2015年4月10日金曜日

幕が上がる


☆☆☆★★       本広克行       2015年

演劇に青春のすべてをかける女子高生たち。
私はももクロに関しては、どのコがどの色かもよく分からない
レベルだが、このタイミングで彼女たちを青春映画のヒロイン
にするというのは、まことに正しいと思う。恋愛を持ち込まず、
ひたすら演劇にフォーカスしているのも、潔くて良い。

主役はももクロの5人だが、重要度としてはほぼ主役と同等
であり、しかも演技の上でこの映画を支配しているのは、誰
が見ても黒木華である。元は「学生演劇の女王」と呼ばれた
役者だったが、演技の道を諦め、新任の美術教師として赴
任してきたという役柄を、実に見事に体現してみせた。素晴
らしい。私は感動に近いものをおぼえた。存在としてはもう
蒼井優とほぼ一緒である。
よく「村上春樹がもう一人いればなぁ。もっと新作が読めるの
に」というような言い方を聞くが、蒼井優は実際に二人いると
いうことと等価である。これは便利。
かつて舞台「南へ」で、蒼井優の「影」の役に黒木華をキャス
ティングしていた野田秀樹の慧眼はおそろしい。

私は青春映画には点が甘いという傾向があるのは自覚して
いるが、でもやっぱ観ていても気持ちがいいし、だいたい映
画はすべてある意味で青春映画であるべきだ、とも言えませ
んか。

                                                      4.9(木) 新宿バルト9


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