2014年8月24日日曜日

読んだ本②


『女体の森』
みうらじゅん リリー・フランキー 著    扶桑社

週刊SPA!の連載「グラビアン魂」、その7年半(!)にもおよぶ長
大な歴史からいいとこどりをした渾身の「グラビア論」である。これ
は一つの「達成」であり「金字塔」であって、もう後にも先にも、かく
もばかばかしい情熱をもって、のみならず、その情熱を"持続"させ
て、ただただ「女体」について語り続けた本は出ないのではない
か。大著ではあるが、個人的には必読の書と考える。

まあ色んなことに造詣が深いおふたりなので、笑っちゃうだけでな
くそれを通り越して感心してしまうことも多いのだが、ちょっと気に
入った部分を抜粋。話の流れとしては、グラビアのコにも彼氏が居
たりするかもしれないけれど、それはいたずらに羨ましがったり妬
んだりするものではない、というくだり。

リリー たとえば後輩の彼女に水着見せてって言っても、見せてくれ
     ないでしょ。でもグラビアのコは仕事とはいえ水着姿を見せ
     てるんですよ。となるとこれはもう、"ありがたい"なんですよ。
みうら 年取ると、その"ありがたい"という精神が芽生えてくるよね。
リリー 棟方志功が「ありがたやありがたや」って言いながら彫ってた
     じゃないですか。あれですよ。

ここで棟方志功がぱっと出て来る反射神経がもう最高である。










『いのちの食べかた』
森達也 著       角川文庫

食肉加工について、子ども向けに分かり易く書いている。ぼくたちが
食べる豚、牛、鶏の肉は、「どこで」「どのようにして」殺され、加工さ
れているのだろう、ということだ。子ども向けとはいえ森さんの「いつ
もの感じ」は消しておらず、周りに合わせず自分の頭で考えること、
自分で想像してみることが何よりも大事だ、と説く。こういう題材の
解説に、森さん以上の適任はいないだろう。
芝浦屠場の話から始まり、江戸時代の身分制度から被差別部落の
話にも当然なっていく。

森さんは『東京番外地』でも芝浦屠場に行っていたが、やはりドキュ
メンタリーにしたいと思って何度か通っていたらしい。しかし企画が通
らない、と。また言ってるよ、と森さんの読者なら思うだろう。まあ、森
さんらしいですよね。

装画は五十嵐大介。









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