2014年1月4日土曜日

ベストテン2013 <旧作>


1. にごりえ  今井正 1953年
「真っ当すぎる」といって高畑勲の新作に辛い点を付けた
ばかりで恐縮なのだが、今年の一位はこの真っ当そのも
のの映画に進呈することとする。というか、おそらく公開当
時は真っ当な「よくできた映画」だったのだろうが、60年後
の今観ると、その質の高い真っ当さにとても惹きつけられる。
観ているとなぜか「燃えてくる」映画。

2. 博士の異常な愛情  S.キューブリック 1964年
笑いの映画が好きです、やっぱり。こんなに真っ黒な笑い
じゃなくてもいいんだけど。「泣かせる」よりも「笑わせる」方
が何倍も難しいとは三谷幸喜もたびたびラジオ番組で言っ
ていることで、それは本当だと思う。

3. 風と共に去りぬ  V.フレミング 1939年
今ごろ観ました。不覚にも感動しました。スカーレット・オハラ。
あんなに好きになれないヒロインをこんな超大作映画の主役
にするってやっぱすごいよ。

4. 17歳の肖像  L.シェルフィグ 2010年
あまり中身のある映画とは思わないが、何はさておき、キャリ
ー・マリガンがまあ可愛い。
俺も中年になったらこの映画みたいな事してみたいね。絶対
できないけど。

5. 駅 STATION  降旗康男 1981年
倉本聰の脚本は、留萌、銭函、北国に生きるひとたちに寄り
添うようで、しみじみ良かった。ラストもうひとひねりあればなぁ、
と思ったのを覚えている。最初に健さんが倍賞千恵子の店に
入ったときの長回しにシビれる。

6. トイレット  荻上直子 2010年
巧いよね。映画にしかできない表現って、こういうものだと思う。
カウリスマキに似ているかもしれないけど、そんなんどうでもい
いんじゃー。この調子でつきつめていって欲しい。

7. ポンヌフの恋人  L.カラックス 1992年
2013年の俺のヒロインはジュリエット・ビノシュ。カラックスの
初期作品をTSUTAYAのおかげで観ることができ、特に本作
には魅了された。メイキング映像によると「呪われた映画」と
も呼ばれたらしいが、まあ、良い映画に注ぎ込まれた金は無
駄ではない!

8. バグダッド・カフェ  P.アドロン 1994年
おばはんがハイウェイ沿いのシケたレストランを繁盛させる
話。だったよね? ブーメランとあの歌ばかりが印象的で、
ストーリーを忘れかけている。

9. ボルベール <帰郷>  P.アルモドバル 2007年
色彩が違うよね、日本映画とは。そして展開も独特というか、
どこに連れて行かれるのかわからないスリルがあって面白い。
いっそうアルモドバルのファンになった。

10. 男はつらいよ 望郷篇  山田洋次 1970年
中身の濃い寅さん。「顔で笑って心で泣いて」というやつで、
長山藍子にフラれる寅さんにはついグッときてしまう。
SLがたくさん登場する回でもある。

次点 死刑弁護人  齊藤潤一 2012年
ドキュメンタリーからはこの作品。「大衆の憎悪」を一身に浴び
るというのはどういう気分なんだろう。想像もつかないが、いち
いち相手にしてたらやってられない、というのは一面としてきっ
とあるだろう。


<講評>
名画座に行かなくなったので、ほとんどがBSプレミアムで観た
ものである。1位と6位が、――いつの話をしてるんだと言われ
そうだけど――山田洋次セレクション。10位はその山田洋次の
監督作。新作ベストテンの3位も山田洋次(「東京家族」)。どん
だけ好きやねーん。

気のせいかもしれないが、去年の秋ぐらいからBSプレミアムの
映画で「これは観たい」と思うものが激減してしまったような。あ
るいは選者が変わったのだろうか。そうすると今の選者とは気
が合わないな。

HDDはいつも満杯に近いので、録画する映画が減ると助かるの
だが、それもなんだか淋しい。

また誰かセレクションをやってくれないか。誰がいいかな――
内田樹だったら観るな。小林信彦、山田宏一、四方田犬彦、
宮崎駿、坂本龍一、ビートたけし、岩井俊二、誰かやってくれ。

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