国境近くの砂浜で青年と女の子がロックに合わせて踊ろう
とするシーンは、まぎれもなく美しいシーンであった。
9.25(土) BS-2
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