2012年7月30日月曜日
独立愚連隊
☆☆☆★★★ 岡本喜八 1959年
素晴らしい。これが岡本喜八なのか。
ハッと息をのむようなカット、痛快なアクション、そして何と
いっても練られたセリフに魅了された。
主演の佐藤允という俳優、はじめて見たと思うのだが、顔
は博多・華丸と鈴井貴之を足してさらに殺気を加えたような
顔で忘れがたい印象を残す。ここまでクセのある俳優はあ
まり主役にはならないだろうから、主演と聞いてきっと張り
切っただろう。そして映画は傑作となった…。
7.28(土) BSプレミアム
2012年7月29日日曜日
ニッポン無責任時代
☆☆☆★★ 古澤憲吾 1962年
痛快そのものですなー。
でき得ることなら、この映画の植木等のように生きたいね。
それを実践しているのが、今のみうらじゅんのように思える。
植木等もみうらじゅんも、大好きです。
7.26(木) BSプレミアム
2012年7月26日木曜日
おおかみこどもの雨と雪
☆☆☆★★★ 細田守 2012年
満足しました。
「時かけ」「サマーウォーズ」とあまりにも順調に来てしまったが
ため、もう駄作は作れない雰囲気の細田監督。この状況、けっ
してラクではないだろうと思う。そういう中で、堂々とオリジナル
ストーリーで勝負してくるのは偉い。
正直、その辺りに敬意を表したく★ひとつ進呈した。映画だけを
いうなら、このブログの語法でいう「秀作」かな。あわてて付け加
えるのだが、本当に丁寧に作られてあり、全面的に好感もちま
くりである。幸福な120分だった。最後の雪の教室のシーンでの
カーテンの使い方、見事というほかない。
『週刊プレイボーイ』誌上で細田監督は、人妻のエロスも重要な
要素だと語って宣伝担当を慌てさせていたが、そう、なにもファミ
リー向けに対象を限定することはない。何でもかんでも「盛り込
める」のがアニメの良いところだろう。
ただ、それにしては毒気がなさすぎるかな、というのが全体の印象。
7.22(日) ワーナーマイカルシネマズ釧路
2012年7月24日火曜日
ヘルタースケルター
☆☆☆ 蜷川実花 2012年
ビックリした。セリフが意外とまともだったので。
脚本は金子ありさ。
この名前には苦い記憶があって、『ラフ』と『7月24日通りの
クリスマス』という、邦画史に残るんではなかろうかと思うほ
どの大愚作をある年2連発で見せられ、その脚本を手がけ
たのが同じ人物であると知ったときには、もうこいつの作品
は金輪際観ないと固く心に誓ったのである。大駄作になった
原因のほとんどは脚本にあると思われたので。
あれから何年? 忘れた。そうは言いつつも、結局本作は
観たのであるが、意外や意外、金子女史はちゃんと鑑賞に
堪えるセリフを書けるようになっていた。やはり人って幾つに
なっても成長できるんですね。もちろん「鑑賞に堪える」という
だけであって、「うまい」とか「感心する」という要素はまったく
ない。これだけの役者をそろえ、セットにも衣装にも、相当の
金がかかっているらしいのはじゅうぶんに画面から伝わって
きたが、ゾクゾクするようなシーンは皆無であった。平板なん
だよなー。何が足りないのか。いちばんはやはりセリフだと思う。
7.21(土) ワーナーマイカルシネマズ釧路
2012年7月22日日曜日
2012年7月19日木曜日
2012年7月10日火曜日
読む人間
大江健三郎 著 集英社文庫
映画界の「しつこい」ひとナンバーワンがウディ・アレンだとすれば、
文学界のしつこさナンバーワンは大江さんかな、と思う。東大在学
中に最初の小説を書いたときからずっと、大江さんは何かを「読む」
ことで、そして読んだものに「触発」されることでその特異なスタイル
を築いてきた。まさに読む人間。そして多くの場合その「何か」は、
外国語の詩、翻訳された詩であった。
転校した松山市の高校で出会った伊丹十三。その友情のはじまり
も、ランボーの詩をめぐって伊丹から受けた授業であった。
あらためて思うことですが、私が自分の人生で一番よく教わった
のは、まず伊丹君からだった、ということです。
この一文が泣かせる。
映画界の「しつこい」ひとナンバーワンがウディ・アレンだとすれば、
文学界のしつこさナンバーワンは大江さんかな、と思う。東大在学
中に最初の小説を書いたときからずっと、大江さんは何かを「読む」
ことで、そして読んだものに「触発」されることでその特異なスタイル
を築いてきた。まさに読む人間。そして多くの場合その「何か」は、
外国語の詩、翻訳された詩であった。
転校した松山市の高校で出会った伊丹十三。その友情のはじまり
も、ランボーの詩をめぐって伊丹から受けた授業であった。
あらためて思うことですが、私が自分の人生で一番よく教わった
のは、まず伊丹君からだった、ということです。
この一文が泣かせる。
2012年7月9日月曜日
ミッドナイト・イン・パリ
☆☆☆★★ ウディ・アレン 2012年
1920年代のパリ、サロン文化の華やかなりし頃。
その街にはヘミングウェイが、スコットとゼルダのフィッツジェラ
ルド夫妻が、ピカソが、ダリが、ルイス・ブニュエルが居た(本当
に全員が同じ時にパリに居たかどうか知らないが)。
憧れていたその時代にタイムスリップした主人公の映画脚本家
は、ガートルード・スタインに自分の小説をみてもらい、モディリ
アーニの元恋人に恋をする。
タイムスリップもののファンタジーであるが、そこはウディ・アレン
大先生。ばかばかしくならないように、苦い味も織り交ぜ、皮肉
を効かせ、オシャレに仕上げている。私もどちらかというと常に
「過去」に惹かれてきた人間であるので、ウディ先生の皮肉は
チクリと痛む。秀作。
7.7(土) 新宿ピカデリー
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