☆☆☆★★ 山下敦弘 2014年
『もらとりあむタマ子』で前田敦子を主演に、のちに「甲府映画の
傑作」と語り継がれることになる(たぶん)映画を見事に撮った山
下監督の最新作は、乃木坂46の秋元真夏、生田絵梨花、橋本
奈々未を主演に、アイドル映画の撮影現場を舞台としたフェイク・
ドキュメンタリーであった。
つまり、3人が主演の「超能力研究部の3人」という、高校の部活
を舞台にした映画を撮影するメイキングと、映画の本編と思われ
る映像が複雑に入り混じる構成でありながら、実はそのメイキング
もしっかり演出が入ったフェイクであるという、非常に凝った内容
なのである。ただ、演出は入っているものの、全部セリフが決まっ
てるわけではおそらくなく、インタビュー部分とかリアクションとか、
演技指導に涙する場面とか、多分に「本当」と「演出」とが不可分
に境界を接しており、そのバランスの取り方は実に巧い。手練れ、
というやつで、もうアイドル映画は全部山下監督でいいんじゃない
かと思ってしまう。山下監督がやれば『ホットロード』はどうなった
だろう、『ソラニン』はどうなっただろう、考えても仕方のないことだ
が、夢想は広がっていくのだった。
12.7(日) シネマート新宿
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